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【J1:第11節 磐田 vs 鹿島】レポート:こだまする子どもたちの声援。サックスブルーに染まるスタジアムに流れた凱歌。スタンドが一体となって作り上げた大舞台で、磐田が鹿島を下す(12.05.13)

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前半終了間際、磐田がこの試合最初のCKを得る。キッカーは駒野友一。メインスタンド手前のコーナーアークにボールをセットし、顔を上げるとゴール前の後方には鮮やかな水色に染まったバックスタンドが広がっていた。スタジアムが一体となってサックスブルーカラーのタオルマフラーを振り回し、ホームチームを鼓舞する。この日のヤマハスタジアムはいつにも増してエキサイティングな雰囲気に包まれていた。

この試合、磐田市が市内の全小学校より小学5、6年生約3200名をヤマハスタジアムへ招待。サックスブルーカラーの帽子とビブスに身を包んだ子どもたちがバックスタンドの一角で声を枯らした。事前に作り込んできたのだろう。オリジナルの横断幕の文字が踊る。『がんばれ!ぼくらのジュビロ』。
1998 FIFAワールドカップ・フランス大会に日本代表が初出場を果たし、中山雅史がリヨンで歴史的ゴールを決めているが、彼らが生まれたのはこの大会よりも後。無論、Jリーグ史上最強とも称された磐田の“黄金期”を知らない世代である。
試合前、バックスタンドに集まった児童に話を聞くと、初めてヤマハスタジアムに来たという児童はもちろん、スタジアムに何度も足を運ぶほどサッカー好きという児童も磐田の“過去”の話題になるときょとんとしてしまう。しまいには「今が”黄金期”でしょ!」と諭されてしまったが、中には律義にこう教えてくれた児童もいた。
「お父さんがよく観に行っていたみたい」
「おばあちゃんから教えてもらったことがある」

試合前、磐田・森下仁志監督は「子どもたちが誇りを持てるような試合にしよう」と選手たちに伝えていた。序盤、鹿島に押されていた磐田だが、10分に大きな先制ゴールが生まれる。駒野友一のスローインを受けたペク ソンドンが右サイドを突破。鋭いクロスに飛び込んだのは前田遼一。エースのヘディングシュートが決まり、1-0。日本を代表するストライカーのゴールにスタンドの子どもたちは目を輝かせた。
その後、ゲームは1-0のまま動かず、しばらく“沈黙”することになったが、子どもたちへのさらなる”プレゼント“は終盤に用意されていた。84分、鮮やかなカウンターが決まる。小林裕紀のロングフィードに抜け出した前田遼一がゴール前へクロス。「らしくなく、いいボールが出せた(苦笑)」(同選手)というボールは自陣から長い距離を駆け上がった松浦拓弥へぴたり。この試合、再三に渡るドリブル突破で相手の手を焼かせていた背番号11が確実に流し込み、追加点をマーク。90分には相手のゴール前でセカンドボールをマイボールにした山田大記が左足を一閃。今季ゲームキャプテンを務める背番号10の一発で勝敗を決めた。

ちょうどバックスタンドに詰めかけた小学生の目の前で先制点を決めた前田は「また来てほしいですね」と笑顔で子どもたちにメッセージを贈り、3点目のゴールをマークした山田大記は思いをこう語った。「僕自身も小さい頃このスタジアムに来ていろいろな夢を持たせてもらいました。今、自分がこういう立場になって、しっかりと夢を与えられるように頑張りたいと思っているし、今日来れなかった子どもたちやまだスタジアムに来たことがない子どもたちにもぜひスタジアムに来てほしいですね」。

ホーム・鹿島戦で10年ぶりに勝利したという不名誉ながら、メモリアルな勝点3。キックオフを目前に控え、「負ける気がしないよね?」と仲間内で盛り上がっていた少年たちはホームチームの大勝に気をよく帰路についただろう。
磐田市が主催するこの取り組みは昨年に続き、2度目。「スタジアムでサッカーを観たことがなくて、去年初めてここに来てファンになり、それ以来家族と一緒に試合を観に行くようになった、という子もいるんですよ」。子どもたちの脇で引率の先生が笑った。

歴史は受け継がれていく。
この場所には人々の心を動かす最高のエンターテイメントがあるのだから。

以上

2012.05.13 Reported by 南間健治
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