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【J2:第2節 松本 vs 山形】レポート:悔しい敗戦。それでも13098人の観衆は、記念すべきホーム開幕戦とファーストゴールに酔いしれた。(12.03.12)

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シュート数。山形の18本に対し、松本は7本。
付け加えるべきものは、ない。それがまさに山形と松本の“現時点での”差であると言っていい。

試合開始直後、萬代宏樹のシュートを野澤洋輔が弾いたところを中島裕希がゴールを狙うも枠を逸れて九死に一生を得るが、そこからは山形のペースのまま、松本は辛抱の時間を強いられた。失点は時間の問題という状況だったが、前半27分にゴール前に詰めていた秋葉勝がこぼれ球を押し込み、山形が先制。主導権を握り続けるのは相変わらず山形。この失点により苦戦は必至の展開となった。
しかし、そんな状況下でも同点に追いついてしまうのだから、サッカーは面白い。37分にセットプレーからのゴール前の混戦時、ボールを持った弦巻健人がためらうことなく左足を一閃。Jリーグ加入後初となるメモリアルゴールの生まれた刹那、スタジアムは爆発した。

松本は更に状況を好転させるべく、後半頭からカードを切る。「弱気になっていた」(反町監督)久木田紳吾から、右ウィングバックを玉林睦実へとチェンジ。この選手交代は当たった。「いつもより一つ早いプレーを心掛けました」と語る通り、最前線まで切り込んでクロスを放つなど、攻撃面での活性化に成功。守備陣も集中を切らすことなく守り続けてきたことで、勝点が手中に落ちる雰囲気も漂ったのだが――。後半27分、勝ち越し弾となるミドルシュートを放ったのは、またしても秋葉。これは打った本人を褒めるしかないゴールではあったが、松本の選手たちの集中が、ほんの一瞬途切れたからでもある。

試合全体を通して苦しい展開を余儀なくされたのは、セカンドボールを拾えなかったことが大きい。「狙えていない部分はあった」と反町康治監督もうなずくように、西河翔吾と前田和哉が跳ね返した後のボールを狙えずに山形の中盤に悉く拾われてしまい、そこからボールを動かされる場面が多かった。弦巻が「弱気になってしまった」と唇を噛むように、消極的な動きに終始し、松本の持ち味である『前線からアグレッシブにボールを追う』という展開に持ち込むことが出来なかった。また、点差を見ると接戦だが、山形フォワード陣のラストでの精度の低さに助けられた場面がしばしばあったのも事実だ。まだ能動的に崩して点を取る形は見えてきておらず、シュートチャンスは相手のミスによる部分が多く、数も少ない。ゲームに乗り切る事が出来ずに、最後まで受け身のままだったことが敗因の一つだろう。

しかし、亀の如きスピードではあるものの、松本が少しずつ新たな歴史を刻んで歩み出しているのも事実だ。前節は0−2での敗戦だったが、今節も敗れはしたもののホーム初ゲームでのメモリアルゴールが生まれた。勝点を得る事は次節以降に持ち越しとなったが、この試合に集まった13098人もの観客は、この“初めてづくし”となったゲームに酔いしれたに違いない。

以上

2012.03.12 Reported by 多岐太宿
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