12月29日（木）第91回天皇杯 準決勝 Ｆ東京 vs Ｃ大阪（13:00KICK OFF/長居）
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★第91回天皇杯特集
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４回戦の仙台戦、準々決勝の清水戦と、２度のＰＫ戦にもつれる死闘を勝ち上がり、６年ぶりに天皇杯ベスト４へ駒を進めてきたＣ大阪。今度は2003年度に行われた第83回大会以来となる「元日国立」の舞台を目指す大一番に臨む。そして、今回が、レヴィークルピ監督にとっては、数々の歴史を築き上げてきた大阪長居スタジアムでの正真正銘最後の試合。タイトルという置き土産を残すためにも、このＦ東京戦では、「我々はすべてをぶつけて勝利をつかむ」（レヴィークルピ監督）。

「（選手たちの）モチベーションは高いし、１人１人がベストを尽くそうという思いが、ひしひしと伝わってくる。これだけ自信を持った姿を見せてくれると、私も『行ける』という手応えがある」とレヴィークルピ監督も言うように、今のチームの雰囲気はすこぶるいい。準々決勝の清水戦でもゴールを決めた清武弘嗣、キム ボギョンの核となる２人は今月絶好調。また、生え抜き期待のボランチである山口螢が、猛烈なプレスを武器に獅子奮迅の活躍を見せれば、この終盤戦に来て大卒ルーキーの村田和哉が台頭するなど、伸び盛りの若手をはじめ、勢いが止まらない。「みんな団結しているし、気持ちがみなぎっている。今はやっていてすごく楽しい。１日も長く、このメンバーでやりたいという思いが、みんなすごく強い」（山口）。

さらに、累積警告で準々決勝は出場停止だった扇原貴宏が、今回満を持して登場。体調不良により同じくベスト８の舞台でピッチに立つことができなかった主将の茂庭照幸が、この大事な試合に間に合った。５日ぶりに本隊へ合流した茂庭は、27日の練習後、「いつもどおりやれたんでよかった。（体調は）全快はしている」と復活宣言。「Ｆ東京は強い相手。個人的な思いはあるが、本当にこのチームでタイトルを獲りたいという思いが強いし、どんな勝ち方でもいいので勝つ！」と、チームリーダーは古巣相手への勝利に、闘志をメラメラと燃やしている。

長居でのＦ東京戦といえば、思い出されるのが、05年12月３日のＪ１最終節。２−１とリードしながら、土壇場で今野泰幸にゴールを許し、引き分けとなって、初タイトルの夢を目前で失った記憶は、Ｃ大阪に関わる人たちの脳裏から離れることはないだろう。あのときから、Ｃ大阪の栄冠への時間は止まったまま。この因縁の相手に、この地で、プレッシャーのかかる大一番で必ず勝たなければ、悲願のタイトル獲得へのカウントダウンを刻む時計の針は動かせない。

だがしかし、「あのときとは違う」と言うのは、当時Ｃ大阪側では唯一ピッチに立っていたＤＦ藤本康太。「あのときは守って勝てるチームだったが、今は攻撃的なサッカー。相手のディフェンスもいい選手はいるが、点の獲れる攻撃陣がしっかりウチには揃っている。僕らは前を信じてしっかり守る」と気合いを込める。６年前の天皇杯準決勝を知る選手の１人でもある藤本は、「ここ（準決勝）で終わることほど最悪のことはない。だったら１月１日までやりたいし、今は負ける気がしないような、いい雰囲気がある」と、自信を強く持って、この試合に向かう。

また、Ｃ大阪の選手では天皇杯優勝を直に味わった数少ない経験者であり、第88回大会では自らの決勝点でＧ大阪を栄冠に導いた播戸竜二はこう言う。「次に負けたら意味がない。しっかり勝ち取らないと何も残らない」と。「満員の国立のなかで、みんなで喜んでというのを、このチームにも、選手にも味わってほしい。20歳そこそこの伸び盛りのいい選手たちがたくさんいて、その選手たちがあの（優勝したときの）景色を見られたら、そこから成長していく度合いだとか経験というのは、絶対に変わってくるから」と実感を込めて語る11番は、「しっかりとピッチのなかで活躍する戦力になるのはもちろん、それまでのチームの雰囲気づくりや、（試合への）持って行き方とかも、しっかりと経験ある身としてはやらないといけない。ここまで来ると短期決戦なので、チームの勢いも大事になってくる」と、チームだけでなく、自らも引き締め、この決戦に挑む。

今回の準決勝では、天皇杯の規定により、Ｃ大阪が長居では初めてアウェイ側に陣取ることになる模様。でも、レヴィークルピ監督は「どちらのサイドでもホームはホーム。その辺はまったく違和感なく戦える」と意に介さない。Ｃ大阪最古参の酒本憲幸が「長居で（試合が）できるのは幸せなこと」というように、このアドバンテージを存分に活かし、桜色のサポーターともに、目指すは１つ、ただ勝利だけ。「一丸となっている」と誰もが口を揃える今の「レヴィーセレッソ」が、この年の瀬に、地元で満開の桜を咲かせる。その準備は整った。

以上

2011.12.28 Reported by 前田敏勝