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【J1:第9節 鳥栖 vs 仙台】プレビュー:『負けていない』両チームの対戦。『負けられない』一戦は、リーグ最強の盾(失点)と矛(得点)の直接対決。(12.05.03)

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楚の国に、矛(ほこ)と盾(たて)を売り歩く商人がいた。矛を売るときには、「どんなに強い盾でも突き通す」といい、盾を売るときには、「どんなに強い矛でも突き通すことはできない」との口上を使っていた。それを聞いたお客が、「じゃ、その矛でこの盾をついたらどうなるのか?」とたずねたところ、商人は返答に困ったという。この話は、中国の韓非子の故事として有名な話である。最近では、バラエティ番組でもこの矛と盾を用いた対決で盛り上がっている。

今節の鳥栖対仙台の戦いは、リーグ最少失点の鳥栖とリーグ最多得点の仙台との戦いである。付け加えると、仙台は今節まで無敗であり、鳥栖はホーム戦では無敗である。最多得点の仙台と、最少失点の鳥栖はどちらが強いのか・・・。負けていない両者に、どちらが先に負けるのか・・・。このような疑問に、故事のように商人が返答に困ることはない。5月3日の16時には、この対決が始まるわけで、90分後にはその結果が出ているからである。読者諸兄には、矛と盾の商人になった気分で読んで頂きたい。

矛(仙台)が盾(鳥栖)を突き破るにはどうしたらいいだろう。仙台は、組織的な守備で相手の攻撃に耐え、奪ったボールを相手のスキを突いて得点を奪う戦いをしてくる。相手が、出てくれば来るほど、奪った時に付け込みやすい事になる。スキを突けなくても、人数をかけて畳み込む強さがある。今節まで19得点は、リーグ最多であり、得失点差+13は群を抜いている。特出した得点者がいるわけではない。FW赤嶺真吾、FWウイルソン、MF関口訓充とどこからでも誰でもが得点をあげる事ができる強さがある。矛は、一本だけでなく数本あるような状態なので、守りにくいことこのうえない。

では、盾(鳥栖)が矛(仙台)に破られないためにはどうしたらいいだろう。鳥栖は、全員がハードワークして相手に得意とする攻撃の形を出させていない。守備のスイッチが入ると、全員でボールを奪いにかかる。そして、奪ったボールはシンプルに前線に送って得点を狙う。今節まで、8試合で4失点は誇らしい。得点こそ、8得点と上位の中では寂しい数ではあるが、先制すると負けない強さがある。センターバックの小林久晃を中心に、高さと対人の強さを見せている。最後尾には、GK赤星拓が控えている。盾は、高くてしっかりと連携が取れているので、攻めにくいことこのうえない。

ここまでプレビューを読まれた読者諸兄は、返答に困った商人と同じ気持ちになられたのではないだろうか。それでは、鳥栖の担当を拝命している筆者の沽券にもかかわる。ならば、プレビューらしく少しだけ、この盾と矛の弱点を予想しておきたい。鳥栖びいきの方は、第5節名古屋戦(4月7日豊田スタジアム)を思い出して欲しい。仙台びいきの方は、第8節新潟戦(4月28日東北電力スタジアム)を思い出して欲しい。

鳥栖は、名古屋戦ではシュート数こそ多かったものの1点を奪えずに0−1での惜敗を喫した。シュートが多かったので攻めていたともいえるが、守備では相手にプレスをかけることができずに、上手くボールを回された。プレスをかけるとかわされ、ブロックを引くとボールを散らされ、“ボールの奪いどころ”を絞ることができずにポゼッションでは名古屋が上回った。GK楢崎正剛のスーパーセーブがあったにせよ、決めるべきところで決めないと、“堅守”だけでは勝つことができなかった。仙台は、新潟戦で1−0と勝利したが、組織的な守備を引く新潟DFを最後まで崩すことができずにPKであげた先制点を守りきっての辛勝だった。相手にブロックを作られ、ボールの入りどころをケアされると、リーグ最多得点の仙台といえども、簡単には崩すことはできなかった。この試合、新潟の個の力でたびたびゴール前まで迫られたことは課題として残った。

この2試合を顧みると、今節の鳥栖対仙台の戦い方が見えてくるようだ。鳥栖は、しっかりとブロックをひいてコンパクトな守備陣形で仙台の攻撃に構え、仙台は簡単にボールを前線に送るのではなく、しっかりとポゼッションしながらボールを動かし、鳥栖の守備が緩んだところを一気に突いてくるのではないだろうか。今節の試合は、攻守のスイッチの入れ方や切り替えの早さを楽しむことができそうだ。サッカーは、盾も矛も一緒に持ち合わせて戦うスポーツだから、故事のように返答に困ることはない。

矛盾は、時間の経過とともに真実が明確になるものである。スポーツには勝敗がつき物である。矛を売る側には矛の理論があり、盾には盾の理論がある。どちらが強いのかは、直接戦ってみれば一目瞭然である。その結果を、スタジアムで見届けてほしい。戦う前まではあれこれと御託を並べても構わないが、結果が出たら相手にリスペクトして喜憂すれば良い。サッカーは、勝敗を抜きにしては成立しないスポーツなのだから。

以上

2012.05.02 Reported by サカクラゲン
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