本文へ移動

今日の試合速報

国立競技場に10,000名様無料ご招待 9/14 19:00KO 国立競技場 FC東京vs名古屋
国立競技場に10,000名様無料ご招待 9/14 19:00KO 国立競技場 FC東京vs名古屋

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第8節 熊本 vs 松本】レポート:今季最多3得点の松本山雅が5試合ぶりの勝利。内容でも終止後手を踏む展開の熊本は、今季2度目の連敗。(12.04.16)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
強烈なファーストインプレッションを与えるどころか、逆に植え付けられた格好だ。初対戦となる松本山雅を迎えた熊本は、セカンドボールの争いでも、玉際の激しさでも、運動量でも後手を踏み、さらにはメンタルでも圧倒されて屈辱的な大敗。結果はおろか内容でもいいところなく勝点3を献上し、試合を終えて挨拶に向かった選手たちには、ゴール裏から容赦ないブーイングが飛んだ。

ここまでの7試合で2得点に終わっていることを受け、松本はやはり、この一戦に向けて今まで以上にシュートを打つことを意識づけていたようである。キックオフ直後、15秒ごろのシーンだが、熊本陣内でのこぼれ球に対して、(ゴールへもボールへも)やや距離がありながらシュートを狙いに走り込んだ喜山康平のプレーに、その姿勢が表れていた。そうした前への勢いが、徐々に松本がペースをつかんでいった一因だ。
もっとも、熊本も10分すぎから落ち着いてボールを動かし、あるいは左の片山奨典が前を追い越す動きを見せて松本陣内へ攻め込む場面は作った。しかしDFラインの背後への抜け出しや3バックの間を開かせるような連動した動きは見られず、サイドへ展開してもクロスの質が悪かったり中の枚数が足りなかったりでフィニッシュへ持ち込めない。とにかく松本の戻りが早い、というより熊本の判断が遅く、またトップにいい形で収まらないことも影響してサポートがままならず、アタッキングサードで数的優位を作れない状態で時計は進んでいく。熊本が記録した前半のシュートは、28分に右コーナーキックから片山がダイレクトで狙った1本のみ。これも相手のブロックに阻まれ、ゴールマウスまで届いていない。

松本は勢いを持って押し込みながらもラストパスやフィニッシュの精度を欠いていたが、39分、リスタートから遂に均衡を破る。ハーフウェイラインを僅かに越えた位置で塩沢勝吾が倒されてフリーキックを得ると、喜山の長いフィードを多々良敦斗が競り勝って折り返し、ゴール前に詰めた塩沢が自ら沈めた。「折り返しの角度が良ければ、という場面があったし、(ボールが)来るなというのはあった」という塩沢の言葉は、そうしたイメージをゲーム中に感じさせてしまうほど、熊本の玉際の甘さやマークの緩さが顕著だったことの裏返しだ。
試合後、熊本の高木琢也監督が「やりたいこと、選手たちにやってほしいこと、相手に対しての対策の部分が全く機能しない。プレーの意識も含めて、それをうまく修正、コントロールできなかった」と述べている通り、後半に入っても流れは変わらなかった。むしろ松本はギアを上げた。
57分、左からのクロスに大外の飯田真輝がフリーで合わせ、58分には熊本のクリアミスを船山が拾って1対1の形に持ち込む。いずれも南雄太が防いだが、その後も熊本は中盤のスペースも使われ放題。五領淳樹に替えて仲間隼斗、白谷建人に替えてファビオと、前にフレッシュな選手を入れて点を取りにいくが、肝心なところでのミスもあり攻撃は全体的にちぐはぐで、逆に72分にはゴール前の混戦から鐵戸裕史に、79分にはコーナーキックから多々良にと、立て続けに追加点を許す。80分に原田拓を下げて西森正明を入れたが後半も決定的な場面はほとんど作れず、結局、得点を奪えないまま終了の笛を聞いた。

90分を通して松本が主導権を握りゲームをコントロールしたのは、球際に厳しく寄せる、守備へ切り替わった際の帰陣を早くする、逆に攻撃に転じればシンプルに、背後や整う前の隙を狙う、といったミッションをチームとして共有し、それを忠実にこなした結果だろう。攻撃では得点シーンの他にも決定機を作り、守備においてはボールにアプローチをかけてディレイさせながらバイタルをしっかりと閉じて熊本の攻撃を跳ね返した。加えて、「心(しん)の部分が今日は大きかった」と反町康治監督が試合後の会見で触れている通り、ひとつひとつのプレーに気持ちが入っていた。それでも「こういうふうになると、次の試合でたぶん思いやられることになる」と、指揮官は手綱を締めている。次節・ホームでの千葉戦に継続し、勢いにのりたい。

熊本は無得点で今季2度目の連敗である。結論から言えば、プレビューで触れた「自分たちの力」は出せなかったことになるが、もう少し俯瞰の視線で見ると、これが現在の力だと認めざるを得ない。シーズンは約1/5を終えたが、ゲーム中に悪い流れを修正する力をつけないことには、その積み重ねであるシーズン中の悪い流れを修正することも容易ではない。新加入で初先発した藏川洋平は「お互いにもっと要求し合っていいと思うし、思ったことは言わないと、チームは良くなっていかない」と話した。メンタル面もさることながら、具体的にディテールを詰めていくことが復調への処方箋となる。そのために心をひとつにできるかどうか、今は試されるときだ。

以上

2012.04.16 Reported by 井芹貴志
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/08/05(月) 10:00 【週末のゴールをイッキ見!】明治安田J2リーグ全ゴールまとめ【0803-0804】