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18日にC大阪、ホンダロックとの2試合で宮崎キャンプのスタートを切ったチームは、オフを1日はさみ、20日の午後からトレーニングを再開した。

最初の1時間で体幹トレーニングとサーキットを、次の1時間強でボールを使ったトレーニングを行った。サーキットトレーニングはピッチ全体にくまなく障害物が並べられ、小刻みなステップ、止まる動作、片足でケンケン、インサイドキックでのコントロールなどさまざまなバリエーションの動きを行うが、順路が決められていないため、各自が自由に動きの組み合わせをつくることができる。50%のパワーから始め、本数を重ねるごとに徐々に100%に近づけていき、最後の5本は合図とともに数秒のスプリントを入れる動作も入れて繰り返された。雲仙キャンプではトータル60秒の動きを繰り返したが、今回はより瞬発力を使うものに変化していた。

このサーキットメニューを、フィールドプレーヤーに混ざりゴールキーパーもまったく同じようにこなしている。これまでもキーパーはサーキットのみならず、ボールを使ったテクニカルなトレーニングもフィールドプレーヤーとともにこなしてきたが、そこにはチームの狙いがある。
「当然、意識が変わってきますよね。自分たちもつなぎに入るんだっていう意味でキーパーがフィールドと同じように遜色なくできればできるだけいい。できる限りそうやって一緒に参加してやってもらえれば、同じようなタイミングだったり、同じようなフィーリングができてくると思います」と解説するのは奥野僚右監督。苦しさに顔をしかめながらなんとか乗り切った清水健太も、「実戦でもキーパーがポゼッションに参加していくというのはチームとして意識してやっている。練習試合でもチャレンジできているので、それが自然にできるようになってきたら強みになっていくんじゃないかなと思います」と意図を汲み取っている。
昨シーズンまでは自陣で無理につなぐケースは少なく、セーフティに蹴りだしてピンチを回避する一方で、ボール保持率も高めることができずにいた。今シーズンは「マイボールをどうやって攻撃につなげていくかというところのひとつの手段」（奥野監督）と確実につなぐことにこだわる姿勢を見せている。トレーニングゲームでは自陣でプレッシャーを受け、前に持ち出せないケースも多く見られるが、それもつなぐことにチャレンジしたうえでのことだ。

一方で、いわゆるキーパー練習の時間は大幅に減っているが、岸本浩右GKコーチはキーパーの練習時間が足りていないという認識をしていない。「ゴールがあって、キーパーが入って、フィールドプレーヤーとトレーニングする。これ、立派なキーパートレーニングですよ。僕は意図したボールを蹴れますが、僕が彼らと一緒にやる練習よりも、生きたボールに対処するほうが遥かに質の高い練習になっているわけですよ。そうしたら、そっちのほうを長くやったほうがいいわけですよね」と実戦的なトレーニングを重視している。

キーパーの役割をフィールドプレーヤーのそれに近づける考えとそれに則したメニューは、奥野監督と岸本GKコーチのどちらから最初に発信されたものなのか。それについて、岸本GKコーチがおもしろい話をしてくれた。「キーパーの練習方法に関して、僕から監督にオーダーしたこともないし、監督から僕にオーダーが来たこともない。同じ考えだと思うんですよ。だから、こういうトレーニングをしますよと言われて、何の問題もない」

今シーズン、山形のピッチには11人目のフィールドプレーヤーが立つことになる。

以上

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2012.02.20 Reported by 佐藤円