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【J1:第11節 川崎F vs 柏】レポート:柏の縦方向の揺さぶりもあり、中盤を作ることができなかった川崎F。数字でも内容でも完敗(12.05.13)

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川崎Fはボールを繋げなかった。柏のプレスをもろに受け、ボールを失い続けてしまうのである。いくつかある原因のうち、大きな要素となったのが柏のロングボールだった。

柏のロングボールの効果について矢島卓郎は「蹴られるとディフェンスラインが引くので中盤が繋げなくなった。低いところから攻撃が始まるという難しさもあった」と説明。つまりロングボールをケアすることを考えた守備陣は思うようにラインを押し上げられず、それによって川崎Fは全体的に間延びしてしまうのである。選手一人ひとりの距離が長くなり、ボールを保持する選手に対するフォローが遅れ、孤立する場面が増えた川崎Fの選手たちは苦し紛れのパスをカットされるなどしてマイボールの時間を増やせなかった。

こうした事態に対する対処方法はいくつか考えられる。セオリーの1つはロングボールの出どころを抑えるという考え方だが、これは風間八宏監督のサッカーでは取り入れられていない。そうした組織的な守備練習が行われていないというのが大きいが、FWがシュートの場面で余力を残すという意味でも、現体制下では採用されないはず。
となると、解決の方法としては最終ラインを押し上げて全体をコンパクトに維持するというのが1つ。もう1つが激しいプレスの中でもパスを繋げられる中盤を作るという方法になるだろう。
ラインを上げるという解決策については、森下俊が「ラインを上げようとしてたんですが、相手は大きく蹴って来ましたしリスクもありました」と述べ、難しい状況があったと振り返っている。そもそも柏は縦に並ぶFWの1人である工藤壮人が川崎Fの2枚のセンターバックにプレスを掛けており、厳しい駆け引きが行われていた。川崎Fの中盤が機能不全を起こす可能性はあるが、ロングボールから簡単にやられないためにも、守備ラインにある程度の深さが必要であるとの判断があったようである。

となると、あの試合展開で取りうる解決策は中盤でパスを失わないように「うまくやる」ということになる。この点について、最後尾から試合を見ていたGK西部洋平は「相手のフォーメーションにハマってしまって、上手くボールを引き出せていなかった。運動量も少なかったと思います。攻撃のところで、こっちがもっと相手を動かさなければダメ」と話している。柏が特別に川崎Fに対して何か対処したというよりも、柏のフォーメーションがかっちりと川崎Fを封じ込める形で機能していたと言う。そして、それを崩すための動きが少なすぎたと話している。選手一人ひとりのボールを受ける動きの少なさについては森下が「当てて、もらって。当てて、もらってを繰り返してボールをもらう動きを増やさないと」と反省する。また、同じような言葉は中村憲剛も口にする。
「自分たちのボールの時に顔を出す選手が少ない。ボールを持った選手が、パスを出した後にもう一度参加すれば2対1になる(のでパスを回しやすくなる)」
ロングボールに対応しなければならないため選手同士の距離が遠かったという要素はあるが、それにしてもボールを保持する選手に対する関わりが少なかったと反省しているのである。そして中村は「もっと技術を上げて、プレスに来てもキープできるくらいにならないと。また練習します」と前を向いていた。

川崎Fはかっちりと組み合ってしまった柏のフォーメーションを崩すことができず、ペースを奪われたまま試合は進む。ただ、それでも単発ながら川崎Fはチャンスを作ることはできていた。たとえば56分。この試合が来日初出場となったレネ・サントスがオーバーラップによって柏のペナルティエリア内へとボールを持ち込みシュートを放っている。その2分後には、FKのこぼれ球を楠神順平がジャンビングボレーで狙うが、これはクロスバーに嫌われた。64分には矢島がミドルシュートを放つが、柏のゴールを守る稲田康志のファインセーブに阻まれてしまう。

これらの川崎Fのチャンスが単発だったことに対し、柏は連続性を持って攻撃を繰り返していた。そしてそれらの攻撃が形となったのが63分の場面だった。酒井宏樹が右サイドを破り、駆け上がってクロス。中央のジョルジ・ワグネルを経由して左に流れた田中順也がシュート気味のクロス。ゴール前の工藤のシュートは一度は跳ね返されるが、このこぼれ球を再びゴールに蹴り込む。「泥臭く決められました。自分らしかったです」と話す工藤のゴールにより柏が1点を先制する。
1点を失った川崎Fはここから反発力を見せようと試みるが、サイドを崩してもクロスが合わず。中盤でパスを繋げられなければスルーパスも思うように出せなかった。試合時間が残り5分を切ってからの川崎Fの攻撃は鬼気迫るものがあったが、90分に手にしたFKの場面もヘディングでつなぎながら枠に飛ばすことができなかった。

同点ゴールを狙い続けた川崎Fの息の根を止めたのが、90+2分の柏のカウンター。タッチライン際、茨田陽生が自らが奪ったボールを持ち出して工藤に縦パス。その工藤は「自分で行こうと思っていたんですが足をつって」いたため、並走してきたジョルジ・ワグネルにラストパス。ジョルジがこれを蹴りこんで試合を決めた。

「1ヶ月間、Jリーグで勝ちがない状態で(中略)選手たちとも我々の今の状態というところをしっかりと自覚して話し合い、いい準備をしてきました」(ネルシーニョ)という試合は「久々に柏らしかったと思います」と工藤が胸を張る内容となる。柏にとっては、広島を相手にホームで喫した大敗を払拭し、5月15日(火)のアウェイでのACL全北現代戦に向けていい流れを作る結果となったはずだ。
一方の川崎Fは、内容でも結果でも完敗という試合となってしまった。中3日で5月16日(水)に行われるヤマザキナビスコカップ ホーム等々力での浦和戦に向け、どうチームを立て直すのか、注目したいと思う。

以上

2012.05.13 Reported by 江藤高志
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