2012年のヤマザキナビスコカップ、Bグループ第1節。札幌ドームで札幌と新潟が戦ったゲームは、前半にアラン・ミネイロが挙げた得点を守り切った新潟が勝利。リーグ戦未勝利同士の対戦はアウェイの新潟に軍配が上がっている。
スタメンの構成は対照的だったと言っていい。直近のリーグ戦からともに中2日というスケジュールであるが、その大宮戦から4選手を入れ替えた新潟に対し、札幌は11人全員を入れ替えるという思い切ったターンオーバーを敢行。平たく言うと、チームの連係向上を狙った新潟に対し、札幌はチーム全体のコンディションバランスとバックアップの底上げがこのゲームにおいてのコンセプトのひとつだったのだろう。前貴之、荒野拓馬というルーキー2人や、7年ぶりの公式戦出場となるGK杉山哲も名を連ねた。J1での経験値という部分はあまり多くない構成だ。
そうして試合は始まったのだが、立ち上がりから主導権を握ったのは札幌のほうだった。「正直、もっと苦しいゲームになるかと思いました」と石崎信弘監督が振り返ったように、主力の大半が顔を揃えた新潟と対しながら、札幌がゲームをコントロールしていく。
攻撃では守備的MFの宮澤裕樹、前がテンポよくボールを動かし、前方の選手だけでなく左右サイドバックの攻撃参加も引き出す。守備に目を向けても、大島秀夫、キリノといったアタッカーが献身的な守備を行い、新潟のビルドアップをうまく封じていた。リーグ戦から11人を入れ替えたメンバー構成ながらも、DFラインから前線までがしっかりとバランスを保ち、組織としての戦いで優位に立ったのである。ボールを奪ってからの攻撃も、複数人が一気に動き出す積極性があった。ここには「積極的にアピールしよう」というメンタルも働いたのだろう。「札幌ドームでの試合ということで、札幌は立ち上がりから勢いがあって非常に難しい展開になった」と新潟の黒崎久志監督も口にした。
ただし、試合の主導権を握ることと、勝負に勝つことはまったく別もの。新潟は若い選手の多い札幌の勢いに押されながらも、勝敗を分けそうな要所だけはしっかりと押さえていた。
そして38分。アグレッシブに攻撃を仕掛けていた札幌が、自陣で拾ったボールを素早く前線に運ぼうとしたが、そこで新潟がカット。ここから前線のブルーノ・ロペスを起点とし、アラン・ミネイロが菊地直哉とのパス交換で相手ゴール前の混戦へと飛び込み、最後は左足で冷静にゴールネットを揺らしてみせた。主導権を握られ続けていた新潟だったが、数少ないチャンスを着実に得点へと結びつけたわけである。この辺り、やはりJ1での実戦経験の多い選手たちが持つ勝負強さというのは大したものだ。
もっと言うならばこの場面は新潟が若干、ボールポゼッションを高めつつあり、サイドチェンジなどでチャンスをうかがっていた局面だった。そうした揺さぶりに札幌の守備陣がわずかにバランスを崩していた場面でもあったため、本当であれば札幌はボールを拾ったところで一度、自陣でボールキープをして展開を落ち着かせるべきだった。しかし、主導権を握り良いリズムでプレーができていたからか、積極的にプレーしたかったからなのか、簡単に縦に運んでしまったのである。そこを新潟は見逃さなかった。奪ったボールを一気にバイタルエリアに運び、ケリをつけた。
ひとたびリードを奪ってしまえば、ここからは試合慣れした選手たちが優位に立つ。後半は新潟が4−4−2のスリーラインをしっかりと保ち、札幌の勢いをストップ。そうした上で経験のある矢野貴章、小林慶行を投入し、後半は逆に新潟がゲームを完全にコントロールしてしまった。札幌にボールを持たせ、バイタルエリア付近までは進入させながらも、そこからは仕掛けさせない。そうして相手の攻撃を上手くいなし、シャットタイムアップまで持ち込んで敵地で勝点3を手にしている。若い選手が多い昇格チームに、大人の戦い方を見せつけたとでも言うべきか。
対照的なメンバー構成で挑んだ両チームだが、「何人か次につながる選手がいた」と石崎監督が話し、「開幕から2連敗だったので、次につながる勝利」と新潟の石川直樹。勝点こそ新潟が得たものの、双方が収穫を掴んだヤマザキナビスコカップ初戦だった。
以上
2012.03.21 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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