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【J2:第11節 水戸 vs 徳島】レポート:本間幸司、立ちはだかる。悪い流れでも勝ち切る“したたかさ”で水戸が徳島を退け、今季2度目の3連勝。4位に浮上!(12.05.01)

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前節・湘南戦の激闘から中2日。まだ水戸の選手たちの体から疲労は抜けきっていなかった。全体の動きが重く、ボールを思うように動かせない。徳島のゾーンディフェンスを崩せずにロングボールを主体とした徳島の攻撃に押し込まれ、苦しい時間帯が続いた。「今季ワーストのゲーム」と本間幸司が振り返るように、過去10試合と比べて明らかに質の落ちるゲームであった。
だが、長いシーズンを戦うにあたって、必ず内容の悪い試合はある。そういった試合でも勝点を積み上げることができるかが上位に進出するカギを握る。水戸にとってその資質が問われるゲームとなった。

そこでチームを救ったのが、水戸が誇るスーパー守護神・本間幸司であった。これまで水戸はリーグ最少の5失点という堅守を誇ってきたが、「チーム全員のハードワークに助けられてきた」と語るように、本間がチームを救う試合というのはほとんどなかった。ただ、「いつかはこういう時が来ると思って準備をしていた」と常に集中力を高めてプレーしていた本間の本領がついに発揮された。この日はまさに「本間劇場」と化した。

15分、鈴木達也からの折り返しをジオゴに至近距離からフリーでシュートを打たれるも素早く体を倒し、右手に当てて防いでみせる。16分には左CKを西嶋弘之に頭で合わされてしまう。ゴール左隅にボールは飛び、決まったかと思われたが、本間が横っ跳びで外にはじき出す。28分のキム・ジョンミンとの1対1の局面では、無理に飛び出さずしっかりとポジションを取ってシュートを右手1本で止めた。前半はピンチの連続となったが、本間がことごとく絶対的なピンチを防いだことで水戸にチャンスが訪れたのだ。
37分、速攻から左サイドを崩して得たFK。橋本晃司が蹴ったボールを今季初先発となった加藤広樹がGKの手前で合わせてゴールに流し込む。水戸にとってこの日最初の決定機。試合開始から劣勢が続いていた水戸がワンチャンスをモノにして先制してしまうのだから、サッカーは分からない。

後半に入っても流れは変わらず。徳島のコンパクトなゾーンディフェンスに苦しみ、中盤で起点を作れないまま、試合は進んだ。47分には左CKをキムに頭で合わされるが、これも本間の好セーブに救われる。
だが、守護神におんぶにダッコだったわけではない。内容が悪いならば、悪いなりのサッカーで対応したのだ。チーム全体が高い守備意識を持ち、献身的な動きを見せた。鈴木隆行と橋本が前線から激しくボールを追い回し、小澤司と島田祐輝の2人は守備になるとすぐに自分のポジションに戻ってゾーンを埋めた。サイドバックも的確なポジショニングで徳島のサイド攻撃に対応。球際やルーズボールに対しての反応などで徳島を上回り、疲れが見える終盤もサボることなく走り続けた。

努力する者は報われる。追加点は、まさにそれだった。前半から無尽蔵のスタミナで中盤の広い範囲をカバーしていた西岡謙太。最後まで運動量が落ちることはなかった。89分、相手DFにプレスをかけ、GKへのバックパスにもついていった。そして、GKが蹴ったボールは中盤の上里一将の頭上へ。上里がGKにヘッドで返そうとしたところ、ボールはなんと西岡の足元へ。GKとの1対1を冷静に流し込んで、思わぬ形で追加点を挙げることに成功したのだ。確かに相手のミスではあるが、GKまでボールを追いかけた西岡の姿勢が結実したゴール。サッカーの神様は、決して努力を裏切らない。これまでチームを献身的に支え続けた西岡にほほ笑んだのだ。

終了間際にPKを献上して失点してしまうが、そのまま逃げ切って2−1で水戸が勝利を手にした。これで今季2度目の3連勝、4位に浮上した。試合後、選手たちは「昨年だったら勝てていなかった」と口を揃えた。流れが悪い試合で気持ちを切らして、敗戦を重ねていたのが昨年までの水戸であった。リードしていても終盤に追いつかれるという展開を何度繰り返してきたことか。だが、今は違う。「こういう流れの試合で勝てたことが大きい」と本間が胸を張るように、強いチームが持つ特有の“したたかさ”がこの日の水戸には存在した。悪い時間帯をしのぎ切り、少ないチャンスを生かして勝つ。内容が悪い試合でも勝てるという経験を得たことは今後に向けての大きな収穫となることだろう。
ただし、この試合を「勝利の方程式」にしてはいけない。あくまで水戸が目指すのは、自分たちで主導権を握って攻め勝つサッカーである。「こういうゲームを2度としてはいけない」(本間)。そこを見落とさなければ、水戸はもっともっと強くなれる。

「もったいない試合だった」。徳島の小林伸二監督は唇を噛んだ。90分を通して主導権を握ったのは徳島であった。厳しくプレスをかけて水戸の中盤の自由を奪い、素早い攻撃で水戸ゴールを襲った。本間の活躍がなければ、試合後チームは歓喜に包まれていたことだろう。これで9試合勝利なし。またもトンネルから出ることはできなかった。
とはいえ、この日見せたパフォーマンスは過去の試合と比べて、攻守においてチームとして狙いとするものがはるかに出ていた。終始主導権を握り、トンネルの出口が近いことを予感させた。1つ結果を出せば、上昇気流に乗れる。この日の徳島からは、そんな予感が漂っていた。昨季最終節まで昇格争いを繰り広げた徳島の目覚めの時は近い。

以上

2012.05.01 Reported by 佐藤拓也
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