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開幕戦が42試合のうちの１つであることは確かだが、過去２シーズンのオープニングゲームを落としている草津にとっては単なる１試合ではない。選手たちによると、副島博志監督は１月中から「大分」を意識した言葉をピッチ内外で投げかけていたという。クラブ創立10周年のメモリアルイヤーで周囲の期待が高まる中、草津は３年ぶりの開幕勝利を目指し敵地・大分へ乗り込む。
４日の開幕戦へ向けての実戦練習となった３月１日、ピッチにはチーム全体の気迫がみなぎっていた。主力組は、１プレーごとに求めるプレーを激しく要求。大分の３−４−３を想定しながら細部にわたって確認を繰り返した。さらに若手を中心としたサブ組は、主力組を上回る気迫のパフォーマンス。ベンチ入りではなく、開幕スタメンを狙って自らの存在をアピールした。
草津は開幕戦へ向けた調整として２月22日に非公開練習を実施。26日には完全非公開のテストマッチを行った。今季はキャンプ中から、昨季構築した４−２−３−１と、オーソドックスな４−４−２のシステムをテスト。リンコン、後藤涼、松下裕樹、熊林親吾ら既存選手と、ヘベルチ、金成勇、遠藤敬佑ら新戦力をフィットさせる作業を繰り返した。
開幕を直前に控えて、加入２年目の林勇介、山本啓人の若手２人も主力に勝るとも劣らないプレーを見せ、土壇場に来てスタメン、そして遠征メンバーの選考は熾烈を極めた。先発が予想される後藤涼は「激しい競争によってチームには大きな刺激が加わった。開幕戦のピッチに立つ選手はチームの代表として責任を持ったプレーをしなければいけない」と気持ちを引き締める。
草津は、３バックの陣形から素早いカウンターを仕掛けてくる大分を警戒しつつも、ポゼッションを軸とした自分たちのサッカーを表現していく。ボランチ松下裕樹は「相手のカウンターにビビるのではなく、チーム全体でしっかりとリスクマネジメントをした上で攻撃を仕掛けていく」と開幕へ備える。ＧＫ北一真は「もし先制を許したとしても下を向く必要はない。昨季の手応えもあるし、絶対に取り返せるので自信を持って戦いたい」とチームを鼓舞する。
３年目のシーズンを迎える副島監督は、冷静な表情の奥に熱い魂を秘めて今シーズンへ臨む。その思いは選手たちにも伝わっている。指揮官は「今年は１歩、１秒、１メートル、１ゴールなど１にこだわった戦いをしていく」と語る。草津の新ユニフォームは、フロント、チーム、サポーター、行政、スポンサーを意味する５本のラインが入る。２０１２シーズンは、すべてが１つとなってシーズンを戦っていく。
草津にとっては、飛行機移動を伴う九州での過酷なアウェイ開幕戦となる。メンバー入りした選手たちは、メンバー外の選手たちの思いを胸にピッチへ立つ。そして、大分へと渡る少数精鋭の草津サポーターも、ホームタウンで声援を送る多くの人々の思いを背負ってスタンドへ上がる。「チームを支えてくれるすべての人のために熱い戦いをみせる」（御厨貴文主将）。草津は、勝利の雄叫びをホームへ届けるために戦う。それがＪ１昇格への第一歩となる。
以上
2012.03.03 Reported by 伊藤寿学
