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【第91回天皇杯 4回戦 川崎F vs 湘南】プレビュー:帰国したジュニーニョの戦力ダウンをどのように補うのかが川崎Fのポイント。湘南はアウェイで番狂わせを狙いたい。(11.12.16)

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12月17日(土)第91回天皇杯 4回戦
川崎F vs 湘南(17:00KICK OFF/等々力)
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★第91回天皇杯特集
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ブラジルへの帰国日が変更になった事もあり、12月13日に成田空港に集まったサポーターは50名ほどだった。当初の帰国予定日だった8日に合わせ有給休暇を使ってしまった人も多かったと聞く。そんな事情があるにも関わらず、平日の夜に成田空港という僻地に集まる人数としては少なくはない見送りだった。その一人ひとりにジュニーニョは丁寧にお別れの挨拶をする。9年間に渡り川崎Fを牽引した偉大な選手を送り出すには適切な人数だったように思う。

そのジュニーニョを欠いた川崎Fは戦いの質の変革を迫られている。得点力こそ全盛期に比べ落ちていたジュニーニョではあったが、その存在感はチーム内でもトップクラス。中盤に降りてボールを引きだすと、相手守備陣はポジションを崩して対応しなければならなかった。そしてそれがスペースメイクにつながり、試合が組み立てられて行くのである。また、左サイドに持ち出せば1対1を制し、ほとんどミスする事なくゴール前にクロスをいれた。

そんなジュニーニョは例えば8月24日のリーグ戦第23節の名古屋戦で徹底的にマークされている。ストイコビッチ監督はその戦いについて「守備的にも我々はしっかり対応しなければならなかった。特にジュニーニョの侵入ですね。左サイドからやってきて、危険な選手で決定力もあります」と振り返っている。ジュニーニョ一人を抑えこまれたからというわけではないが、この試合は等々力で名古屋を相手に05年以来の敗戦を喫している。

相手チームが高度に警戒する相手であるという事は、すなわち彼にマークが集中する事で、他の選手の負担が軽減されていたということでもある。それだけの影響力を持った選手がいなくなったこの試合について、相馬直樹監督は「(ジュニーニョ不在について)そこが1つ大きなポイントになる」とその影響を認めている。ただ「組み合わせが代わっても良いところが出せるよう」にしたいとも意気込みを語っていた。

ちなみに今季ジュニーニョはリーグ戦で2試合を欠場しているが、その2試合とも川崎Fは勝利している。そういう点で、彼が居ない事をそれほど怖がる必要はないのかもしれない。ただ、これまでの不在と今回とで大きく異なる点があるとすれば、それは今後とも彼は戻ってこないのだという事実であろう。だからこそ、この試合で期待したいのが攻撃陣である。ジュニーニョがいない来季の戦いも不安なくやれるのだというところを見せて欲しいと思っている。今季のチーム内得点王となった小林悠は「ジュニーニョのやっていた事をやろうとは思っていません。やれるのはゴールを取ることだけだと思っています」と述べて自分のプレースタイルに矜持を示していた。ジュニーニョに頼み込み、ユニフォームをもらったという小林は、点を取るというスタイルをジュニーニョから継承できるのかどうか。注目してみたいところである。

対する湘南は反町康治監督が退任を表明しており、負ければそこで09年以来続いてきた反町体制が終焉する。11月24日に発表された退任に関するリリースによると、反町監督は「残されたリーグ戦2試合と天皇杯でひとつでも多く勝利し、集大成をみせられるように全力で臨みたいと思います」と述べており、クラブを支えてくれたサポーターに1つでも多くの喜びをもたらしたいと意気込んでくるはず。また、クラブを去らねばならないという事実をモチベーションに変えてくるのが確実なのは、今季で契約が満了する田原豊や、臼井幸平もそうであろう。湘南の攻撃の軸として活躍してきた田原に関しては杉山力裕がその強さについて言及し、警戒感を見せていた。また杉山は気をつけるべき選手として川崎Fの下部組織出身の高山薫の名前も上げ「今季活躍した選手の一人だと思いますし、等々力でやる、フロンターレとやるというところでモチベーションは高いのかなと思います。だからこそ、気をつけてやりたいと思います」と話していた。ちなみにその高山は今季9ゴールを決めて湘南のチーム内得点王となっている。

客観的に見て、ホームで試合ができる川崎Fの方が有利なのは間違いない。だからこそ、湘南は失うものがないのだとばかりに試合に入るだろう。そんな湘南に対し、川崎Fの選手たちは試合の入り方が大事なのだと口々に述べていた。負けを挽回できないトーナメントではリーグ戦以上に1点の重みが大きい。川崎Fはどのようにリスクを管理して湘南を攻め崩すのだろうか。

「入り方が悪かったり、先制されたら相手も乗ってくると思うので、受けてるほどには余裕はないと思います。挑戦者として臨みたいと思います」と小林が話すような戦いができるのかどうか。序盤から気持ちのぶつかり合う激しい試合を期待したいと思う。

以上

2011.12.16 Reported by 江藤高志
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