ようやく相手ゴールネットを揺らした。徳島は前節・水戸戦の終了間際に待ち望まれた得点を記録。7節以降4試合にもわたって続いていた連続無得点という厳しい状況をひとまず何とか脱した。「やっと点を取ることができました」とは終了後の小林伸二監督のコメントだが、その一言がチームの抱えていた苦悩の深さを何より物語っていたと言えよう。
また「いい材料は出来たと思っています」と指揮官も続けたように、奪った5試合ぶりのゴールはチームにとって変化へのいいキッカケになるのではないか。なぜならそれが偶然に頼ったものでなく、最終的にはPKであったものの狙った形から生み出したものであったから。
しかし、その前節も結果は敗戦となり、チームはまだ2節以来の勝利に届いていない。それだけに今節の徳島の使命となるのは言うまでもなくトンネル脱出。どんな時も後押しを続けてくれるホームサポーターの前でこれ以上勝利のないゲームを続けるわけにはいかないはずだ。そしてそのためには勝負の分かれ目となる部分の問題解決が絶対に不可欠であろう。その問題とは、明らかな決定力不足─。前節の徳島は連動したプレスとボール奪取後の素早い切り替えによって多くの決定機を作ったにもかかわらず、最後のところをことごとく決め切れなかった。そのためにチームは勝利の女神を振り向かせることが出来なかったと言って間違いない。
ではその決定力不足を解決するために必要なものは何かと言えば、掴んだ好機における個々の冷静な判断がきっとそれ。
というのも、前節立ち上がりすぐに迎えたショートカウンターの場面でその欠如がハッキリ感じられ、そのワンシーンがある意味勝負の分かれ目だったと言えるからである。その場面では、プレスをかけた混戦からキム ジョンミンがボールを持ち出してそのままフィニッシュを放ったが、その右側には鈴木達也が全くのフリー状態で並走していた。対応した水戸DFがキムへアプローチに動いたことも考えると、もしキムが冷静に鈴木へフィニッシュを託せていたならと思えたシーンであった。もちろんストライカーである以上エゴイズムはあって当然であるし、この状況下自分が点を取ってやるという強い意気込みは必要だが、今最も重要なのはチームとしての得点だけに悔やまれる判断であったと言わざるを得ない。
さらに、フィニッシュ自体においてもその必要性は高まる。前節は水戸GKの連続したビッグセーブにやられた感があるが、それでもより冷静な判断のもとフィニッシュを行えていたらきっと結果は違ったはず。相手の厳しい寄せもあることから、許される時間はわずかしかないだろうが、フィニッシュチャンスを掴んだ選手は右か、左か、転がすべきか、浮かすべきか、冷静な判断をもってボールへ力を伝えなければならない。
いずれにしても、徳島においてはそうした決定機での冷静な判断がトンネルを脱出できるかどうかのカギになるように思われる。攻撃の展開面には間違いなく良さが出てきているのだから、あとはピッチに立つ選手たちがその部分を向上させていけるかだ。それだけに前記のキム、鈴木をはじめとするアタッカー陣には期待がかかり、彼らのチャンスシーンでのプレーには注目が集まる。
対して松本は4戦連続で相手を完封している守備の好調をこの一戦でも継続させて勝点3を持ち帰りたいであろう。
「一人かわされても、また一人出てくるチームにはなっているので、粘り強くはなっていると思います」と反町康治監督は現在のいい組織状態を評していたが、松本の守備はまさしく選手たち全員の献身的姿勢で構成している。それゆえ単発なアプローチなどがほとんどなく、その守りはピッチ全体にまでゆきわたっていると言えよう。だからこそ、前節のようにパスワークの上手さを持っている京都相手でも簡単にリズムを掴ませることはない。連続した潰しによってそれを分断し、そうした相手のストロングポイント封じから自分たちの流れへと持っていけるのである。
その守備の力を余すことなく発揮すれば、松本はこの一戦でもグッと結果を引き寄せられるに違いない。8節・熊本戦での快勝を境に大きな進化を果たしているチームは初上陸となる徳島の地でどのような戦いを見せるのだろうか。非常に興味深い。
以上
2012.05.02 Reported by 松下英樹
J’s GOALニュース
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