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岡山がJの舞台にのぼって4年目。先輩を名乗ってよければ、後輩クラブも4クラブに増えた。昨季は13位でシーズンを終え、J2というリーグでの戦い方も少しずつ見えてきた実感もある。そして今季の開幕戦に迎える相手は、08年冬に「一緒にJに上がろう」と手を差し伸べてくれた富山。岡山にとって特別なクラブだ。
岡山と富山は昨季（富山は昨季後半）から、3-4-2-1のフォーメーションを採用している。ともに前線3枚それぞれのタレント、持ち味によって攻撃に変化が生まれる。岡山は3人が自由に動いて仕掛け、富山はゴール前に次々と飛び込んでいく形が多い。昨季の対戦は、10月26日と11月13日に行われた。当時、富山はトップの黒部光昭を左膝捻挫で欠き、苔口卓也が代わりに入った。「フォーメーションが重なり、ガチンコ勝負を挑んだ。蹴らせない、拾いまくる、出て行く、ということを徹底してやった。1試合目は引き分け、次の富山での試合には、きっちり点を取って勝てた。その戦い方がベースになると思う」と岡山・影山雅永監督。
岡山の前線は、トップに天性の得点感覚を持つチアゴ。シャドーに候補は多く、個人のタレントがさらに強く引き出される組み合わせが考えられる。金民均は、京都とのトレーニングマッチ（2月25日）から少し調子を落としていたが、開幕には間に合わせた。走りとポストプレーの出来る中野裕太は現在、絶好調。桑田慎一朗のターゲットに対するうまいフリーランは魅力だし、新潟から加入し、闘争心あふれる川又堅碁は今、自分を見つめ直している。また、「がつがつしたプレーだけど、しっかりボールを収められる。ハングリーでおもしろい」と影山監督から評される流経大卒のルーキー・上條宏晃もいる。同じく流経大卒のルーキー・関戸健二は、キャンプ中に岡山のファンを魅了してしまった。ボランチで冷静に判断しながら大胆に前へと仕掛けていく関戸は、シャドーにも適性を発揮する。
6位以内を目指す上で、チームに甘い見通しはない。今季のキャンプは、「チームとしては熟してきたが、J2の中ではまだまだ。J2の上を狙える質、スピード、精度を求めていく必要がある」（影山監督）として、昨年やったことは出来るという前提で、下のレベルには合わせずに行われた。1月の岡山キャンプが始まった時も、宮崎でのキャンプを終えて岡山に戻った時も、昨季からのやり方、考え方が続いていて、新加入選手の中にも同じものがすでに根付き、繋がっていることが感じられた。
「開幕戦は独特の雰囲気になるからミスも出るかもしれない。気迫と、仲間を信じてプレーすることが必要」と仙石廉。「起点を作らせない、ボールを触らせない、展開させないように、というところを求められていると思う」とボランチ、リベロがやれる竹田忠嗣は守備面の役割を一段階上げた。「富山は同じフォーメーションで、足の速い選手がいる。開幕戦の空気が自分を正しい所に連れていってくれると思う」と後藤圭太。「いい準備は出来ている。でも開幕戦は緊張するし、『何があるかわからない』って、とりあえず考えておくんです」と言う一柳夢吾は、「でも大丈夫ですよ、勝ちますから」とやけに爽やかな笑顔で付け加えた。前日から岡山入りするという噂の富山サポーターとともに、2012シーズンの開幕を祝う準備は整っている。
以上
2012.03.03 Reported by 尾原千明
