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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【第91回天皇杯 4回戦 仙台 vs C大阪】レポート:宿敵対決にふさわしい死闘。PK戦の末、C大阪が仙台を破り、05年以来のベスト8進出!(11.12.18)

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12月17日(土) 第91回天皇杯 4回戦
仙台 1 - 1(PK 2 - 4)C大阪 (17:01/金鳥スタ/5,316人)
得点者:98' 武藤 雄樹(仙台)、115' 村田 和哉(C大阪)
★第91回天皇杯特集
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近年の戦いでは、常に接戦を繰り広げてきた仙台とC大阪。2010年シーズンからともにJ1へ復帰してきたライバル同士の対決は、延長戦を含めた120分間での勝負でも決着がつかず。PK戦の末に、C大阪が仙台に勝利し、2005年以来となるベスト8進出を果たした。

扇原貴宏が最後にPKキッカーとしてゴールを決めた瞬間、キンチョウスタジアムは爆発的な歓喜と興奮に包まれた。レヴィークルピ監督が「最後まで最高の集中力を見せてくれた」と称賛したC大阪の選手たちの頑張りだけでなく、チームスタッフ、サポーター、C大阪に関わるすべての人たちの思いが報われた末の勝利。「国立へ行こう! レヴィーと行こう!」というC大阪サポーターからのコールは試合後も響き続けた。

ただし、このベスト8への切符を手にするまでの戦いは、C大阪にとって本当に苦しいものだった。序盤から清武弘嗣、キム ボギョン、倉田秋の3シャドーを中心に攻勢をしかけるものの、角田誠、鎌田次郎らを軸とする仙台お得意の堅守は厚く、ゴールが遠い。レヴィークルピ監督も述べるように「仙台さんはJリーグのなかで最少失点を誇る堅いディフェンスがあり、そして常にコンパクトに戦い、カウンターの速い攻めや、クロスボールを多用する攻撃という持ち味が出て、それに対してセレッソは勝利を目指してパス、個人の突破、そういった技術というものを全面に出した戦いをしていた」。その両極の特長が激しくぶつかり合うことで、どちらに転んでもおかしくないような展開となり、結局90分間では仙台もC大阪も得点できなかった。

延長前半には先にゴールを献上してしまったC大阪。それでも、今季のJ1第10節同様、C大阪のホームでもあるキンチョウスタジアムでは、終盤にドラマが待っていた。延長後半、C大阪サポーターの強烈な後押しを受けて、怒濤の猛反撃に出たC大阪は、115分、ついに同点に追い付く。結果を出したのは、交代出場した3人。大竹洋平がペナルティーエリア前でドリブルを仕掛けると、播戸竜二に預け、そして播戸がエリア内の村田和哉に絶妙ラストパス。これを村田がループ気味のシュートでゴールに決めきった。村田曰く、「あんまり覚えていない」というような、無我夢中で放った軌跡が、チームを土壇場で再生させた。

そして、PK戦。ここでは、キンチョウスタジアム名物となる、ピッチとスタンドの距離がわずか7メートルという、C大阪サポーター側ゴール裏の「圧力」が、まさにホームアドバンテージとなった。仙台のキッカーが蹴る際には、サポーターがゴール裏でビッグフラッグを振るなどして、プレッシャーをかけると、赤嶺真吾、武藤の2人が失敗。これに対して、C大阪は清武、キム ボギョン、丸橋祐介、扇原の4選手すべてがきっちり成功し、勝利をつかみとった。

「J2の時代から常に難しい厳しい試合を仙台さんとは繰り広げてきたので、今日の勝利が本当にうれしい」とレヴィークルピ監督が述べれば、「ホームでサポーターの方の後押しがあったからこそ、あそこまで頑張れたと思う」と扇原は桜色の援軍に感謝。「あとはやることは1つ。とりあえず勝つことだけ」という殊勲の村田は、「セレッソらしい攻撃サッカーを見せて、レヴィー(クルピ監督)に、優勝という花道を作る」と、この勢いを力に、初タイトル獲得をレヴィークルピ監督への餞別にすることを誓っていた。

一方の仙台は、アウェイの雰囲気のなかでも、持ち味の堅守速攻をフル活用。延長前半98分には、カウンターから途中出場の武藤雄樹が指揮官の起用に見事に応えるゴールを決め、「その辺までは、プラン通りに行った」(手倉森誠監督)。しかし、C大阪の攻撃を封じられず。「もう少し粘り強い守備を見せられればよかったのかなというのが、チームとしての反省点」と、田村直也。結局PKでの敗北となったが、「本当に選手は、最後の、今季のフィナーレの大会を盛り上げるべく、全力を尽くして戦ってくれた」と手倉森監督はイレブンを称えた。

これで仙台としては今季すべての公式戦が終了。東日本大震災の被害を直接受けたクラブながら、人々の思いに応えた仙台の勇姿は、今季最も光っていたと言っても過言ではない。手倉森監督は「試練を味わって、全力、全力、全力で戦い抜いた1年だった。リーグ戦4位と、天皇杯はここで敗戦になったが、いろんなものを蓄えることのできた1年だった」と感想を述べ、主将の梁勇基は「今年は、あらためてサッカーの力を感じられたシーズンだった。これからもサッカーを通していろいろな感動や元気を与えられたらと思う」と胸を張った。

また、試合後には、C大阪、仙台の両サポーター同士が、健闘を称えて互いにコールをしあうなど、エールを交換。日本サッカーのサポーターにふさわしい光景がそこにはあった。「レヴィーセレッソ」と「手倉森ベガルタ」の戦いはこれで最後となったが、C大阪と仙台の名勝負が今後も続いていくことを願って止まない。

以上

2011.12.18 Reported by 前田敏勝
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