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【キャンプレポート2012:広島】2月20日(月):守備面で進歩を見せる広島。だがそれも全て、攻撃サッカー進化のため(12.02.21)

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J1通算100得点まであと「5」と迫っている広島の絶対的エース。佐藤寿人の爆発なくして、広島の攻撃サッカーの進歩はない

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2点、1点、1点。
広島の主力組がここまでの練習試合で決めた得点の推移である(主力と若手をミックスした水原三星戦をのぞく)。「攻撃サッカー継承」をうたった森保一監督としては、物足りない数字だろう。開幕戦で戦う浦和が練習試合で6試合で15点をたたき出した現実から目をそらしたにしても、3試合で4点は少ない。もちろん、対戦相手のレベルや試合形式なども考慮に入れるべき数字ではあるのだが。

守備は間違いなく進化している。水本裕貴・森脇良太の両ストッパーとリベロを務める千葉和彦が構成する3バックは、練習を重ねるごとにリズムが合ってきた。「チャレンジ&カバー」の基本関係はもちろん、リスク管理も万全。今季から森保監督が掲げた「積極的なラインの押し上げ」と「前線からの組織的守備」という戦術機能にも、彼らは大きく貢献している。
「どこでボールを奪うのか。ボールをとりにいくのか、リトリートするのか」
その意識をしっかりと統率することこそ、森保監督が「もっとも重要」と選手たちに語っているコンセプト。「同じ絵を描く」という表現も使うが、それほど新指揮官は「連係」を大切にしている。そしてその想いを実現するべく、3バックとボランチの森崎和幸が意思疎通を重ね、チーム全体への指示系統も強化した。水原三星・全南・蔚山現代とKリーグの強豪3チームとの対戦で完封2・失点2。全南戦の2失点はセットプレーとコンビネーションミスで、流れの中で相手に崩された失点は一つもないことが、守備の進歩を証明している。

ただ、森保監督が守備に力を入れるのは、「守りきるサッカ一」ではなく「攻撃サッカー」の進化のためだ。「高い位置でボールを奪えば、攻撃に体力を使うことができる」とDFは口をそろえる。実際、チャンスの創造力は昨年と比較しても落ちてはいないし、攻撃に至る過程は美しい。森崎和がボランチに戻ったことでポゼッションの位置が高くなったこと。リベロを務める千葉からの縦パスが利いていること。昨年目立った右サイド偏重が少しずつ緩和し、両翼から攻撃を仕掛けられつつあること。「GKからパスをつなぎ、人数をかけて攻撃を仕掛ける」広島のサッカーは、色彩は変わりつつも確かに健在。さらにボール奪取地点が高くなったことで、速攻にはより切れ味は増している。

ただ、広島がずっと抱えている「チャンスと得点の比率の低さ」は、決して改善されているとは言えない。19日の蔚山現代戦にしても、広島が迎えた決定機は8回。しかし、ネットを揺らしたのは1度だけだ。
新加入の石原直樹の得点感覚は、本物。水原三星戦でのヘディング・ゴール、蔚山現代戦での決定的なシュートや山岸智のゴールにつながるスルーパス。能力は間違いない。ただ、コンビネーションはまだ習得の途中。「チュン(李忠成)も1年かかった」と佐藤寿人が言うように、広島の特殊なサッカーを身体にしみ込ませるには、時間と実戦が必要だろう。その李忠成が奪った昨年の15点にしても「チャンスとの割合からすれば、もっと取れた」と彼自身が振り返った現実もある。

つまり今の広島は、屈指のレベルにある「攻撃力」とその結果となるべき「得点力」が見合っていない状況が続いている。佐藤寿人という偉大なストライカーが健在ぶりを示しているのに、である。その不均衡の改善に向け、森保監督は「美しく崩すのもいい。だけど時には泥臭いゴールも必要」と選手に訴えた。必要であれば、低い位置から一発で相手の背後を狙うパスも狙うべき。崩しきらなくてもシュートを放つべき。「ALL FOR WIN」、全ては勝利のために「美学」と「現実」との共存をめざし、得点量産を狙わねばならない。だがそれはまだ、発展途上だ。

佐藤寿人に続く得点源は誰か。石原・高萩洋次郎・森崎浩司・平繁龍一・大崎淳矢と候補はいるが、それぞれ連係・体調・経験等の面で課題を抱えている。いっそのこと、昨年の高円宮杯MVPで広島ユースのエース・野津田岳人をよりゴールに近い位置で起用してみては、という妄想も働くが、それが現実味を帯びるかどうかは、まだこれからだ。

開幕戦の浦和が、自らのプライドをかけて、攻撃を押し出してくることは間違いない。彼らのアタックを受け止める準備は、できつつある。だが、それだけでなく「攻撃サッカーなら広島だ」という言葉がリアルな実感を与えるべく、埼玉の赤い軍団を叩きたい。それが、勝利という歓喜を爆発させる鍵となる。

以上

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2012年3月3日(土) 13:35キックオフ/国立
柏レイソルvsFC東京
※詳細は【こちら

2012.02.20 Reported by 中野和也
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