今日の試合速報

ブルーロックLP
ブルーロックLP

J’s GOALニュース

一覧へ

【ヤマザキナビスコカップ 広島 vs 川崎F】プレビュー:天敵・川崎Fを相手に歴史を変えるのか。今季の広島の真価が問われる重要な闘い(12.04.04)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2−0と0−5。今年のキャンプで行われた広島対川崎Fの練習試合でのスコアである。90分ずつ、ファーストチームとセカンドチーム同士が対戦したこの2試合で、両チームの特長と問題点が明確になった。

まず、広島の攻守にわたる安定感が際立った。西川周作・森脇良太・青山敏弘・森崎浩司ら経験ある主力不在にも関わらず組織に破綻はなく、森保一監督の戦術が確実に浸透していたことをうかがわせた。ボランチに入った高校生・野津田岳人が攻撃のタクトを握り、ミキッチのゴールをアシスト。両サイドを広く使った展開からのコンビネーションで石原直樹が得点を決めたほか、ビッグチャンスも量産していた。守備面でもファン・ソッコや増田卓也らのルーキーが入ったにも関わらず統一感のあるチームプレーを見せつけ、川崎Fにほとんどチャンスを与えなかった。
一方、広島の若手組(セカンドチーム)は積極的なプレーを見せたものの、ミスもあって完敗。稲本潤一や小松塁、黒津勝、伊藤宏樹や井川祐輔、田中裕介や楠神順平など、実績のある選手たちがセカンドチームで登場する川崎Fの選手層の厚みを、まざまざと見せつけられた。ファーストチームの不出来は、日本代表に招集されていた中村憲剛の不在に加えて新加入選手たちも多く、コンビネーションが確立されていなかったことが要因。今とは状況が違う。

川崎Fはここまでの公式戦5試合で2勝2敗1分という戦績。得点は4得点と物足りないが、シュート数は平均15.2本と、J1トップクラスの数字を残している。もちろんサッカーはシュート数ではなく得点を競うものであり、「誰が点を決めるのか」という問題を抱えているのは、ゴール数から見ても明らか。だからこそ、全て途中出場ながら公式戦で2得点を決めている矢島卓郎に期待がかかる。フィジカル、高さ、スピード、運動量など、抜群の身体能力を誇る背番号9は、広島にとって間違いなく脅威。実際、昨年も対広島戦で公式戦3試合に出場し2点を決めており、実績も確か。他にも、レナトの左足から繰り出されるプレースキックは美しく危険だ。浦和戦では2列目に下がってのプレーで矢島の得点を演出した巨漢・小松塁の存在も重い。きっかけ次第で得点量産が可能なチームであることは、間違いない。
そんな彼らの怖さをもっとも体感しているのが、広島だろう。2000年3月25日の初対戦以来、広島が公式戦で勝利したのはわずか3試合しかない。昨年もリーグ・カップ含め4試合を闘って1分3敗。ホームでの2試合はいずれもリードして試合終盤を迎えたものの、そこから失点して勝点を失っている。アウエイでの2戦も決してチャンスがなかったわけではないが、結果として0−2・1−3と完敗した。0−7(2009年)など3点差以上をつけられて大敗した試合は全公式戦中4試合。残り10分を切った後の失点で勝点を失った試合は6試合を数える(Vゴール負けも含む)。極めつけは2006年、アウェイでのリーグ戦。佐藤寿人が八ットトリックを決めたにも関わらず、終わってみれば3−3の引き分け。いったい、どうすれば川崎Fに勝てるのか。そんなイメージすら、抱いてしまう。

広島にとって重要なのは、過去の川崎F戦での過ちを繰り返さないこと。前半15分以内での得点を見ると、広島の2点に対して川崎Fの9点。75分以降は川崎Fが12点を奪っているのに対し、広島は2点しかとれていない。サッカーにおいて最も得点が動く時間帯である「試合開始直後」「終了間際」での明確な差は、クオリティもさることながら、集中力などメンタルの問題と言えるだろう。プレッシャーの少ないキャンプでの練習試合では伸び伸びと闘って勝てるのに公式戦で勝てない現実を見ても、「川崎F」という名前からくる過去の歴史を意識しすぎているのかもしれない。

実はリーグ戦最後の対川崎F戦勝利を記録した2005年シーズンでの宮崎キャンプでも、川崎Fとの練習試合に勝利している。そういう「ジンクス」とも言えないような過去にすがりたくなる気持ちではあるが、一方で今の広島の安定感を考えれば、サポーターとしては期待もしたくなる。連戦を考えれば両チームともメンバーの入れ替えはあるだろうが、前述したように川崎Fは個の能力や実績を持つ選手たちが多数。広島は大崎淳矢をはじめ、若者たちが成長。リーグ戦とは違った意味での楽しみも存在する。

広島を襲っている猛烈な風雨は今夜には去り、明日のビッグアーチの天候は安定を取り戻す予報。広島にとってのヤマザキナビスコカップ開幕戦、ホームチームが歴史を変えるのか、それとも川崎Fが相性の良さを継続させるのか。決勝トーナメント進出への今後も占う重要な一戦、見逃してはならない。

以上

2012.04.03 Reported by 中野和也
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

テレビ放送

一覧へ

明治安田J1リーグ 第30節
2024年9月14日(土)19:00 Kick off

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/09/12(木) 00:00 ハイライト:長野vs大宮【明治安田J3 第25節】