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【AFCチャンピオンズリーグ2012 ブリーラム vs 柏】レポート:痛感したアジアの戦いの難しさ。柏、サンダーキャッスルに沈む(12.03.08)

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昨年12月にFIFAクラブワールドカップで過密日程と国際舞台の雰囲気を味わっていたとはいえ、アジアの戦いはそれとはまた別物なのだろう。柏はブリーラム・ユナイテッドに3−2で敗れ、AFCアジアチャンピオンズリーグの難易度の高さを思い知らされることになった。

このブリーラム戦を迎えるまでに行った2試合、ちばぎんカップとFUJI XEROX SUPER CUP 2012では試合の入り方の悪さが気になるところだったが、この試合では慎重さを覗かせながらも、過去2試合と比べれば、序盤の出来は懸念されたほど悪くはなかった。むしろ立ち上がりに見せた大谷秀和のインターセプトから切れ味鋭いカウンターを繰り出した場面などは、柏が主導権を握る気配を感じさせた。
だが、10分のプレーが明暗を大きく分ける。自陣深い位置でブリーラムにFKを与えた直後だ。プレーが途切れたと判断した柏の選手たちは、ボールに背を向ける者や水を飲みに行く者がおり、わずかに集中を切らした。その瞬間、ブリーラムは虚を突いた素早いリスタートを開始する。柏が守備陣形を整える間もなく、パスを受けたJIRAWATの狙いすましたシュートが柏のゴールネットを揺らす。「あれで流れを持って行かれた」(大谷)。“サンダーキャッスル”と呼ばれるブリーラムスタジアムに詰めかけた濃紺のサポーターの興奮状態は早くもマックスに達し、Jリーグとは全く異なる応援のリズムが大きくスタジアム中に響き渡る。それがブリーラムの選手を勢いづかせ、対照的に柏の選手たちの足取りを鈍らせた。

先制したブリーラムは、その後はブロックを作り、柏をおびき出すしたたかなゲーム運びを見せる。特にアンカーのJAKKAPHANを中心に、ASKARとJIRAWATがゾーンの間、間に顔を出し、味方からボールを引き出してはさばくのらりくらりとしたパス回しで柏の選手食い付かせ、背後に生じるスペースをスピードのあるOHANDZAとACHEAMPONGがダイナミックなカウンターを仕掛ける。38分のブリーラムの追加点の場面も、まずはカウンターを仕掛け、セカンドボールを拾ったASKARが酒井宏樹の寄せの甘さを見逃さずに、大きく弧を描くコントロールシュートをゴール右上に決めたものだった。

試合の流れを左右した前半のポイントをもうひとつ挙げると、柏がことごとくチャンスを逸し続けたことにある。この日のレアンドロ ドミンゲスは調子が極めて良く、俗に言う“キレキレ”の状態にあった。難なく1人、2人をかわすドリブル突破、ヒールを使った曲芸的なパス、スペースを突くスルーパスなど、“柏のキング”のクリエイティブなプレーの前にブリーラムの選手も成す術なしという様子。したがって柏も多くのチャンスを作り出すのだが、31分にDFの背後へ抜け出した田中順也の左足シュートが枠を逸れ、42分にも橋本和のクロスを田中がヘッドで狙うも、GKの正面を突くというもどかしい展開が続いた。

2点のビハインドの状況で、ネルシーニョ監督がハーフタイムに動かないわけがない。交代した大谷と北嶋秀朗の出来自体は決して悪くはなかった。ただ、前線に推進力をもたらすためにリカルド ロボを投入し、守備力の高い安英学を中盤の底に置いて守備に専念させることで、レアンドロ ドミンゲス、ジョルジ ワグネル、茨田陽生らの攻撃力・展開力を生かそうという戦術的な意図がその交代にはあった。「その意図を選手たちは理解し、目的は達成できた」とネルシーニョ監督が語るように、後半の柏は狙い通りの展開へ持ち込む。球際の競り合い、セカンドボールの対応で高い能力を示した安英学がボールを奪い、レアンドロを起点に攻撃を仕掛ける。55分、リカルド ロボの折り返しをファーに走り込んだ田中が決め、64分には右CKから酒井がヘッドをねじ込み、2−2の同点とした。ハイボルテージにあったブリーラムスタジアムは、一転して静寂に包まれた。

双方とも終盤は陣形が間延びし、リカルド ロボやその後交代で出場した工藤壮人もスペースを突いてブリーラムのゴールへ襲いかかったが、PRATHUMとEKWALLAのセンターバックコンビが最後の最後はしっかりと体を寄せ、それによって十分な体勢でシュートを撃たせてはもらえず、ようやく撃てたシュートもブリーラムDFの体を張った守備にブロックされてしまう。逆にブリーラムは77分、OHANDZAとのシンプルなワンツーでDFラインを突き破ったJIRAWATがゴール上部へ豪快に突き刺し、勝ち越しに成功。これが決勝点となり、柏のACL初挑戦は痛恨の敗戦となった。

常に先手を許し、試合展開を苦しくした原因は、やはり集中を欠いたプレーが招いた1失点目にある。ただし「これを教訓にしたい」とは大谷の言葉だが、昨シーズンの第27節大宮戦でも攻め急いだ揚句、大宮のカウンターにハマった敗因をその後の教訓に変え、ラスト7試合を6勝1分けという好成績につなげた。確かにブリーラム戦はACLの難しさを学び知るということでは高い授業料を払わされる形になってしまったが、この敗戦の教訓を残りのグループリーグの5試合につなげることができれば、それはそれで大宮戦同様“価値ある敗戦”となるはず。巻き返しのチャンスは十分にある。

以上

2012.03.08 Reported by 鈴木潤
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