「野津田」こと町田市立陸上競技場は、来季に向けてメインスタンドを改修中だ。代替施設となる仮設メディアセンターの建築を急いだが間に合わず、第2節のホーム開幕は駒沢陸上競技場の開催だった。3月20日の熊本戦は「本当の意味のホーム開幕戦」(DF津田和樹)で、Jリーグが町田にやってくる記念日だ。「少年サッカーの街・町田」を全国に知らしめたFC町田の活動開始が1977年。「町田にJリーグクラブを作ろう」という運動が始まってから、20年が経過している。人々の想いと、地道な積み上げがようやく結実した。
FC町田ゼルビアは前節・鳥取戦で3-0と快勝。J初ゴールだけでなく、初勝利を町田へ持ち帰ることに成功した。FW 平本一樹の「J2通算1万ゴール目」は、試合展開にとっても大きかった。決定機を逃し続けた第2節・福岡戦の重苦しさを消し去り、町田を楽にした。鳥取戦の勝利でゼルビアは未勝利のプレッシャーから開放され、攻守にアグレッシブな町田のスタイルを発揮しやすくなるだろう。
しかしアルディレス監督は、試合後も硬い表情を崩さなかった。中2日という短い試合間隔で、一度切らした緊張感を取り戻すのは困難だ。選手の気持ちが緩まぬよう、メンタル的なコントロールを図っていたのだろう。選手も「浮かれるのは今日まで」(勝又慶典)、「勝った瞬間から次の試合なので、喜んでいても仕方ない」(北井佑季)と、自らを戒めていた。
町田はFW、MFとポジション争いが激化している。鳥取戦はキャプテン勝又慶典が、24分間の出場で2得点。右足のかかとを痛めたことにより短時間の出場となったが、熊本戦はよりいい状態でプレーできそうだ。中盤は今季初先発だった鈴木崇文が3アシストと台頭。FC東京から加入したMF下田光平は、選手登録の都合で次節の出場こそ無いが、既に練習へ合流しており、第5節・京都戦以降に向けた貴重な戦力となるだろう。
ロアッソ熊本は町田と並んで現在1勝2敗。パスサッカーを志向するチームで、第2節に挙げた初勝利も町田と同じく、鳥取を相手にしたものだ。2戦2得点と好調だった武富孝介が、前節・京都戦の前半26分に負傷交代したことは気がかりだが、藤本主税、養父雄仁とJ1で実績のある選手も揃っている。町田が好調と言えども、厳しい戦いになることは間違いない。
しかし「野津田で出来るのは久しぶりだから楽しみ」(田代真一)、「町田にJリーグチームができたことを目にしてもらいたい」(津田和樹)と、選手は地元サポーターの前でプレーすることを心待ちにしている。初勝利で弾みをつけたゼルビアは、攻守にアグレッシブなスタイルで、今まで以上に「町田らしい」サッカーを見せてくれることだろう。
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