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新生C大阪(以下、セレッソ)の2012年シーズン、ホーム開幕戦は、いきなりの大一番。宿敵、G大阪(以下、ガンバ)とのリーグ戦29回目となる大阪ダービーだ。「格別なもの」(セルジオ ソアレス監督)であり、「すごく注目される」(清武弘嗣)試合で、今季初白星をもぎ取ることは、クラブにとっての絶対的使命。桜の戦士が誇りを胸に、慣れ親しんだ大阪長居スタジアムのピッチに、ホームの満場のサポーターの前に、初見参する。
初戦は敵地で鳥栖に0−0で引き分けたセレッソ。「開幕戦の独特な雰囲気もあってか、緊張しすぎていたと思う」と新指揮官も語るように、序盤はJ1初昇格で気合いの入る相手に押し込まれ、本来の力を出し切れなかったが、後半は11本のシュートを放つなど攻勢に転じ、勝利へ後一歩のところまで攻め立てた。「開幕戦で手応えはあったし、もっとこれから試合を重ねていけば、よくなっていくと思う」と主将の藤本康太も前向きな感触をつかむなど、チームはプラスの方向に向かっている。
さらに、うれしいニュースとして、U−23日本代表で主軸として戦った清武、山口螢、扇原貴宏のセレッソ3選手が獅子奮迅の活躍を見せたことを取り上げないわけにはいかない。14日に行われたロンドン五輪アジア最終予選のU−23バーレーン戦では、3人とも先発すると、清武、扇原が値千金のゴールを決め、山口もフル出場で攻守に奮闘。セルジオ ソアレス監督も「本当にいいプレーをしていた。常に積極的なプレーで(ロンドン五輪)出場権獲得に大きく貢献していたし、(U−23日本)代表でも重要な役割を担っていた。セレッソの代表としても送り込まれているし、チームにとってもいいことだ」と絶賛。若きタレントが揃う育成型クラブの力が見事に証明された。
ただし、気になるのは中2日で大阪ダービーに臨む3選手の状態。「試合当日までコンディションを見極めたい」とセルジオ ソアレス監督は慎重な対応を見せたが、一方で「(ダービーは)みんな誰もが出たい試合」と、彼らの回復力やメンタルを信頼。「チームのためにできることをやりたい」と清武がフォア・ザ・チームを強調すれば、「長く長居ではダービーに勝っていないし、(今回は)勝ってサポーターに喜びを味わってもらいたい。そのためにも、個人として少しでも活躍したい」と山口も気合十分。出場すれば、ダービーで初めてプレーすることになる扇原も「自分が出て、しっかり勝てるようにしたい」と、気持ちはすでに臨戦態勢だ。
もちろん、彼らだけでなく、どの選手にも特別なこの一戦。「僕とケンペスはチームの力をアップさせるためにここに来た。ダービーは本当に負けてはいけないものだし、この試合では本来のプレーが出せるようにしたい」と新加入のブラジル人MFブランキーニョは、真価の問われるダービーでの勝利に執念を燃やす。また、清武とともにチームの核であり、ガンバのイ スンヨルとは同じ高校出身でもあるキム ボギョンも、「チームの雰囲気は非常にいいし、選手も勝ちたいという気持ちが今週はずっと出ている。リーグの試合も大事だが、ダービーはもっと大事なもの。ホームで(今季)初勝利できるよう頑張りたい」と意気込みは強い。「ガンバは少しでも気を抜いたら怖いチームには変わらないし、気を引き締めてやっていきたい」という藤本は、「主将としてのダービーは本当に負けられない思い」と力を込めた。
ガンバのロペスヘッドコーチとは1992年に日立(現、柏)でチームメイトであり、セホーン監督とはサンパウロで監督と選手の間柄だったセレッソのデニスコーチも「彼らとは友情関係は強いが、今回はお互いの立場でベストを尽くす」と、この試合では袂を分かち、「ガンバのことは、生でも3試合しっかり見ている。相手は、我々とやるためにスタイルを変えてくるかもしれないが、今、セレッソは本当にいい状態だし、最高のゲームにしたい」と胸を張る。セレッソ自体も、15日には非公開練習を実施するなど、この一戦に向けて準備をきっちり整えた。
2010年にセレッソがJ1へ復帰後、ここまで長居でのダービーは2戦2分。リーグでは2001年シーズン2ndステージ以来、桜色のサポーターは聖地でガンバ戦の勝利を見ていない。だからこそ、この10年間の悔しい歴史を、今、ここで断つとき。「ガンガン攻めて勝ちたい」と丸橋祐介も言うように、本来の攻撃サッカーで、セレッソは果敢に勝負に出る。春は桜の季節。セレッソは2012年3月17日、勝利という満開の桜を、長居で咲き誇らせる。クラブにかかわるすべての人々の意地と誇りにかけて。
以上
2012.03.16 Reported by 前田敏勝
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