直近のリーグ戦から中２日という日程で行われる、今シーズンのヤマザキナビスコカップ開幕節。札幌ドームでは札幌と新潟が対戦する。札幌にとっては４シーズンぶりのヤマザキナビスコカップとなる。

ホームの札幌は１７日に行われたリーグ戦（第２節）を敵地で神戸と戦って１−２のスコアで敗戦。序盤の山本真希の見事なゴールで先制しながらも、逆転負けを喫する悔しいゲームとなってしまった。開幕戦で磐田と引き分けて勝点１を得ていただけに、続けて勝点を獲得すればよりいいリズムが生まれたはず。その意味でも、なんとかふんばりたい試合だった。
ただし、「やろうとしていることが随分と出せるようになってきた」と石崎信弘監督は振り返る。攻撃の軸として期待される前田俊介が切れ味鋭いドリブル突破を何度も見せていたし、前述したように山本も持ち味であるシュート力をしっかりと発揮した。チームのベースである組織的な堅守と新戦力の個人能力が着実に噛み合ってきたという手応えはあるのだろう。

チーム全体としてもＪ１に慣れつつある様子だ。特に守備陣はＧＫ李昊乗をはじめジェイド・ノース、奈良竜樹などＪ１でのプレーは未経験という選手ばかりだが、２試合を終えて１失点とまずまずの戦いを見せている。左サイドバックの岩沼俊介などは「Ｊ１での戦いはやっていて面白い。相手の攻撃にはメリハリがあるし、駆け引きも多い。メチャクチャやりがいがある」と口にしており、ハイレベルな場に身を置く現状には大きな充実感があるようだ。今シーズンはまだ勝ち星を得られていないものの、チームには前向きな空気が漂っている。

一方、敵地に乗り込んでカップ戦をスタートさせる新潟のリーグ戦第２節は、ホームで大宮と対戦してこちらも１−２で敗戦。また、試合の推移としても札幌と同じく、２０分にブルーノ・ロペスの得点で主導権を握りながらも、後半に２点を奪われる逆転負けだ。開幕から２戦続けての敗戦という、低調な滑り出しとなってしまっている。
しかし、こちらも指揮官は前向きだ。「試合の入りはしっかりプレッシャーをかけてボールを奪えていた。ゴールに向かっていくという形はパーフェクトだった」「選手はハードワークしてくれた。私も含めてアグレッシブなサッカーはできた」と黒崎久志監督はプラス要素をしっかりと見つけている。

実際に、前線のブルーノ・ロペス、矢野貴章に素早くボールを当てるという意識は充分に感じ取れたし、その２トップへのフォローも積極的に行われており、攻撃的な姿勢は９０分間を通して強く示すことができていたと言っていい。
あとは、その攻撃と大井健太郎ら新加入選手が加わった守備陣とが、いかに噛み合うかだろう。鈴木大輔が五輪代表で抜けていた時期があったことなどを考えると、まだまだ熟成には試合を重ねる必要があるはず。逆に言えば、試合を重ねるごとに着実に安定感を増していけるはずだ。伸びシロが大きいと見るべきだろう。

そして最後に札幌の高木純平のコメントを記しておきたい。「どれだけ内容が良くても、結果を出さなければ自信を得ることはできない」。そう、内容に手応えを得ても、それを実としていくにはやはり勝利という結果が必要だ。中２日という厳しいスケジュールで迎える試合だが、リーグ戦未勝利中の両チームとしては、何としても結果が欲しい一戦となるだろう。互いが積極的にゴールを目指す、よきゲームが期待できそうだ。

以上


2012.03.19 Reported by 斉藤宏則