12月17日（土）第91回天皇杯 4回戦
鹿島 vs 京都（13:00KICK OFF/丸亀）
-試合速報はこちら-
★第91回天皇杯特集
----------
四国・香川県丸亀市にある丸亀競技場でＪ１・鹿島とＪ２・京都の天皇杯第4回戦が行われる。それぞれ、リーグ戦では鹿島6位、京都7位。内容的には、良いゲームを重ねてきたことを自負する両チームだけにこの結果には納得していないだろう。
特に鹿島はACL出場権獲得手段が、この天皇杯だけとなった。是が非でも獲らなければならないだけに、何回戦であろうと取りこぼしは許されない。
京都もリーグ終盤は怒涛の連勝劇を演じた。今季から指揮を執る大木武監督のサッカーへの理解と同時に自信を深めている。「鹿島相手に自分たちのサッカーがどこまで通じるか」と選手全員意気込む。
負けられないチームと自らの力を信じるチームの激突。目の離せない好ゲームへ期待は膨らむ。

両チームの力量をみるまでもなく、力は疑いようもなく鹿島の方が上。リーグ終盤では本山雅志が中盤中央に入る4-2-3-1の形を取り、素晴らしい戦いぶりをみせている。京都の大木監督も「彼が先発に入るとあの形となる。本山を使うのか、それともシンプルに4-4-2なのか。（小笠原）満男を使うかも知れない」と多彩な、鹿島の先発とその形を警戒する。
本山、野沢拓也など、攻撃に動きを与える選手が自在に動く様になれば鹿島の攻撃は鋭さを増す。それに合わせ、興梠慎三、大迫勇也のＦＷ陣も決定力も高いだけに、どこからでも点を取れる。この攻撃力が京都を一気に押し潰すか、そこも注目点だ。
守備面でも新井場徹、青木剛のセンターバックも安定感をみせ、最終節には岩政大樹がベンチに入るなど明るい材料もある。以前の、センターバックの人材不足という弱点はもう既にないとみるべきで、鹿島らしい鹿島が観られるだろう。

挑む京都。Ｊ２らしからぬ相手を押し込んで得点を奪う、厚みのある攻撃力を持つ。リーグ序盤では大木監督のスタイルが浸透せず苦しんだが、終盤には「躍動感のある」大木サッカーを表現出来る様になり、テンポの良いパス回しからフィニッシュへ持ち込む力をつけてきた。
前線の注目選手は宮吉拓実。飛び出しに優れ、常に仕掛ける高い意欲を持つ。中盤では、千葉から移籍した工藤浩平、そして、中山博貴、中村充孝、今季新加入で韓国U-22代表のチョン ウヨンと、テクニックとパスセンス、動き出しの良さとそれぞれの個性を持つ選手が配置され、攻撃の引き出しの多さは京都の持ち味となっている。攻撃にかかれば、巧みにボールをつなぎ、前線、サイドバックと共に動きのあるサッカーを展開。人数をかけてボールを動かす京都の攻撃が、鹿島の守備をもかわせる様ならば俄然、この試合は面白くなる。

ゲームは、京都の戦いに鹿島が合わせる図式となるか。これは、京都の守備の特徴に積極的なボールへのプレスがあるため。
京都はリーグでもこの守備手段を高めていただけに、鹿島相手にもそのスタイルは変わらないはず。そのプレスを鹿島がどういなすか、がポイントになる。ワンタッチパスの多用、ロングボール、または個人の突破、やり方は色々あるだろうが、まずは鹿島がチームとして何を選択し、京都を攻略するか、注目したい。

そして、つなぐ京都に対してのカウンター攻撃、これも有効だ。カウンター攻撃は鹿島の伝家の宝刀。決まれば大量得点の可能性もある。
ただ、京都としては、その辺りは全て織り込み済みともいえる。リーグでも守備を固められカウンターを受けたことも、逆に、ボールにプレスを掛けられショートカウンターを仕掛けられたこともあった。そして、選手にはそこを突き破らないとチームの成長はない、という意識も高くあった。
この試合に対しても「自分たちのサッカーをやるだけ」と選手は口々に言う。自分たちからボールを動かして、ゲームを動かしていく、鹿島相手でもそれは貫くだろう。大木監督は「実力がでる試合になると思います」とコメント。自分たちのやり方で鹿島を崩せるか。リスクもあるが、得るものも大きいということになる。

Ｊ１鹿島とＪ２京都。サッカーを「競技」として捉えるなら鹿島に軍配は上がるだろう。だが「勝負」となると、何が起こってもおかしくはない。
果たしてどちらが次のステージへ駒を進めるのか。互いが持ち味を出し切る緊張感のある試合に期待したい。

以上

2011.12.16 Reported by 武田賢宗