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【AFCチャンピオンズリーグ2012 名古屋 vs 城南】レポート:“本気”の名古屋はやはり強かった。指揮官も満足のドロー劇に今季への期待が膨らむ(12.03.08)

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「やる時はやる」「本番に強い」「実戦向き」
この日の名古屋を見ていて浮かんだ言葉だ。何しろここ2週間で行われた練習試合では、J2新加入クラブとJFLクラブを相手に攻撃の形を作れずドロー。エースのケネディがようやく実戦に復帰するも動きは悪く、その上主力に負傷者まで出てしまっていた。戦前の予想ではすでにKリーグが開幕し、真剣勝負を経験している城南一和を相手に苦戦は必至というのが衆目の一致するところ。しかし実際は後半アディショナルタイムまで十中八九、名古屋が勝利を手にしていた。
「硬かったな。今季初めて本気でやるからね」
余裕とも取れる田中マルクス闘莉王のコメントが内容の良さを裏付ける。今季最初の公式戦で名古屋は、さすがの強さを見せつけた。

2012年の幕開けを飾った名古屋のスタメンには負傷の小川佳純を除き、お馴染みのメンバーが並んだ。布陣はアンカーを置く4-3-3。小川の代役に金崎夢生が起用されたほかは、昨季を通してスターターを務めた実力者たちだ。出場が危ぶまれていた玉田圭司もスタメンに名を連ね、控えには新戦力のダニエルと石櫃洋祐、日本代表にも選ばれた磯村亮太、U-23日本代表主力の永井謙佑もベンチスタートという豪華な18人の編成となった。

対する城南一和の布陣は変則の4-4-2。前線には登録上3人のFWを起用し、縦関係の2トップにボスニア人のヨバンチッチ(背番号10)とブラジル人のエベルチーニョ(背番号20)、右サイドハーフにブラジル人のエヴェルトン(背番号9)、左に韓国代表ハン・サンウン(背番号11)が並んだ。U-23韓国代表MFユン・ビッカラム(背番号14)はベンチスタートとなったが、これは後述するようにシン・テヨン監督の戦略に沿ったもの。ベストメンバーと言える陣容で、瑞穂のピッチに乗り込んできた。

キックオフから序盤は城南一和のペースで試合は始まった。目立ったのはハン・サンウンと左サイドバックのホン・チョル(背番号12)によるサイド攻撃で、正確かつ速いクロスで次々とチャンスを演出した。14分にはハン・サンウンのクロスからエヴェルトンがこの日最初のビッグチャンスを迎えたが、ここは楢崎正剛がビッグセーブを見せ得点はならず。名古屋は美しい3ラインを形成した城南一和の守備陣の前に効果的な攻撃を構築できず、前半のチャンスはケネディのヘディングシュート1本ぐらい。シン・テヨン監督は「運動量のあるダブルボランチ」で試合勘のない名古屋を圧倒しようと試みたが、得点できなかったこと以外では、その狙いは成功したと言える。

だがストイコビッチ監督とて指をくわえて見ているだけではない。後半開始からフォーメーションを4-2-3-1とし、藤本淳吾を前線に上げ、中盤を中村直志とダニルソンのダブルボランチに変更した。これは6連勝を記録した昨季終盤と同じ形だが、「あれがうまくはまった」(藤本)。後半開始直後にDFのミスから失点を喫したが、その後は巻き返して主導権を奪回。まず47分に藤本のフィードから玉田が抜け出しPKを獲得し、ケネディが決めて同点とすると、さらに攻勢を強めていった。城南一和も58分にボランチのチョン・ソンチャンに代えてユン・ビッカラムを投入し、負けじと前線へのテコ入れを図るなど両チームのせめぎ合いはヒートアップ。その中でストイコビッチ監督が打った次の一手が、またも試合を動かした。

67分、中村に代えてピッチに送り込まれたのは永井だ。藤本をボランチに下げ、サイドハーフの位置に入った韋駄天の持ち味が、逆転ゴールを生む原動力となった。
74分、DF増川隆洋がフィフティーのボールを左サイドのケネディにつなぐと、ケネディはすかさず大きく空いたスペースにボールを蹴りこんだ。DF2人の間を抜け出したのは永井。いち早くボールに追いつくと、中央に走り込んだ金崎へ絶妙のヒールパスを送る。「永井が落としてくれたボールが蹴りやすかった」と金崎は冷静にゴール右隅へ流し込むだけだった。昨季から好連係を見せていた同い年コンビは今季も健在。これで名古屋は勝点3をぐっとい引き寄せた、はずだった。
名古屋はその後、パワープレーに出た城南一和に対抗すべくダニエルを入れ、プレシーズンからトレーニングを続けてきた3バックを実戦投入。高さのあるゴール前は城南一和の攻撃を粘り強く跳ね返せていた。
しかし、3分のアディショナルタイムの3分目、右サイドからのロングスローを名古屋は一度は跳ね返したが、サイドにこぼれたボールをエヴェルトンがオーバーヘッドキックで中央へ送る。そのクロスをエベルチーニョがまたもオーバーヘッドで合わせるスーパーゴールが決まり、その瞬間に終了のホイッスルが鳴り響いた。土壇場での奇跡のような同点劇には名古屋の選手たちも「仕方ない」と納得の表情だった。

試合後の両監督もまた、ともに結果には一定の満足といった表情。低調なパフォーマンスを続けてきた名古屋の修正力、適応力は見事だった。前半は「攻撃の形を探りながら時間がただ過ぎていった」(藤本)という悪い流れの中で相手の猛攻をしのぎ、布陣変更で好転する後半の戦いにつなげたこと、玉田や永井、金崎らのスピードを活かして得点を奪った状況判断、さらには実戦で初の3バックで無難な守りを見せたことは評価されてしかるべきだ。1試合の中で3つのフォーメーションを操ったという事実は、今後の戦いに向けての好材料以外の何物でもない。
「(次のリーグ開幕戦が)楽しみですよ」(闘莉王)
闘将は笑顔で手応えを語った。試合前の不安を断ち切り、初の実戦をまずまずの形で終えられた意義は大きい。3日後に待つJリーグ開幕戦へ向け視界は良好、名古屋が強い姿で2012年のスタートを切った。

以上

2012.03.08 Reported by 今井雄一朗
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