3月4日（日） 2012 J2リーグ戦 第1節
北九州 1 - 2 徳島　（17:34／本城／3,160人）
得点者：64' キムジョンミン（徳島）、70' 端戸仁（北九州）、87' 津田知宏（徳島）
スカパー！再放送 Ch182 3/6（火）前10:00〜
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スコアは１−２で北九州の敗戦に終わった。しかし開幕戦ながらも完成度の高いサッカーを展開したのも北九州だった。木村祐志、安田晃大、池元友樹の縦方向の軸に、右サイドでは関光博が絡む。左では森村昂太がパスを収め、最前線では端戸仁が変化を加えている。パスは流れるように繋がっていく。観客を十分に魅了できる美しいサッカーが繰り広げられていた。
しかし一方で、『組織的で美しいこと』と『結果』とは必ずしもリンクしないことを、この試合は示したとも言えるだろう。明らかに北九州はゲームを支配し、攻撃は３分の２どころか、６分の５くらいまでは作ることができていた。不足していたのは、最後の１歩、最後の１秒――。ＧＫ、ＤＦ、ＭＦの９人が役割を持って守備をしている徳島に対して、北九州は最後の６分の１を崩すことはできなかった。

ゲームは前半戦から北九州のペースで進む。徳島のプレッシャーが少ないこともあり、「しっかりボールを保持して相手のゴールに繋いでいく」（三浦泰年監督）という北九州の基盤的なサッカーを展開。前半だけで10本のシュートを放ち、20分のペナルティエリア少し手前から池元が打ったものや、38分のスローインを受けた森村がゴールエリアの左からの強い弾道のシュートなど枠を捉えるものも多かったが、徳島のＧＫ榎本達也の好セーブにも阻まれた。もっともＤＦを完全に振り払ってＧＫと向かい合うような場面はなく、徳島の堅牢な守備を前に、残り６分の１を崩せなかった。

後半に入っても北九州が主導権を握っていたが、徳島が前のめりになっていた北九州の一瞬の隙を突いていく。
64分。徳重隆明の右サイドからのクロスボールにキム・ジョンミンが頭で合わせ、ふわりとループしたボールがゴールネットを揺らして先制する。直後の70分に北九州が関、池元、木村と少ないタッチで繋ぎ最後は端戸が右足で決めて追いつくが、再び87分に徳島がカウンターで突き放す。自陣のゴール前から那須川将大がハーフウェイラインそばの左サイドにいた途中出場のジオゴにフィード。これに対して北九州のＤＦの対応が後手に回り、最後はジオゴのクロスを引き出した津田知宏が落ち着いて決めて徳島が勝利を引き寄せた。

北九州にとっては３年連続の雨の開幕戦。そして３年連続での負け試合となった。ただ、冒頭で述べたとおり、前線ではゴールの一歩手前までゲームを作れていたのは事実。池元と端戸をＦＷに据え、パワープレーに頼らない連動性の高いサッカーを目指しており、悲観するような内容ではなかったと言えるだろう。あと一歩をどう結実させるかは、その連動性を高めることにほかならない。
もっとも「主導権を握ることができたところで失点したのは課題」と木村が指摘したように、守備面の修正は必要だ。「弱気の虫」が出たと三浦監督。徳島が極端に前からプレスを掛けていたわけではないが、特に新加入選手でクリアミスがあったり守備に緩みが見られ、攻撃に対する積極性も失われていった。開幕戦という早い段階でほころびが出たことをプラスに捉え、練習と試合を重ねることで、技術やメンタル面での強さを植え付けていきたい。

徳島は「前半の苦しいゲームをしのげた」（小林伸二監督）ことが後半の展開を生んだと言えるが、２得点ともにカウンターで仕掛けたもの。北九州を崩せたわけではなく、徳島の攻撃のかたちを見ることはできなかった。
試合を通じて北九州からは17本のシュートを打たれたが、失点は１。枠を捉えたものも多く、これをシュートを『打たせた』ことでピンチを減らしたと捉えることは結果論に過ぎないかもしれない。勝ったとはいえ、結果におごることなく、攻守両面の課題に向き合う必要があるだろう。

以上

2012.03.05 Reported by 上田真之介