12月29日（木）第91回天皇杯 準決勝 Ｆ東京 vs Ｃ大阪（13:00KICK OFF/長居）
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★第91回天皇杯特集
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３度その壁に阻まれてきた。1997年・鹿島戦１−３（前身の東京ガスFC）、2008年・柏戦１−２、2010年・鹿島戦１−２。Ｆ東京には、元日決勝を前に涙を飲んだ過去がある。鬼門・天皇杯準決勝こそ、いくつもの壁を乗り越えてきた2011年の総決算にふさわしい舞台と言えるだろう。場所は大阪・長居。ここを抜ければ、元日・東京の国立へと道は続く。

天皇杯は、今季の戦いの証明と、来季に向けた確認を行う場所となってきた。水戸、そして準々決勝では浦和を破り、Ｃ大阪へと挑む。攻撃サッカーを志向するＣ大阪には昨季、アウェイで力負けしている。１年前とは別のチームになっているとはいえ、今季どれだけ力をつけたかを推し量る上では格好の相手だ。まずは、流動的な中盤の２列目を捕まえきれるかが、ゲームの主導権争いにおいては重要だろう。

「セレッソは、攻撃的なチーム。一人ひとりの能力も高いのでしっかりと抑えたい。ただ、相手に回される時間帯もあると思う。この試合に限っては、内容よりも結果。どんなカタチでも勝って決勝に進みたい」（DF徳永悠平）
Ｊ２では、センターバックの今野泰幸、森重真人、そしてボランチに入る高橋秀人の３人で強固な守備を築き、ルーカスと羽生直剛から始まるプレスも機能的に働いてきた。このＪ２のリーグ最少失点クラブが、今季Ｊ１リーグ２位タイの攻撃力を誇るＣ大阪を抑え込まなければ、勝利は近づいてこない。

また、相手陣内で長い時間サッカーができたＪ２とは異なり、両陣地の往来も激しくなるはずだ。カウンターという武器は、必ず忍ばせていなければいけない。最終ラインからの丁寧なビルドアップとともに、MF石川直宏やFWロベルト・セザーの足を生かしたショートカウンターで得点機を作り出したい。石川は「勝ちてぇとか、優勝したいって欲をピッチの上でガツンと出したい」と言う。

そして、石川とDF茂庭照幸との１対１や、DF椋原健太とMF大竹洋平とのマッチアップは触れなければいけないだろう。「もし、お互いがピッチに立てば、ヨウヘイとは生まれてはじめての対戦になる。たぶん、向こうのほうが嫌がるんじゃないですか」と、椋原は言い、石川も「モニには負けたくない」と話す。攻撃的な両チームの対戦は、細部にも見どころが満載だ。

Ｃ大阪を倒せば、クラブ史上初となる決勝の舞台が待っている。MF羽生は「ルーコン（ルーカス）が元日決勝はいいよって何度も言うんですよ。俺も、まだ経験したことがないから味わってみたいよね」と、決勝への思いを語った。「ルーコンが元日はいいと言っても、多くの選手がきっと、まだ想像できていないと思う。でも、ここで頑張れば、そのルーコンが言ういいという理由を肌で感じることができる。そして、また立ちたいという伝統がそこから始まる。その舞台に立ちたいと俺以上に選手がどれだけ思えるかだと思う。そのリアリティを持ってピッチに立ってほしい」と話す大熊清監督は、今季限りでの勇退が決まっている。指揮官にとっても、天皇杯決勝は未知の舞台。過去２度チームを導いているが、どちらも１点差での敗戦を喫している。
刻々と、終わりは近づいているが、クラブの歴史を築いてきた男の晴れ舞台は、元日決勝の国立がふさわしいはずだ。Ｊ２からアジアへ。出来すぎた筋書きを描くことができるのは、長居のピッチに立つ選手しかいない。

以上

2011.12.28 Reported by 馬場康平