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【J1:第11節 清水 vs C大阪】レポート:自分たちのサッカーができなかった清水が、最後の最後で追いついたドロー劇。勝利を逃したC大阪も、自分たちの力をしっかりと証明(12.05.13)

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試合内容はほぼアウェイのC大阪がコントロールしていたが、ここまでホーム全勝の清水が本当に土壇場で意地を見せた試合。どちらのチームも後味は悔しさばかりだったが、見る側の見応えという意味では、十分お腹いっぱいになる一戦だった。

とくに前半は、C大阪のペースで進んだ。キックオフ直後は狙い通り清水が攻勢に出たが、その迫力は最近の試合に比べるとやや低調なもの。「全然動いてなかったし、球際でも闘えていなかった」(岩下敬輔)という要素もあって、パスコースの選択肢が少なく、パスが入ってもすぐにボールを奪われてしまうシーンも目立った。そのため、パス回しのリズムもなかなか上がってこない。また、ボールに対する反応が少し鈍く、守備でも「1人が行っても、後ろの連動性が今日はちょっと欠けていた」(平岡康裕)ため、高い位置でボールを奪う場面を増やせなかった。
清水のスタメンの平均年齢は、23.09歳。C大阪も若いチームだが(24.09歳)、それをさらに1歳下回る若さ。だが、それに見合う動きのフレッシュさは感じられなかった。そうなると、清水らしいサッカーがなかなかできないのも当然と言える。

一方、C大阪のほうは、守備では前線から清水の1人1人に対してしっかりとプレッシャーをかけ、奪った後のパスも確実につないで徐々に主導権を握っていく。球際の1対1でも優位に立ち、ちょうど清水がやりたいような形で試合を進めていった。「清水はワイドに開いている左右のFWが中にダイアゴナルに入ってきて、何度もゴールを決めている。とくに左に起点を作って、右FWがカットインしてきて合わせるという形が多かったが、そういうプレーをほとんどさせなかった。また、中盤の7番(アレックス)を、山口螢がしっかりと抑えてくれた」とソアレス監督が振り返ったように、清水の恐い部分にもきっちりと対策を施し、試合をコントロールした。
そして前半15分、右からの大きなサイドチェンジを左に開いた清武弘嗣が受けて起点を作り、戻したボールから左サイドバックの黒木聖仁がクロス。それに対してGK林彰洋が中途半端な飛び出しをしていまい、ファーサイドから入ったケンペスがフリーでヘッド。これは右ポストに阻まれたが、跳ね返りを2試合連続スタメンの柿谷曜一朗が押し込んで今季初ゴール。清水のお株を奪うようなピッチをワイドに使った攻撃で、C大阪が流れを決定づける先制点を奪った。

その後、清水はなかなかチャンスを作れない中でも辛抱強くパスを丁寧につないで、自分たちのリズムを取り戻そうとした姿勢は良かったが、切れや迫力はやはりもうひとつ。C大阪に恐さを感じさせることができないまま前半45分が経過した。
そのためハーフタイムでは、いつも以上にゴトビ監督の激しい檄が飛び、後半は清水が立ち上がりから攻めのギアを上げていく。後半8分にはアレックスと高木俊幸が連続して惜しいシュートを放つ場面を作るなど、ゴールに迫る圧力を強めていった。しかし、そんな中でC大阪のほうも、ケンペスを起点にカウンターの恐さを十分にアピールし、清水の攻撃を牽制し続けた。

そこでゴトビ監督は、大胆な交代策を敢行する。後半10分に高木に代えて高原直泰を入れ、18分には大前元紀に代えて小林大悟を投入。ここまでチームでもっとも点を取っている自慢の両翼を「動きが悪かった」という理由で交代させ、攻撃の活性化を図った。
そして、相手にマークされ、疲れも少し目立っていたアレックスに代わって小林が司令塔を務め、前線では高原がよくボールを収めていく中で、攻めのリズムは徐々に良くなっていく。後半22分には、李記帝の左クロスから高原が惜しいヘッドを放つなど、少しずつゴールの匂いを漂わせ始めた。

しかし、C大阪のほうもバランスを崩すことなく組織的な守備を続け、なかなか付け入るスキを与えない。そこで清水は、後半33分に吉田豊に代えてジミー・フランサを入れ、FWを1枚増やしてMFの河井陽介を右サイドバックに移動させ、リスクを冒して攻撃に出る。それでもC大阪は粘り強く守り続けたが、カウンターはなかなか繰り出すことができなくなり、5分と表示されたアディショナルタイムは防戦一方の展開に。
清水も焦りから最後は強引なパワープレー攻撃になっていたが、アディショナルタイムも5分以上経過したところで、河井の右クロスからゴール前で混戦になったところをアレックスが押し込み、ついに同点ゲールをゲット。最後の最後でついにホームの意地を見せたところで、得点直後にタイムアップの笛が吹かれた。

当然、95分以上狙い通りのゲーム運びを見せていたC大阪としては、完全に勝点2を失ったという後味。試合直後の選手もサポーターも、まるで負けたチームのような雰囲気だった。ただ、サッカーの内容自体では、もっと上位で戦える力があることをはっきりと証明したことは間違いない。ひとつきっかけさえつかめば、一気に上昇気流に乗っていけそうな気配は十分に感じられた。
一方、ホームでの連勝が4で止まった清水のほうは、試合直後のスタンドは非常に盛り上がったが、内容には大いに不満が残ったゲーム。とくに残念だったのは、試合前に選手たち自身からも、連勝した後で「気を緩めないこと、ハードワークが大事」という声が多く出ていたにも関わらず、その言葉通りのプレーを出せなかったこと。高木と大前も、ゴトビ監督から厳しい言葉を受けて非常に悔しそうな表情を見せたが、ここでどうリアクションするかによって、自分自身の成長速度も変わってくるはずだ。
若いチームにはこういう試合もつきものなのかもしれないが、最後に最低限の結果を残せたことは非常に大きかった。この試合を良い経験、良い薬にできるかどうか。今後の清水に注目したい。

以上

2012.05.13 Reported by 前島芳雄
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