12月17日（土）第91回天皇杯 4回戦
清水 vs 千葉（15:00KICK OFF/アウスタ）
-試合速報はこちら-
★第91回天皇杯特集
----------
「千葉戦は（決勝までの）4試合の中でいちばん難しい試合」とゴトビ監督は断言した。「J2のチームは非常にモチベーション高くJ1を倒そうと挑んでくる。もしJ1のチームが簡単な相手と考えてしまうと、そういう試合がいちばん難しくなる」というのが、その理由だ。
また、この4回戦を突破すれば、いよいよベスト8。そうなれば、タイトル獲得に向けてチーム全体の集中力も自然に高まってくるだろうが、今はリーグ戦が終わって契約更改交渉の真っ最中。まだ交渉を継続中の選手も何人かいる中で、「献身的に100％勝利に向かい、ファンのために戦える11人を起用したい」とゴトビ監督が語るのも理解できる。
そのメンバーに関しては、最終節のG大阪戦と多少変わってくる見込みだ。先週、今週の練習では、辻尾真二が股関節痛で離脱していることもあって、右サイドバックに平岡康裕が入り、左サイドバックもカルフィン ヨン ア ピンが入る状況が多い。そうなると、アンカー（1ボランチ）の位置には杉山浩太が入るのが有力となり、その場合には中盤の底からの杉山の配球という部分も楽しみのひとつになる。
また、キャプテンの小野伸二が左膝のケガから復帰するかどうかも注目点のひとつ。痛みを抱えながらも、すでに練習に合流して2週間以上経っており、試合がやれるだけの状況にはある。それでも、再び同じところを痛めてしまう不安があるので100％のプレーはできないかもしれないが、「伸二は右足だけでもプレーできる。多くの選手の両足よりも、彼の片足のほうがいいでしょう」とゴトビ監督の信頼は厚いので、90分は無理としてもピッチに立つ可能性は大いにある。
その他のポジションに関しては、ユングベリがケガの治療のため一時帰国しているため、G大阪戦と同様とみられているが、ゴトビ監督のことだけに何かサプライズもあるかもしれない。どの11人が選ばれるかという点は、清水サポーターにとってまず大きな見どころとなるだろう。

一方、2試合連続のJ1食いを目指す千葉は、今季前半は昇格圏内をキープしていたが、後半戦は徐々に失速してリーグ戦は6位でフィニッシュ。来季も3年目のJ2で戦うことになった。だが天皇杯では、3回戦でJ1の磐田を1-0で下し、J2でトップレベルの力を持つチームの意地を見せた。
その試合後、神戸清雄監督は「次のラウンドでも、J1のチームと戦ってわれわれは勝てるんだというところを見せたい」と語っている。失うもののないチャレンジャーとして、非常に高いモチベーションと野心を持ってアウスタに乗り込んでくることは間違いない。
戦い方に関しては、アウェイの地ということもあって、3回戦の磐田戦と大きな違いはないと予想できる。J1のチームに先制点を与えてしまうと非常に苦しくなるため、まずは守備をきっちりと整え、守りで手応えをつかみながら得点チャンスをうかがうという形になるだろう。しっかりとブロックを固めれば、清水の攻撃に対して守りきる自信もある。それを90分間やりきれるかどうかという部分が、千葉にとっての最大のポイントと言えるだろう。
それができれば、センターバックもできる4人でDFラインを固めた清水からどうやって点を取るかという部分が、もうひとつの課題。ここは、個の頑張りも求められる部分だ。

いずれにしても、清水のチーム状況を考えても、負けたら終わりという意味でも、初めは両チームとも手堅い戦い方になる可能性は高い。ただ、そこからスコアが動けば、一気に激しい打ち合いになる可能性も十分にあり、ノックアウト方式のカップ戦らしい緊張感は存分に味わえるはずだ。「とにかく結果にこだわって、120分戦ってもPKでも絶対に勝ちたい」（大前元紀）という気持ちは、両チームに共通するはずだ。
また、清水が平岡とヨン ア ピンをサイドバックに起用するとすれば、それは膠着したクローズドな試合では大きな力になる。現状で予想される清水の布陣では、180cm超のフィールドプレイヤーが7人。さらに小野、大前、アレックスといった優れたキッカーも揃うため、セットプレーで攻守とも優位に立てるからだ。
仮にセットプレーで点を取って、守備のスペシャリストたちで守りきるという戦い方になった場合、それは清水の本来の姿ではない。だが、それよりも結果にこだわるというのが「いちばん難しい試合」におけるチームのスタンスだ。清水はホームでの最終節で敗れているだけに、今年最後のアウスタでのゲームでサポーターに勝利をプレゼントしなければならないという想いも非常に強い。
したがって観る側としても、両チームの選手たちがどれだけ勝利に向けて集中力、執念、献身さを発揮し、全力を尽くして身体を張って戦い抜けるかという部分に注目したいJ1・J2対決と言えるだろう。

以上

2011.12.16 Reported by 前島芳雄