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【J1:第9節 川崎F vs 磐田】プレビュー:風間流サッカーを貫きながら、臨機応変な試合運びも見せたい。(12.05.03)

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サッカーにはマジックはないのだという事を、改めて痛感させられた一戦だった。更迭による監督交代の激震の中、新たにチームを指揮する事となった風間八宏監督に対する期待は高かった。しかし初陣となった広島戦は、ふたを開けてみれば1−4の大敗。どれだけ優秀な指揮官も、準備する時間がなければ十分な結果を出せないのだという当然の結末となった。

しかし救いがあるとすれば、選手たちが風間監督のサッカーに対し貪欲に向き合っている点であろう。止めて蹴るというサッカーの基礎中の基礎を改めて指導されるところから始まった風間監督の練習は、徐々にそのレベルを高度化させつつある。そしてそんな練習を選手たちは楽しんでいる。

基礎技術の意識を徹底させる一方で、実際に試合を行う選手たちには、最後の詰めの部分について「うまくやれ」とだけ指示しているという。試合が常に流れるサッカーという競技では、局面局面で対処するのは最終的にピッチ上の選手たちである。そういう意味で、カチッとした戦術を決めてかかるやり方とは違い、臨機応変に試合展開に対処できるチームに仕上げるべきで、また実際にそうなるのだろう。

ただし、そうしたチームに仕上がるまでの道のりは長そうである。試合2日前に行われた紅白戦で、AチームはBチームに大敗を喫してしまう。「要らないもの」であるとされる横パスを極力排し、縦パスを狙い続けたことが裏目に出た形だ。

「前に前にと言っても、時には横パスも必要」と話すのは小林悠。もちろん監督を批判しているわけではない。幾つかの基本的な指示は出ているが、風間監督からは最終的に「うまくやれ」と言われている現状を踏まえての発言である。うまくサッカーを進めていくためにも「しっかり考えてやらないとダメだと思う」と表情を引き締めていた。

2試合連続となる等々力開催でさすがに連敗はできない。そもそも先日の広島戦を落としたことで、ホームではリーグ戦3連敗となってしまった。「あれだけの雰囲気を作ってくれているのに、気にはなっています」と森下俊。後押ししてくれるサポーターのためにも、この磐田戦はどんな形であっても勝たなければならない試合である。そんな試合に向けて、風間監督は先入観を排して選手たちを見ていると話す。選手起用について問われ「毎日練習を見て調子のいい選手を使います」と答えていたが、どのようなメンバー構成になるのか、楽しみにしたいところである。

暖かい声援を送ってくれるサポーターを前に、どうしても負けられない試合となるが、対戦する磐田はもちろん簡単な相手ではない。

森下仁志監督を迎え入れての初年度となる今季の磐田は、ここまで4勝2敗2分け、勝点14を手にしている。序盤に勝ち星を積み重ねたが、ここに来て失点に増加傾向が見られており、勝ち星を落としつつある。川崎Fとすれば、安定感をなくしつつある磐田守備陣を突き崩したいところだがどうなるか。

その磐田は、駒野友一というサイドアタッカーはもちろん、CBとの駆け引きの中、高いレベルで相手を外す動きを見せる前田遼一という選手が控えている。佐藤寿人に喫した2失点の記憶が鮮明な中、川崎Fの守備陣が彼らをどこまで押さえ込めるのかが試合の行方を決めるポイントの1つとなろう。川崎Fの最終ラインを統率する森下俊は、その前田について「全てが揃った選手」だと表現。「前田さんは体が強いですし、あそこで収まったら怖い。前を向かせないようにしたい」と話す。しかし、前を向かせなかったとしても、2列目に控える山田大記や松浦拓弥といった質の高い選手は侮れない。いずれにしても気の抜けない試合となる。

ちなみに磐田ユース出身の森下俊は「ユースからずっとお世話になってきたチームなので、思い入れはあります」と話す。その磐田の中でも、小学校時代から対戦しユースではチームメイトとなった八田直樹との対戦を楽しみにしていた。「ディフェンスなのでまずは無失点を目指しますが(ゴールの)チャンスもあると思う」(森下俊)

幼馴染同士の対決となる、川崎Fのセットプレーの場面は注目である。

 風間監督は前節の広島戦に引き続き、この磐田戦でも相手を分析する事を意図したミーティングを行わなかった。相手がどうこうというよりは、自分たちの完成度を高めたいのだという意図がそこには込められている。

「(磐田の試合は)選手も十分みてる。いちいち強調することもない」と風間監督。「自分たちのやるべきこと。攻撃だけでも守備だけでもない。ボールゲームなのでバランスを見てやります」と言葉を続けた。振り返ると、広島戦の試合後に修正すべき点を問われた風間八宏監督は「修正点というよりも、これから高めて行かなければならない」と話し、目指すべきサッカーの追求を続けると述べている。そもそも風間監督のサッカーは、根源的な部分を掘り下げる形でつくられており、その完成に時間が掛かる事は覚悟済み。だからこそ、敵がどうこうでははく、まずは自分たちのサッカーを貫くのだとのスタンスを突き詰めているのだろう。

4失点の大敗を喫した先日の広島戦から中4日。チーム作りの端緒についたばかりの川崎Fは、自分たちのサッカーを行う中で、どこまで試合展開に応じた臨機応変な対応ができるのだろうか。そして、チームの完成度はどこまで高まっているのだろうか。気になるところである。

以上

2012.05.02 Reported by 江藤高志
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