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【J1:第34節 仙台 vs 神戸】レポート:雨中の激戦は仙台が制す。球際の攻防、一歩目の力強さ、そして試合前後の声援に、人々の気持ちが表れた最終戦。(11.12.04)

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12月3日(土) 2011 J1リーグ戦 第34節
仙台 2 - 0 神戸 (15:36/ユアスタ/18,575人)
得点者:19' 赤嶺真吾(仙台)、80' 赤嶺真吾(仙台)
スカパー!再放送 Ch183 12/5(月)後03:00〜
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2011年のJリーグの日程が組まれたときには、当然、東日本大震災が起こることなど誰も予期していなかった。そしてこの最終節を迎えるにあたり、震災から立ち直る中で「希望の光になろう!」(ベガルタ仙台オフィシャルマッチデイプログラム・V PRESS表紙コピーより引用)としてきた仙台がホームに迎える相手は、1995年の阪神大震災を乗り越えて立ち上がり、今季チーム史上最高成績を達成しようとしていた神戸。「強い思いを感じた」と神戸・和田昌裕監督は縁を感じていたが、この試合に関わるすべての方々も、気持ちを同じくしていただろう。

できればベストの状態でこの好カードの対戦を見たかったものだが、残念ながらこの日の天気は大雨。試合前のアップの時点でピッチの至る所に水たまりができて、ボールが「走らない」状態になってしまった。そのためにどうしてもロングボールを最前線に送るかたちを両チームは多用せざるを得なかった。

それでも仙台・神戸の両者とも、このコンディションの中でもベストを尽くそうとし続けた。それが最も顕著に表れたのが、この競技の基本の部分ともいえる、球際での一対一の攻防だった。ボールが足につかない中でも懸命に食らいつき、イレギュラーな転がり方をするボールに対する一歩目の動き出しも最後まで落ちなかった。また、不可抗力のコンタクトの危険性がある条件下で、警告が両チーム合わせて終盤の2枚だけに止まったということも記しておきたい。

この激戦を制したのは仙台だった。「ピッチ状態が悪いのはお互いにとっていえることですが、雨の時に何をするのか、うちはきちっとできていた」と菅井直樹が振り返ったように、守備ではシンプルに蹴り出すこと、攻撃ではサイドを中心に相手の裏を取ることが徹底されていた。加えて、和田監督が「ボールへの寄りやセカンドボールの反応が、うちもここ数試合では非常に良かった部分だったのですが、今日は仙台の方が勝っていたと感じた」と指摘したように、球際の部分での差が重なった。

19分、仙台がサイドの揺さぶりで神戸の守備ブロックを広げて、赤嶺真吾のフィニッシュで先制。神戸が後半から大型FW都倉賢を投入してロングボールのターゲットを明確化して押しこむ時間もあったが、仙台は大事を取って交代した曹秉局に代わって後半から入った渡辺広大が対応。押し返す中でもぎ取ったCKから、80分に赤嶺が仙台加入後初の複数得点となる今季14点目を決めた。大雨のなかでの意思統一と球際の攻防で上回った仙台の勝利だった。

試合後に、雨は上がっていた。ホーム最終戦のセレモニーがおこなわれた中で、両チームのサポーターが互いを称えるエールを交歓した。2011年、仙台は4位、神戸は9位と、それぞれチーム史上最高成績を記録した、躍進のシーズンだった。そして東日本大震災という悲しい出来事があった中で、フットボールというひとつの競技を通じて、多くの人々が絆を確かめ合ったシーズンでもあった。そしてすべてのクラブとのつながりが、尊いものだった。

仙台の手倉森誠監督はセレモニーで「復興の道はまだまだ続きますし、まだまだ我々の復興の使命も続きます」と、これからに向けて決意を新たにした。神戸の吉田孝行は「これからもいろいろなところで力になっていきたい。チームとしてもより高いハードルに挑戦していきたい」と、さらなるレベルアップを誓った。ピッチの外でも中でも、Jクラブが果たし続ける使命は多い。あらためてそう感じさせられた今季最終戦だった。

これからも、復興は続いていく。そして、フットボールも続いていく。

以上

2011.12.04 Reported by 板垣晴朗
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