12月24日（土） 第91回天皇杯 準々決勝
湘南 0 - 1 京都　（15:04／等々力／4,251人）
得点者：40' ドゥトラ（京都）
★第91回天皇杯特集
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攻撃陣の流動性とともにワンツーなど細かいパスワークで敵の圧力をかいくぐる。徐々にポゼッションを高めた京都が先に攻撃のペースを掴んだかに見えた。対して湘南もボール奪取から逆サイドを意識しながら展開を図っていく。永木亮太が左右に振り、最後は田原豊がヘッドを合わせに行った19分あたりから、湘南が次第に盛り返す。一進一退の様相だ。

「いつ取られてもおかしくなかった」と京都の大木武監督は振り返り、湘南の反町康治監督は「フィニッシュの精度」に触れている。今季3度目も再び拮抗した両者の対戦に、先制点はその重みを増した。奪ったのは、京都だった。

40分、チョン ウヨンのコーナーキックを秋本倫孝が折り返し、ドゥトラが右足で押し込む。「セットプレーはかなり重要になると思っていた」と、チョン曰く。ピンポイントのボールで、序盤に訪れた一度目のキックミスを帳消しにした。付け加えるなら、このコーナーキックを導いた京都の速攻も見逃せない。湘南がセットプレーを絡めて押した直後、宮吉拓実を追い越してゴールに迫った工藤浩平のプレーが相手DFにエンドを割らせていた。

ハーフタイム、反町監督は「これが最後の試合になるのは寂しいだろ」と選手たちに語りかけたという。果たしてビハインドを追った湘南は、選手交代を含めて猛攻を仕掛けた。坂本紘司に代わった石神直哉のクロスから田原が枠を狙う。ハン グギョンのスルーパスに臼井幸平が抜け出しゴールに迫る。後半30分前後には菊池大介のクロスに高山薫がヘッドで枠を捉え、その先で遠藤航もこぼれ球を押しこまんとした。臼井のカットから最後、田原が合わせに行ったシーンもあった。だがいずれもGK水谷雄一が素早い反応でかき出すなどして、京都がゴールを死守している。

「あまり自分が目立つのはよくないけれど、そこは自分の仕事なので自信を持ってやっている」ビッグセーブで応えた水谷は言った。一方、湘南の鎌田翔雅は、「後半のサッカーが前半からできていればもっといい流れになったと思う。やられたのは点を決められたあの1本だけ。ほんとうに悔しい」と唇を噛んだ。

湘南はゴールに向かう。京都はブロックで阻む。途切れぬ攻防は、湘南の松尾直人の鋭いミドルがポストの角を叩いたところで終わりを見た。

こうしてJ2対決を制した京都がベスト4進出を決めた。「お互いベスト4に残るチャンスがある。結果を出したい」一戦を前に奇しくも臼井が口にした言葉は、結果が出たいまは今季同じステージを戦った京都へのエールに変わる。湘南はこの日をもって今季を終えるとともに去りゆく者たちもいるが、反町監督が折に触れて語ってきたように、サッカーは続いていく。勝者のつぎとともに、J2の、そして彼らの挑戦は続く。

以上

2011.12.25 Reported by 隈元大吾