3月7日（水）AFCチャンピオンズリーグ2012 ブリーラム vs 柏（20:30KICK OFF/タイ）
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３月３日にFUJI XEROX SUPER CUP 2012で初優勝を成し遂げた柏は、その喜びに浸る間もなく翌日にはタイへ向けて出発した。７日に、クラブ史上初となるAFCチャンピオンズリーグの戦いに挑まなければならない。

上記したようにFUJI XEROX SUPER CUP 2012のゲームから中３日とスケジュール的には厳しい。ただし、選手たちはそれをネガティブに捉えるのではなく、「強行日程は強いチームの特権。ようやくレイソルも強いチームの仲間入りを果たした気がする」（北嶋秀朗）と語るように、初のＡＣＬに挑むモチベーションの高さは彼らの雰囲気からも十分に感じられ、レアンドロ ドミンゲスもまた「初めてのアジアの大会なので絶対に欲しいタイトル」と早くも優勝を意識する言葉を残している。

メンバー的には、おそらく２月２６日のちばぎんカップ、そして先日のFUJI XEROX SUPER CUP 2012を戦った選手たちを中心に構成されるだろう。２試合とも勝利を収めたとはいえ、内容的には若干課題を残す箇所も見受けられたが、「勝ちながらチームを作り上げる」ことに関しては抜群の手腕を見せる智将・ネルシーニョ監督のことだ、試合までに帳尻を合わせてくるに違いない。それは「日本サッカーを世界に普及できる価値の高い大会。それに参加する我々は、日本のチームとしてそこを意識しながらグループリーグを突破するべく準備をしている」というネルシーニョ監督自身の言葉からも窺える。

ＡＣＬ初戦、しかも相手はタイプレミアリーグ覇者にして、昨シーズンはＦＡカップ、リーグカップを制したタイ３冠のブリーラム・ユナイテッドである。Ｊリーグの対戦相手ほど情報が多いわけではなく、アウェイ戦であることを考慮に入れれば、柏はリスクを冒さずに慎重にならざるを得ない。FUJI XEROX SUPER CUP 2012のＦ東京戦のように、相手に押し込まれる時間帯は増えるかもしれないが、そこをしっかりと耐え抜き、レアンドロ ドミンゲスとジョルジ ワグネルを起点にスピーディーなカウンターを仕掛け、老獪な試合運びを見せたいところだ。
それに、なにしろブリーラムは昨シーズンのリーグ戦３４試合での失点がわずかに１６と、数字を見ただけでも強固な守備力を持つチームだということがわかる。柏がポゼッションを優位に進め、ブリーラムにブロックを作られるよりも、前から積極的にプレスに来るブリーラムに対し、ある程度守備的に試合を進めつつ相手をいなし、組織のバランスが崩れた箇所を見逃さずにカウンターを仕掛けるほうが有効である。

また、私見では鍵を握るのは酒井宏樹だと思っている。１月からＵ−２３日本代表の招集が続き、ここに来て彼の疲労はピークに達している。ちばぎんカップ、FUJI XEROX SUPER CUP 2012でも精彩を欠いたプレーが多く、レアンドロ ドミンゲスへ出すショートパスも相手に引っ掛かるなどイージーなミスが目立っていた。しかし、彼が今後日本屈指の右サイドバックに成長するためには、ここは絶対に越えなければならない正念場。これを乗り越えられれば、必ず精神的にも肉体的にも一皮むけ、選手として飛躍を遂げるはず。さらにFUJI XEROX SUPER CUP 2012で採用した、あの敢えて右サイドのスペースをぽっかりと開けたシステムの真相が、もし今回の対ブリーラムを想定したものだったならば、それは酒井のオーバーラップを生かすためのシステムになるのかもしれない。

Ｊリーグとタイプレミアリーグは今年からパートナーシップ協定を締結した。そしてブリーラムに元磐田の本田慎之介がプレーしているように、多数の日本人選手がタイプレミアリーグのクラブに在籍している。日本サッカーへの関心が高まるタイへ、柏はＪリーグのチャンピオンとして乗り込む。単に初戦ということのみならず、タイのサッカーファンの注目を集めるこの一戦は、柏がかつて味わった経験のない大アウェイの雰囲気が選手たちを襲う。だが、初のＡＣＬのタイトル獲得に向け、勝利だけは絶対に譲ることはできない。

以上

2012.03.06 Reported by 鈴木潤