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2012J1リーグ戦が開幕する。G大阪がホーム・万博記念競技場に迎える初戦の相手は、ヴィッセル神戸。同じ関西の地を拠点とするクラブ同士の対決ということもさることながら、昨年までG大阪の一員としてプレーしたMF橋本英郎やDF高木和道が移籍したクラブとの対戦ということにも注目が集まる。しかも神戸の指揮を執るのも元G大阪の選手でもあった和田昌裕監督。初戦から見どころの多い一戦になりそうだ。

周知の通り、G大阪は3月6日にJリーグ開幕より一足早くAFCチャンピオンズリーグ・グループステージ第1節・浦項スティーラーズ戦を戦っている。結果は、ホームの地で0−3とまさかの完封負け。例年以上に“初戦”の難しさを肌身で味わうことになってしまった。それだけに、その苦い敗戦から中3日で迎える今節は、浦項戦を引きずらずに、気持ちの切り替えをしっかりとして戦いに挑めるかがまずもってのポイント。
3月8日、オフ明け後の練習ではまず約1時間20分のミーティングを行い、攻守それぞれの戦術確認、対神戸についての戦術確認をはじめ、“闘うメンタリティ”についても再度、意思統一を図ったようだ。いずれにしても、G大阪は近年の戦いを見ての通り“連敗”の少ないチームだけに心配はいらない。ましてや昨年と大幅に選手の顔ぶれが変わっていないことからも、チームの軸となる選手たちが中心となってしっかりと立て直しを図ってくることだろう。

「浦項戦は負けたということ以上に“闘う”気持ちの部分で問題があった。ホーム戦、開幕戦ということを考えても同じ轍を踏むわけにはいかない。今日のミーティングでもG大阪としてのプライド、G大阪のユニフォームを着て闘うことに対するプライドをしっかり持って神戸に挑もうという話をした。中盤での運動量が足りなかったのも、フィジカル的な問題ではなく気持ちの問題。神戸戦ではその気持ち、プライドをしっかり見せてほしいと思っている（呂比須ワグナー　ヘッドコーチ）」

注目は、今節こそ先発が濃厚なMF佐々木勇人。浦項戦には、ケガの状態を見極めた中で「100％の状態ではない（セホーン監督）」という判断から起用されなかったが、「8日の時点では全く痛みがないし、いつでも戦える準備はできています」と本人。また、呂比須ヘッドコーチも「監督はおそらく何人かの選手の入れ替え、システム変更を考えているだろう」と明言していることからMF佐々木の先発の可能性は高い。開幕前に行われたほとんどの練習試合で先発で起用され、縦に鋭い、フレッシュな動きを見せていた佐々木が、浦項戦でみられた『攻撃』に関する物足りなさを払拭してくれることに期待したい。

この試合が今季初の公式戦となる神戸にとっては、“初戦”の難しさをいかにチーム全体で乗り越えられるかがまずもってのポイントだろう。今季は先に述べた元G大阪勢に加え、鹿島からMF野沢拓也、FW田代有三、ハイドゥク・スプリト（クロアチア）から日本代表DF伊野波雅彦らを大型補強した神戸。それにより個の質、レベルの向上が見られたのは事実だが、一方で大幅に先発メンバーが入れ替わる中で組織としての結束力という点では、まだまだ時間がかかるという見方も。実際、守護神GK徳重健太は「昨年見せた縦に早い神戸らしい攻撃というのは浸透しつつあるとはいえ、まだまだ回数は少ない。新たなバリエーションという部分でも、まだまだこれからというところも多い」と言う。そうしたコンビネーションのずれをいかにチームとして最小限にとどめ、かつ、いかに“個”の力を発揮できるかが明暗を分けるはずだ。
「チームとしてイメージを共有しようという意識は高いし、実際に選手同士の要求も高まっている。そういったチームとしてのプラスの部分をできるだけ多くグラウンドで発揮して、結果にこだわって戦えるか。毎年ながら初戦の難しさはあると思いますが、そこをチームとして乗り越えたい（GK徳重健太）」
「ACL開幕戦のG大阪は悪いところが出過ぎていたので逆に参考にならない試合かも。ただ敗戦を引きずらない、修正できるチームなので。Jリーグ開幕戦は全く別の厳しい試合になると思う。個人的にはポジションに関係なく、与えられたポジションで求められる役割を徹底しつつ、周りに合わせながらプレーしていきたい。楽しみです（MF橋本英郎）」

以上

2012.03.09 Reported by 高村美砂