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いよいよ2012年J2リーグが開幕する。昨季は最下位の屈辱を味わった岐阜は、新監督に行徳浩二氏が就任し、メンバーを大幅に入れ替えるなど、上位浮上に向けて大きなテコ入れを行った。
行徳監督の目指すサッカーはまずしっかりとした守備から、攻守の切り替えの早いカウンターを繰り出すサッカー。カウンターと言っても、相手の状況を見て、簡単に前に素早く送り込むパターンと、ポゼッションで中盤で構成をしながら、サイドを使って攻め込むなど、メリハリをつけて展開していく。
「ボールを奪えるのであれば、より前の位置で奪いたい。奪ってからは、相手の背後を取れるならそれがプライオリティーの1位。ランニングできる選手もいるので、そこを生かしたい。それがダメだったら繋ぐところは繋ぐ。そのコントロールを服部に任せて、やってもらいたい」
行徳監督の言葉通り、ボランチに入る新加入の服部年宏が今年のチームのカギを握っている。服部は言わずと知れたJリーグを知り尽くしたベテラン中のベテラン。昨季は対戦相手である鳥取で、チームの中核としてフルシーズン戦い抜いた。J2の戦い方も熟知しており、岐阜でもその洗練された技術を存分に発揮してくれるはずだ。
ボールを奪った瞬間、裏への飛出しを得意とする井上平や廣田隆治といった選手を生かすシンプルな方法を考え、それが出来なければ服部を中心に中盤で繋ぎつつ、染矢一樹と地主園秀美の両サイドのドリブラーを生かして、ショートカウンターを仕掛ける。
緩急、長短のカウンターがいかにはまるか。そして、昨季の最大のウィークポイントで、このキャンプで重点的に行った守備の構築がどこまでうまくいっているかが注目だ。バリエーションあるカウンターは、規律があり組織的な守備があってこそ生まれる。磐田とのプレシーズンマッチではベテランの新加入・池田昇平と、大卒ルーキーの関田寛士がセンターバックのコンビを組み、高さと強さを武器に、ディフェンスラインを見事に統率した。
「まだまだチームは発展途上で、今週も紅白戦をしたが、選手を入れ替えたりしている」と行徳監督が語った様に、まだ確固としたスタメンが決まっているわけではない。実戦を試してみないと分からないところがある。まずはこの開幕戦で勝利はもちろんだが、今後に繋がる手ごたえを掴みたい。
チームの核となる服部、FW梅田直哉、GK多田大介は早くも古巣との対決となる。負けられない思いは人一倍強いだけに、彼らが出場したときは、チームにメンタル面でいい影響を与えてくれるはずだ。
いずれにせよ、行徳監督のコンセプトをどこまで具現化できるのか。当然課題は多く出るだろうが、この試合で最も重要なのは昨年の低迷の決定打となった守備がどこまで機能するかにある。ここが機能しなければ、行徳監督のサッカーも今後、『絵に描いた餅』になってしまう危険性がある。より行徳監督のイメージした攻撃をこれからじっくりと構築していけるように、守備面での奮闘をこの開幕戦では期待したい。
いよいよ始まるホーム開幕戦。昨年の苦しみを生かし、『新生・FC岐阜』は幸先の良い船出をすることが出来るのか。今から楽しみでならない。
以上
2012.03.03 Reported by 安藤隆人
