ヤマザキナビスコカップを1試合挟んで行われる今週末のJ1第3節。札幌ドームではここまで1敗1分で勝点1、13位の札幌が、1勝1敗の11位浦和を迎えて戦う。
ホームの札幌は20日(火・祝)に行われたヤマザキナビスコカップの新潟戦を0−1のスコアで敗戦。しかし、17日に神戸と戦ったリーグ戦からメンバー全員を入れ替え、ルーキーなど実戦経験の少ない選手などを積極的に起用した。「正直、もっと苦しい試合になるかと思った」と石崎信弘監督はそうしたメンバーの健闘を称えると同時に、「何人か次(のリーグ戦)につながる選手はいた」と、この浦和戦でも続けて起用する可能性のある選手がいることも示唆している。
前節の神戸戦にしても、「いい形でのチャンスは何度も作れていたし、守備でも崩される場面はほとんどなかった」と今シーズンのチーム初ゴールを挙げた山本真希が振り返るように、内容面では一定の手応えを得られる戦いができていた。ヤマザキナビスコカップも含めここまで未勝利ではあるが、「ひとつ勝てば、いい流れを作れると思う」と内村圭宏が口にする通り、チームの雰囲気は前向きだ。
一方、北海道に乗り込む浦和のヤマザキナビスコカップは、ホームで仙台と対戦して1−0の勝利。負傷退場者を出してしまう苦しい展開を強いられたが、セットプレーから永田充が奪った得点を粘り強く守り切り、リーグ戦と合わせてホームで2連勝を果たしている。そしてこちらも札幌と同様にリーグ戦から大きくメンバーを入れ替え、「若い選手にチャンスを与えた」と狙いを明かしたペトロヴィッチ監督はパフォーマンスに関しても「しっかりと素晴らしいゲームをしてくれたし、彼らがしっかりできるところは見えた」と戦力の底上げに大きな手応えを掴んだ様子である。そして「我々が勝利に値するゲームができた」とも称えている。
今シーズンから就任したペトロヴィッチ監督の求めるプレースタイルは、マイボールをスピーディに動かし、人も連動するグループとしてのアタッキングサッカー。言うまでもなく、この戦い方が浸透するにはそれなりの時間を要する。その意味では、チーム作りのまだまだ序盤とも言える段階でホームのサポーターの前で2連勝ができたことは大きいだろう。加えて、前節は王者・柏をも完封したことに加え、前線のデスポトビッチがリーグ戦初得点を挙げるなど、チームに自信や勢いを与える要素もあった。いいイメージでチーム作り、さらにはリーグ戦の戦いを進めていけそうな気配である。
さて、そうして迎える両チームの対戦だが、ポイントとなりそうなのはやはりペトロヴィッチ監督が推し進める攻撃的なパスワークと、石崎監督がチームに叩き込んできた高い位置からのハードプレスとの攻防だろう。広島でペトロヴィッチ監督のもとでプレーした経験を持つ札幌の前田俊介は「あのサッカーはとにかくしっかりパスをつないでくる。そこでしっかりとプレスをかければ、逆にカウンターに持ち込むチャンスは必ず出てくる」と目論む。
「個の力では、浦和のほうが上。こちらはチームとして戦っていかなければいかない」と奈良竜樹。能力の高い選手たちによるパスサッカーと、昇格チームによる組織的なディフェンス。果たしてどちらが勝者となるか。
以上
2012.03.23 Reported by 斉藤宏則
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