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【J2開幕!甲府 vs 栃木】甲府側プレビュー:2013年甲府の旅。船出のテーマは過去との決別(12.03.04)

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甲府を愛する人にとってJ1・J2入れ替え戦を経て初のJ1昇格を果たした2005年からの数年間は特別な時間だった。J1での順位は下の方だったけれど、G大阪や横浜FMや鹿島というビッグクラブに勝って郷土愛や自尊心をめちゃくちゃに刺激された。スター軍団・鹿島には遠く及ばないけれど、県外サポーターが増えたのもこの時期。そして時が過ぎるにつれて想い出だけがどんどん美しくなっていった。
2010年に2度目のJ1昇格を果たしたが、過去の思い出を忘れさせるような力はなかった。大木武監督(現・京都監督)と安間貴義コーチ(現・富山監督)のコンビを懐かしむ人は少なくなく、昨年は甲府のアウェイゲームにくっつけて富山対京都をバスツアーを組んで観に行った甲府サポーターもいた。僕自身も、甲府が土曜日に神戸や大阪で試合をした翌日に西京極で試合があれば行った。2度行った。試合前のアップを京都ベンチから少し離れたところで見ていると、大木さんが「あれっ、松尾君。来てたの?」って声を掛けてくれて握手してくれる。これがちょっとうれしかったりする。少し甲府の話をし、京都の話を少し聞く30秒ほどの会話。大木さんの視線はほぼ京都の選手に張り付いたまま。日本代表コーチを経て大木さんが今、京都でどんなことをしているのかを覗きたかっただけ。大木さんは京都の監督になるまで甲府に住んでいたから、ワールドカップ南アフリカ大会の後、当時の担当記者で慰労会をやっていろいろな話を聞いた続きのような気分だったかもしれない。

去年は富山には行けなかったけれど、安間さんと電話で話した時に富山がインターハイ県予選のベスト8に入ったチームとトレーニングマッチをやり、全国高校選手権代表の富山南とは1回戦の対戦相手・佐賀東のシステムで富山が戦うトレーニングマッチを行ったという話を聞いて「らしい」と思った。富山はA契約の選手の数も少なく、アウェイは2人少ない人数で行くことも少なくなかった。こういう条件を嘆くのではなく、おもしろがって逆手にとって何とかしようとするところが安間さんの魅力。高校生とでも、自分たちの糧にする何かを見つける試合をしているはず。甲府時代、大木監督と安間コーチのコンビはお互いを補完し合って素晴らしい時代を創ってくれた。

だが、安間監督が退任後はずっと過去と戦ってきた。その主語は海野一幸社長と佐久間悟GMということになるのではないだろうか。うまく行かないことがあるとメディアは過去と比べたし、ファンやサポーターにもそうした人は少なくないはず。片桐淳至やハーフナー・マイクの補強など2回目のJ1昇格に繋がる布石は打ったが、異郷から故郷を懐かしむような気分になることもあった。
でも、なんで多くの人が過去にこだわったのか。初のJ1昇格というアドバンテージだけでなく、J1の中で最低ランクの年間予算でビッククラブを倒して見せたから。それも、主導権を取りに行く戦いの中からいくつかの偉大な勝利を手にした。もちろん、その代償として惨めな敗北もあった。でも、その中にも夢と希望があった。叶ったモノより叶わなかったモノの方が多かったのかもしれないが、「こうしたい、こうなりたい」という絵が見えたし、好きな絵だったように思う。いきなり「バルセロナ」なんて言われても信じられないが、彼らの掲げた絵は誰が決めたのか知らない世界基準や舶来のサッカーのコピペではなく、世界から刺激を受けながら現場で叩き上げたサッカーだった。それも、世界と戦うために日本があるべき姿を、Jリーグという世界で戦う甲府という縮図にして見せてくれたと思っている。他のクラブからはどう見えていたかは知らないが、少なくとも自分たちのサッカーに日本が世界で戦うためのヒントくらいあると思っていた。外野に何と言われようが甲府は特別だと思っていたし、それが誇りだった。この誇りをずっと持ち続けていたかったし、それに繋がる夢や希望があれば戦うステージはJ2でもよかった。でも、誇りをもてないままにJ1に再昇格して監督交代の末に1年で降格。誇りなき降格の惨めさを味わった。

でも、その思いが吹き飛んだのは1月15日の新監督・新加入選手・スタッフ発表記者会見での城福浩監督の言葉。「プロビンチアの代表として、J1の上位を占める大企業がサポートするクラブに割り込んでいくという気概を持って指揮したい」という趣旨の話に惹かれた。地方クラブの自尊心を刺激するビジョン。サッカービジネスマンではなく、サッカーマンの言葉が心にスッと入ってきた。同じではないが、大木さん、安間さんと通じる心意気。これこそ多くの甲府ファン・サポーターが好きな流れではないだろうか。甲府は地方クラブではなく、地方クラブの星でないと満足できない。成功する保証はないが、城福船長と同じ船に乗りたいと思う。今年は大木・京都、安間・富山との対戦があるが、もう昔を懐かしむことはないだろう。JFK甲府はプロビンチアの星として戦う。このシーズンのスタートは栃木とのホーム開幕戦。もちろん勝利が欲しい。でも、もう過去と戦わなくてもいいシーズンが開幕することが一番うれしい。焦らず、進化・熟成していくチームをサポートしながら星になろうと思う。

以上

2012.03.03 Reported by 松尾潤
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