12月3日(土) 2011 J1リーグ戦 第34節
浦和 1 - 3 柏 (15:35/埼玉/54,441人)
得点者:29' ジョルジワグネル(柏)、38' 橋本和(柏)、53' 柏木陽介(浦和)、76' 茨田陽生(柏)
スカパー!再放送 Ch180 12/5(月)前10:00〜
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※柏側レポートはこちら
「今日のゲームでは、まざまざと力の差を見せつけられた」(堀孝史監督)
残念ながら役者が違った。原一樹が「相手の方が一回りも二回りも強かった」と認め、梅崎司も「内容を見てもゲームを見ても、明らかに完敗だった」と唇を噛んだように、両者の間にある大きな隔たりを痛感せざるを得ない試合となった。
とりわけ前半は何もさせてもらえなかった。エスクデロ セルヒオをケガで欠いた浦和は山田直輝を最前線に置く奇策を打ったが、これが完全に裏目に出た。「トレーニングを継続してきてマッチすると思った。プラスアルファー、直輝が入ることで違ったものが出るかなという期待を込めて起用した」という指揮官の狙いは完璧に外れた。「ボールにいく形になってしまっていたので、うまくいかなかったと思う」と鈴木啓太が振り返ったように、浦和はパスが足元ばかりになってしまい、ボールが入るところを柏に狙われて何度もインターセプトを許した。
まさに柏の思うつぼだった。連動したプレスをかけてくる相手に対し、浦和は狭いところで足元のパスをつなごうとしてミスを誘発させられた。コレクティブなカウンターを得意とする柏を相手に、最もやってはいけないミスを何度も犯した。
「彼らを相手にする際に、守備のところ、切り替えのところで準備していた。サイド、ボランチをケアしながら、ボールを奪ったときにボランチの両脇が空くところにレアンドロが入って、そこでボールを受けてカウンターを発動する」。浦和はネルシーニョ監督のゲームプランにまんまとはまり、“ボールを奪ったらレアンドロ ドミンゲス”という柏の必勝パターンを何回も許した。
浦和は前半にセットプレーから2失点を喫したが、内容を考えれば2失点で助かったという45分間だった。それは前半のシュート数を見れば一目瞭然。柏が17本を数えたのに対し、浦和はまさかのゼロ。手も足も出ないとはまさにこのことだった。
ただ、浦和もそのままずっと黙ってはいなかった。ハーフタイムで仕切り直すと、後半は立ち上がりから攻勢を仕掛けた。特に「あんなプレーで恥ずかしい気持ちもあった」という柏木陽介が前半よりも高い位置まで顔を出すようになり、53分にチームのファーストシュートを放つと、その直後には珍しいヘディングでのゴールで1点を返した。
浦和は何もできなかった前半に比べ、後半は多少盛り返すことができた。前半はアタッキングサードにボールを運ぶことすらままならなかったが、後半はクロスを入れたり、シュートを打ったりすることはできるようになった。柏の方が決定機が多く、依然としてレアンドロを軸にした速攻に手を焼かされたが、それでも前半に比べれば期待の持てる戦いができていた。「1点返されてからの雰囲気はちょっとしんどかったです。埼玉スタジアムの雰囲気はすごかったです」と橋本和が振り返ったように、浦和はサポーターの心強いあと押しを受け、柏を押し込む場面も作った。
だが、浦和の希望は1つのミスで完全に潰えた。76分、CKのこぼれ球から茨田陽生がミドルシュートを打つと、ゴール手前でワンバウンドした力のないボールをGK加藤順大がまさかの後逸。ボールはそのままゴールマウスに吸い込まれ、浦和は痛すぎる3失点目を喫した。
これで追い上げムードは霧散した。「あの失点で気持ちがガクッと来たところはあった」と鈴木が話したように、浦和は再び沈黙。一方、これで冷静さを取り戻した柏は危なげない試合運びで時間を上手に使い、そのまま逃げ切った。
「1シーズン通して、どうしていいかわからないという時期はなかった。厳しいリーグなので、結果を残せない試合はあったと思うが、やるべきことを見つめ直して、選手たちと話して継続することができたシーズンだった。やるべきことははっきりしていたので、この時期、このゲームが苦しかったと強いて挙げるものはない」
柏にはネルシーニョ監督が自信を持ってそう言い切れるチームとしての強さがあった。そして残念ながら、それは今年の浦和に欠けていたものだ。堀監督は短期間でチームを立て直し、J1残留に導いた。その実績は評価されてしかるべきだが、それはまた別の話だ。チームとしてこの1年をどう過ごしてきたのか。その差をはっきりと見せつけられた一戦だった。
以上
2011.12.04 Reported by 神谷正明
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