3月4日(日) 2012 J2リーグ戦 第1節
岐阜 2 - 2 鳥取 (15:04/長良川/3,321人)
得点者:9' 柳楽智和(鳥取)、20' 佐藤洸一(岐阜)、45' 染矢一樹(岐阜)、61' オウンゴ−ル(鳥取)
スカパー!再放送 Ch184 3/6(火)前07:30〜
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いよいよ開幕をした2012年J2リーグ。行徳浩二新監督を迎え、多くの新加入選手を迎えた『新生・FC岐阜』。スタメンには池田昇平、服部年宏、井上平の期待の移籍組に加え、大卒ルーキー・関田寛士、高卒ルーキーの廣田隆治の5人のニューフェイスが顔を並べた。
今季の注目は新しい岐阜の表現はもちろん、昨季の低迷の要因ともなった守備がどこまで組織として構築できるかにある。
前半から守備意識と言う面では昨季と違って高いものを感じた。池田と野垣内俊の2CBが中央に残り、橋本卓がアンカー気味にDFラインとの距離を詰める。服部も必要とあらば、橋本とブロックを形成。両サイドハーフも前に張りっぱなしではなく、状況を見てDFラインに落ちていく。前半から左MFの染矢一樹のカバーリング意識が高いのも象徴的だった。
しかし、先制点を鳥取に許してしまった。9分、左FKのボールに対応しきれず、DF柳楽智和にヘッドで合された。だが、これで崩れることはなかった。20分、DF野田明弘と廣田のコンビで右サイドを崩すと、そのプレーで得たCK。服部の精度の高い左足のキックが、中央に飛び込んだFW佐藤洸一の頭にどんぴしゃり。佐藤のダイビングヘッドで岐阜が同点に追い付いた。
これで流れを掴んだ岐阜は、守備ポイントが高くなり、鳥取を自陣に押し込んでいく。ここで光ったのは井上だった。佐藤とツートップを組んだ井上は、バイタルエリアで非常に質の高い動きを見せた。ボランチや両サイドMFにボールが入ると、スペースに真っ先に顔を出し、クサビや縦パスを引き出す。ボールを受けてからも、抜群のキープ力でためを作り、2列目の飛び出しを引き出したり、自ら自慢ドリブルで仕掛けたりと、攻撃のバリエーションを生み出した。
そして35分には行徳監督が狙いとする形が見られた。DFラインで池田がボールを持つと、佐藤がスッと落ちてくる。池田から佐藤に正確なロングフィードが送られると、佐藤はヘッドですらし、入れ替わって裏へ飛び出した井上が一気にGKと1対1に。これはDFに身体をうまく寄せられ、ゴールにはならなかったが、素早い攻撃を体現できたシーンだった。
45分にはゴール前にこぼれたボールに染矢が反応すると、ファールを受けてPKを獲得。これを自らがきっちりと決め、岐阜が逆転に成功する。
いい形で前半を締めくくった岐阜は、後半に入ってもペースを掴む。しかし、61分、縦パスをペナルティーエリア左角に待ち構えたMF美尾敦に簡単に通され、折り返しが関田の足に当たって痛恨のオウンゴール。不運な形だったが、崩され方に課題が残る失点となった。
2−2。再び振出しに戻った試合は、徐々に両チームのミスが多くなっていく。岐阜は守備の意識の高さを継続し、大きなリスクを冒さずに、左サイドを軸に攻め込んでいく。しかし、「一人一人の距離間が空いてしまい、DFラインがバラバラになってしまうことがあった。もっとDFラインを勇気を持って上げるべきだった」と池田が語った様に、人数はいるが特にサイドと中央の距離が開いてしまい、相手へのマークが後手に回るシーンが見られ、鳥取の前線に残しているMF鶴見聡貴と美尾らにバイタルエリアでボールを持たれる回数が多くなってしまった。
それでも鳥取の反撃をしのぎ切る形でタイムアップの時を迎え、2012年の開幕戦は2−2のドローに終わった。
新生・岐阜の初陣は総じてみると、昨年より大きな変化は見られた。全体の守備意識が高く、やろうとしている方向性は打ち出せた。しかし、「守備の意識づけは出来ていますが、その方法ややり方を理解しきれていない部分はある」という行徳監督の言葉と、前述した池田の言葉が物語るように、戦術理解度としてはまだここにばらつきがある状態だ。
だが、それも仕方がない。まだまだ開幕戦で、スタメンの半分は新加入。時間がかかることは百も承知だ。前提条件となる方向性、意識づけは見えた。ドローに終わったが、今後が楽しみになる開幕戦になったのは事実。この光を今後どこまで太くし、広げられるか。ここに期待をしていきたい。
一方の鳥取は終盤のサッカーを前半からしたかった。終盤は美尾と鶴見、小井手翔太のスリーシャドーが、バイタルエリアでうまく顔を出して、ボールの動きをスムーズにさせていた。逆に前半はそこがうまく機能せず、岐阜のプレスに後手に回った。アウェイの連戦が続くが、この勝点1をいいスタートにして、勢いをつけてホーム開幕に繋げたいところだ。
以上
2012.03.05 Reported by 安藤隆人
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