4月22日以来、約3週間ぶりにホーム、万博記念競技場に戻って来たガンバ大阪。残念ながらACLを含めたアウェイ3連戦を全敗したことに加え、いずれも無得点で終えたからだろう。「なかなか結果を出せない中で、対相手ということも考えながら、今はいろんな組み合わせを試している」という松波正信監督の言葉通り、この日のベガルタ仙台戦も前節とは前線の顔ぶれを代え、FW佐藤晃大とFWパウリーニョが2トップを組む。
対する仙台は、J1リーグでは今季初黒星を喫した清水エスパルス戦からやや先発メンバーを代え、FW赤嶺真吾がリーグ戦では4試合ぶりに、DF田村直也が3試合ぶりに先発出場。清水戦で今季初の先発出場を果たしたFW梁勇基はベンチスタートとなる。
前半から主導権を握ったのはG大阪。堅守を誇る仙台を相手に、ポゼッションを取り、パスを回して相手の守備に揺さぶりをかける。20分には、FKのリスタートでの展開から、FW佐藤を経由してFWパウリーニョが決定的な場面を迎えるが枠を捉えられない。27分にもMF遠藤保仁の視野の広さがうかがえる縦へのロングパスに反応したMF寺田紳一が左サイドの深い位置でボールを受け、シュートまで持ち込むが、GKに弾かれてしまう。
これに対して仙台も『守備』への意識の高さを窺わせながら、機を見てカウンターでの攻撃を展開。26分には、左サイドのMF関口訓充からのクロスに合わせ、タイミングよくエリア内に侵入したFW赤嶺がダイレクトでシュートを放つが、これは枠を大きく外してしまう。また36分にもペナルティーエリアそば、ほぼ真ん中という好位置でFKのチャンスを得るが、FW太田吉彰の狙いすましたシュートは壁に当たってしまう。
こうしてお互いに数は少ないながらも決定機を作り出した前半だったが、スコアレスで後半へ。その後半もG大阪が立ち上がりから主導権を握り、MF遠藤が効果的に裏のスペースを狙って効果的に、かつ早いタイミングで縦へのボールを送り込むなど、攻撃のリズムを変化させながらゴールを目指す。実際、それを受ける側の仙台は、G大阪の緩急のある展開にやや振り回されている感も。それでも堅守がウリの仙台とあって、個々が互いをカバーし合いながら組織力で対応。G大阪の攻撃陣をほとんど、ペナルティーエリア内に寄せ付けずに落ち着いて試合を進める。
均衡を破ったのは62分、G大阪。MF倉田が前線で相手守備陣に囲まれていたFW佐藤に一度ボールを預けると、なんとか粘って身体を張ったFW佐藤が再びMF倉田にパスを戻す。それを受けたMF倉田が思い切りよく振り抜いた右足でのシュートは美しくコースを突いて、G大阪が待望の先制点を奪い取る。
と、ここまではG大阪にとって理想的な展開だったが、問題はここから。
先制したことで心身両面に優位に立つのかという期待に反して、MF梁、MF松下年宏という2枚の攻撃的な選手を投入してきた仙台に押し込まれる時間が続く。先制するまで安定感を示していた守備ラインも徐々にラインが揃わなくなり始めたこともあって、両サイドを効果的に仙台に突かれるシーンが増える。78分に仙台のFW赤嶺が奪った同点弾も、G大阪の右サイドを崩されての展開から。MF角田誠のパスを左サイドで受けたMF梁のクロスを、FW赤嶺がドンピシャで頭で合わせて試合を振り出しに戻す。
この状況に松波監督も動き、MF武井択也とMF阿部浩之を投入してMF遠藤を2列目に上げたり、MF佐々木勇人を投入したりと、前線の顔ぶれを変えながら最後までゴールへの意欲を示したが、結果的に彼らを絡めた攻撃はほとんど見られないまま、1−1で試合終了。共に勝点1を分け合ったとはいえ、G大阪のホーム戦ということを思えば、G大阪は勝点2を“失い”、仙台は勝点1を“掴んだ”という印象が残る試合となった。
以上
2012.05.13 Reported by 高村美砂
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