本文へ移動

今日の試合速報

夏休みはJリーグに遊びに行こう! 全国で180,000名様ご招待!
夏休みはJリーグに遊びに行こう! 全国で180,000名様ご招待!

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第1節 水戸 vs 横浜FC】レポート:積み上げてきた力を出し切って、水戸が鮮やかな逆転勝利!横浜FCは失速し、負の流れを断ち切れず。(12.03.05)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
3月4日(日) 2012 J2リーグ戦 第1節
水戸 2 - 1 横浜FC (13:05/Ksスタ/5,817人)
得点者:10' 大久保哲哉(横浜FC)、42' 小澤司(水戸)、69' 島田祐輝(水戸)
スカパー!再放送 Ch185 3/6(火)前04:30〜
新シーズン開幕特集:40クラブ戦力分析!
簡単予想で賞品GET!totoリーグ3投票受付中!
本格的toto予想はこちらから!
----------
「J1昇格」という明確な目標を掲げて挑む水戸の2012シーズンが幕を開けた。昨季築いた土台の上に戦力を上積みし、さらに新たな戦術を加えて迎えた開幕戦。「チーム始動後に加藤(広樹)と尾本(敬)が怪我したこと以外は予定通りチーム作りはできた」(柱谷哲二監督)という手ごたえを持ってはいたが、不安がなかったわけではない。試合前日、柱谷監督は「いい準備ができたとはいえ、練習と公式戦は異なる。やってみないと分からないところはある」と言っていた。「とにかく目の前の試合に対して必死に戦うだけ」(本間幸司)だった昨季までの水戸とは目指す場所が違う。それを示すためにも、開幕戦の持つ意義は大きなものだった。かつてないほどのプレッシャーを受けながら水戸は開幕戦を迎えることとなった。

序盤、水戸は硬かった。というよりも、「横浜FCの気迫がすごかった」(柱谷監督)と言うべきか。水戸にポゼッションをさせまいと前線から激しくプレスをかけ、果敢に攻撃を仕掛けてきた。ボールを奪ってはシンプルに前線にボールを入れ、2列目と3列目の選手がカバーをしながら厚みのある攻撃を繰り広げた。水戸は反撃の糸口さえ見つけられずに防戦一方の展開を強いられた。そして10分にサイドを崩されて失点してしまう。

ただ、「失点しても焦りはなかった」と西岡謙太が言うように、水戸の選手たちは冷静さを保っていた。「下を向いている選手はいなかったし、ピッチの上でコミュニケーションが取れていた」(西岡)。昨年から柱谷監督が選手たちに求め続けてきたのが、判断力である。ピッチ上で何が起きているのか。選手同士で考えながら解決する力をつけさせようとしてきた。昨年は判断ミスから敗戦を招くなど「大きな授業料を払った」(柱谷監督)が、その積み重ねがチームの力となっていることをここで証明してみせた。

流れの悪い時間が続く中、水戸は無理せずにラインを下げて耐えることを選択。結局、悪い時間帯を1失点で乗り切ったことが勝因の一つとなる。30分を過ぎると、横浜FCの運動量が低下。すると、水戸が反撃を開始する。リズムをつかんだ水戸は左右から厚みのある攻撃を繰り出し、42分、相手のミスを突いて左サイドを突破した島田祐輝からのクロスを小澤司が頭で押し込んで同点に追いついてみせた。

後半、水戸はさらに勢いに乗った。前線の鈴木隆行が圧倒的な強さを見せて起点になると、両サイドにボールをさばき、チャンスを作り出す。そして69分、左サイドの輪湖直樹からのスルーパスを受けた島田が冷静にGKとの1対1を決めて逆戦に成功する。その後も長短のパスを織り交ぜながら横浜FCの守備を圧倒。後半は横浜FCに1本のシュートも許さなかった。
なんとか流れを変えようと横浜FCは終盤、FW4枚を前線に並べてパワープレーを敢行。なりふり構わず水戸ゴールを狙おうとしてきた。ただ、それは柱谷監督の想定内の事態であった。「勝利にこだわる」ことを今季のテーマとする柱谷監督は以前から「状況によって5バックでも6バックでもやる」と豪語していた。実際、3日前の練習では、監督不在ながらも紅白戦で5バックをテストしていた。それゆえ、終盤に加藤と尾本を投入し、5バックに変更しても「意図がよく分かった」と本間が言うように選手間に戸惑いは見られなかった。横浜FCのパワープレーに対して危なげなく対応して勝利の瞬間を迎えた。「練習は嘘つかない」という柱谷監督の言葉通り、準備してきたことを確実に生かした必然の勝利であった。

「J1昇格」という目標を掲げはしたものの、水戸は昨季17位のチームである。たとえチームの土台が築かれたとはいえ、目標に対しての自信はおぼろげだったはずだ。冒頭の柱谷監督の言葉が示すように、実際は「やってみないと分からない」という思いが強かったことだろう。相手の横浜FCは昨季18位ながらも「J1昇格争いするだけの力を持っている」と柱谷監督が言うように、J2屈指の戦力を擁すチームである。この試合でも30分まで見せた力は相当なものがあった。そのチームを相手に積み上げてきた力を出し切って勝利を手にしたことで、自信が深まったに違いない。少なくとも決して不可能な目標ではないという思いを手にすることができたはず。そういう意味で最高のスタートを切ったと言っていいだろう。

しかし、開幕戦といえども「たかが42分の1」(柱谷監督)である。過去2年、開幕戦で勝利しており、ここまでは昨季までと変わらない。大事なのはこれからだ。さらなる厳しい戦いを勝ちぬくためにも改善しないといけない課題は山積している。この試合では90分通して内容がよかったわけではない。横浜FCペースの序盤に盛り返すことができなかったし、主導権を握れるようになったのも水戸がよくなったことよりも相手の運動量が落ちたことの方が大きく起因している。そして、攻撃のキーマンである橋本晃司がチームにフィットしていなかったことも深刻な問題として受け止めないといけない。その他にも鈴木隆行への依存度が高すぎるなど、課題を挙げだしたらきりがない。ただ、それらはこのチームにおける“伸びしろ”でもある。「開幕戦は8割ぐらいでいい」と柱谷監督が言ってきたように、戦いながら完成度を高めていくこととなる。水戸はもっともっと強くなれる。

「J1昇格」。今はまだ水戸に携わる人だけの合言葉に過ぎない。しかし、残り41試合、この目標をぶらさずに戦い続けることで、きっと水戸は変われるはずだ。日本サッカー界を驚かすための第一歩を、水戸は力強く踏み出した。

一方、横浜FCの岸野靖之監督は「開幕戦はどうしても勝ちたかった」と肩を落とした。昨季は昇格候補に挙げられながらも18位に沈むという失意のシーズンを送った。負の流れを断ち切るためにも重要な開幕戦であった。その意気込みが空回りしてしまった感じだ。フルパワーで臨んだ序盤こそペースを握ったが、30分以降は運動量の低下により、後手に回ってしまった。その後、立て直せないまま敗戦を喫すこととなった。いい流れの時間帯は力を発揮するが、悪い時間帯にどうすべきかの意思疎通ができていないように見えた。そこに水戸との力の差が感じられた。ただ、まだ1試合が終わったところである。挽回する時間は十分に残されている。戦力も充実しており、課題を克服すれば、必ずJ1昇格争いに絡んで来ることだろう。この状況をどう立て直すか。岸野監督の手腕に期待がかかる。

以上

2012.03.05 Reported by 佐藤拓也
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/07/28(日) 00:00 ハイライト:YS横浜vs八戸【明治安田J3 第23節】