本文へ移動

今日の試合速報

ルヴァン 準々決勝 第1戦
ルヴァン 準々決勝 第1戦

J’s GOALニュース

一覧へ

【第91回天皇杯 4回戦 水戸 vs F東京】レポート:ゴールを入れるところのメンタリティーの差が分けた勝敗。数々の決定機を生かせなかった水戸を退けたF東京が準決勝に駒を進める。(11.12.18)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
12月17日(土) 第91回天皇杯 4回戦
水戸 0 - 1 F東京 (13:04/Ksスタ/6,242人)
得点者:8' オウンゴール(F東京)
★第91回天皇杯特集
----------
水戸は0対1で敗れたものの、J2王者のF東京を相手に互角の内容を見せたことに対して、柱谷哲二監督は胸を張った。「われわれがやりたいこと、やらなければいけないこと、すべてできたゲームだった」。今季水戸が培ってきたもの全てがピッチに表現された90分。「これで負けたらしょうがない」と柱谷監督は納得の表情を見せるほど、質の高いサッカーを披露し、J2王者をあと一歩まで追い込んだ。この試合で今シーズンが終わることとなってしまったが、選手たちが見せたパフォーマンスは来季に向け、大いなる希望を抱かせるものであった。

それだけに悔やまれる失点だった。8分、自陣でボールを受けた鈴木隆行がバックパス。しかし、ボールはF東京谷澤達也に渡ってしまい、そのままドリブル突破を許し、折り返されたボールがDFに当たってオウンゴールとなってしまった。「俺のミスから失点。こういう終わり方になって申し訳ない」と鈴木隆は唇を噛んだ。

どうしても許したくなかった先制点を自分たちのミスから与えてしまい、チームは浮き足立つかと思われた。だが、そこから水戸が「1点を取って気持ち的にアグレッシブさが消えてしまった」(大熊清監督)F東京を攻め立てる展開が続いた。鈴木隆が前線で体を張ってターゲットとなり、そして小澤司が中盤とDFとのギャップでうまくボールを引き出して起点を作る。さらに、サイドの小池純輝と島田祐輝が果敢に中央に切り込んでゴールに迫っていった。17分に小澤のスルーパスを受けた岡田佑樹が、30分にも左サイドで小澤とのパス交換からペナルティエリアに侵入した島田が決定機を迎える。いずれもゴールに結びつけることができなかったが、水戸のゴールの予感が漂ったまま、前半を終える。

後半に入っても流れは変わらなかった。「F東京の中盤がゆるくなった」(柱谷監督)こともあり、前半よりもボランチでボールをさばくことができるようになった水戸が主導権を握る時間が増えた。そして47分にはボランチの西岡謙太からのスルーパスに走りこんだ島田がGKと1対1の場面を迎えるものの、決めきれず。52分には小澤からのパスを受けた島田が再びペナルティエリア内でシュートを放つものの、ゴール右に逸れていった。
攻めても攻めてもゴールを決めることができない水戸。しかし、それでもゴールを目指し続けた。73分には肋骨骨折から復帰したばかりの吉原宏太を投入。吉原が切れのある動きで攻撃をさらに活性化させ、攻撃の幅が広がることとなった。

そしてこの日最大のチャンスが75分に訪れる。ボランチの村田翔が右サイドにロングボールを入れる。ボールを受けた岡田佑樹が上げたクロスはDFに跳ね返されるものの、右サイドでセカンドボールを拾った小澤がクロスを入れる。それを中央の鈴木隆が頭でそらすと、ファーサイドでフリーの状態で待っていた小池の足元へ。すかさずシュートを放つものの、ボールはゴールマウスの上を越えていってしまった。
試合終了間際にも水戸のチャンス。左サイドから吉原が入れたクロスボールのこぼれ球を塩谷司がミドルシュートを放つが、高橋秀人が体を張ったブロック。最後までF東京の堅固な守備をこじ開けることができず、クラブ史上初の準々決勝進出を逃すこととなってしまった。

わずか1点に泣いた水戸。だが、そこに大きな力の差が顕在していた。「入れるところのメンタリティー」。大熊監督はそう表現した。ゴールを入れるところのメンタリティー、そしてゴールを守ることのメンタリティーがF東京の方が強かったと。まさにその通りだった。この試合最初のチャンスをしっかり決めきり、その後のピンチも体を張って防ぎ続けた。どんなにいいサッカーをしようが、結局相手より多くゴールを入れたチームが勝つのである。それをF東京は示したのだ。

視線の先にしっかりとAFCアジアチャンピオンズリーグ出場を捉えていることが選手たちを奮起させたのであろう。そのために絶対に勝つという強い意気込みがプレーの節々から感じられた。攻守におけるゴール前での力強さで水戸を圧倒。内容では苦しみながらもしっかりと勝利を手にし、準々決勝に駒を進めた。

水戸にとって決して下を向く必要のない敗戦である。就任当初、「シーズン5勝できるかどうか」(柱谷監督)という状態から、F東京と互角の戦いを演じるところまでチームは成長してきたのである。来季に向け、大きな手ごたえをつかんだことは間違いない。
しかし、力のすべてを出しても勝てなかった現実を受け入れなければいけない。来季に向け、水戸は「6位以内」という目標を掲げている。実現させるためにも、こうした展開の試合は、相手がどこであろうと、しっかり勝ちきらないといけない。“惜しかった”では何も得ることはできない。プロである限り、勝たなくてはいけないのだ。その強さを身につけたとき、水戸に新たな時代が訪れる。

「今年の土台の上にもっと強いチームを作りたい」と闘志を燃やす柱谷監督のもと、来季、きっと水戸は奇跡を起こす。そのために必要なことを、この試合で示された。

以上


2011.12.18 Reported by 佐藤拓也
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/09/07(土) 00:00 ハイライト:八戸vs福島【明治安田J3 第27節】