前節北関東ダービーの初戦で水戸に敗れた草津は、敗戦という結果に加えて3選手が今節出場停止になるという大きなダメージを受けた。前節イエローカード2枚で退場となった櫻田和樹、警告累積の松下裕樹、保崎淳の主力3選手を欠く草津は、総力戦で北九州を迎え撃つ。スクランブルとなる草津だが、変化の胎動は聞こえている。
北九州戦へ向けた25日の実戦練習で、副島博志監督は多くの選手を主力組に入れてコンデションとコンビネーションを確かめた。草津はダブルボランチと右サイドバックを出場停止で失うことになるが、メンバー変更はそのポジションだけに留まらず、前線を含めたチーム全体に及んでいた。指揮官は「チームにとってはピンチだが、選手にとってはチャンスでもある。チャンスを得た選手は、出場停止組のポジションを奪うつもりでプレーしてほしい」と鼓舞する。
プロ初先発のチャンスをつかみそうなのは、大卒2年目のMF山本啓人だ。松下裕樹、櫻田和樹、熊林親吾のイカツイ3選手がひしめくチーム一の激戦区ボランチで出番をつかむことができなかったが、地道にトレーニングを積んで着々とスケールアップ。開幕前のファン感謝祭では、ステージ上でモノマネを披露するなど度胸もつけた。
鹿島ユース出身でテクニックは折り紙つき。広い視野からミドルパスを配給しバイタルへと飛び込んでいく。開幕前のテストマッチでは技ありの直接FKを叩き込むなど顔に似合わず器用な一面を見せ、きっかけをつかめばブレイクする可能性を秘める。「練習試合で手応えをつかんでいるので自信はある。自分らしいプレーで結果を残したい」(山本)。勝利のヒーローインタビューはモノマネでお願いしたい。
一方の北九州は4勝1分4敗の勝点13で12位。前節は山形に敗れて現在2連敗中だが、7節までは4連勝をマークするなどチーム一丸となった粘り強い戦いぶりで白星を重ねた。今節は守備の要・宮本亨が警告累積で出場停止となるが、ポゼッションをベースとした戦いは変わらない。副島監督は「北九州はスタイルが確率されているのが強み。うちも自分たちのスタイルをぶつけていく」と決戦に挑む。
レギュラー争いに活気づく草津の中で、静かな闘志を燃やす選手がいる。今キャプテンに指名された御厨貴文だ。5節以降スタメンから外れていたが保崎の出場停止に伴いラインに復帰することが濃厚だ。御厨は「個人的にも絶対に負けられない試合になる」とだけ言い残して練習を引き上げた。最近4試合ベンチでゲームを見守り続けた主将・御厨の思いはメンバー全員が共有している。それぞれ置かれた状況は違うが結果を求める思いは同じ。北九州戦は、草津に新たな“源泉”が吹き出すゲームとなる。
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2012.04.26 Reported by 伊藤寿学
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