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今年のホームゲームは今節で最後となる。昇格を目標に掲げて幕を開けたシーズンは、序盤こそ順調なペースで進んだものの、夏場以降、昨シーズン築いた堅守が崩れ始めたのと合わせ順位も下降。シーズン中盤からバイタルエリアの崩しに時間を割き、その成果としての形が見られた試合もなくはなかったが、２試合を残した36節終了時点で得点はリーグ最下位の30に留まる。１試合１試合を振り返ると、「あのシュートが入っていれば」、あるいは「あの失点を防げていれば」という場面も多い。しかし現在の順位、そして順位を裏付ける様々な数字は、紛れもなくこの１年間やってきたことの結果。それは甘んじて受け止めなくてはならないだろう。
「ホームラストなので、皆で一丸となって、気持ちを出して戦いたい」。フィールドプレーヤー最多の34試合（出場時間最長は、フィールドプレーヤーでは市村篤司）に出場している原田拓は、25日の練習後にそう話した。敗れたものの優勝した広島に対して善戦した08年、引退する山口武士（現アカデミーコーチ）の劇的な勝ち越しゴールで歓喜に沸いた09年、そしてカレン・ロバート（現VVVフェンロ）、西弘則（現大分）のゴールで北九州をくだした昨年と、過去３シーズンのホーム最終戦は、チームを離れる事になった選手も含めて一体感を持って戦った。今年は苦い思いを抱いたままシーズン終盤を迎えているが、だからこそ、サポーターにも充足感を味わってもらえるような試合で、ホームのラストを飾りたい。
さて、迎える岡山は現在14位だが、勝点差は２で、このゲームの結果では順位が入れ替わる状況にある。４連敗中の熊本に対し、岡山は前節、６連勝中の京都に逆転勝ちして自信を深め、勢いの面でも決して侮れない。「切り替えが早いし、皆でハードワークできるチーム。中盤の技術も高いので難しい試合になると思う」と原田。失点57はリーグで２番めに多いが、得点は42と熊本を大きく上回り、前回の対戦では屈辱的な４失点を喫している。
まずポイントとなるのは、トップのチアゴをいかに抑えるか。前節スタメンに復帰した矢野大輔は「センターバックで潰せるところはしっかり潰したい。ただ、全部出て行くと後手後手になってしまうし、チアゴ以外はサイドに抜けて起点を作ってるから、行くところと行かないところ、はっきりさせるように声を出してやらないといけない。もちろん、１人１人の判断も大事ですけどね」と話す。実際、前節の京都戦でも両サイドからのクロスの場面は多く、チアゴに対してのマークとカバーリングに加え、そうした出どころへのケアも重要。岡山の中盤の構成を考えると、ベースとしては絞り気味のボジションを取りつつ、適切な距離感とバランスを保ちながらボールサイドへうまくスライドし、コースとスペースを地道に消していく運動量が、熊本のMF陣には求められることになる。
攻撃面では３バックの脇をうまく衝けるか。今週のトレーニングで行った紅白戦では、ボールを奪ってからの早い切り替えで攻撃に転じるも、後方からの押し上げやサポートが足りずに前への勢いを生かせない場面もあったが、数的不利な状況にあっても相手の陣形が整う前に勝負する思い切りも必要。一方でサイドを狙うことでDF間の距離が空いてくればその間への飛び出しやギャップを作るためのスペースランニング、さらにラインを引き出すためのミドルシュートなども交えて、バリエーションのある攻撃を展開したいところ。
ともかく、結果を出したい。熊本は今シーズン、何と戦ってきたのだろうか。もちろん上位チームと比べれば大きなものではなかったにせよ、昇格という目標を打ち出した事によるプレッシャーもあったろう。そんな中でなかなか波に乗れず、スタンドや県民の期待に応えられない喪失感もあったかもしれない。他にも目に見えない、いろんなものと戦ってきたのだろう。だが本当に戦うべきは、目の前の相手。最終節、そして来シーズンへ、さらには選手たち１人１人の将来へつなげる意味でも、勝って終わろう。
以上
2011.11.26 Reported by 井芹貴志
