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今節、ニンジニアスタジアムで行われる愛媛の試合は今シーズンのホーム最終戦。10位の草津をニンスタに迎えるが、現在の両者は様々な意味で好対照なチームだ。まず前節を振り返れば、アウェイ富山に乗り込んだ愛媛はアディショナルタイムに落とし穴があった。1点をリードして逃げきろうとした瞬間、一気に勝点3全てを失ったのだ。まさに12試合ぶりの勝利に手をかけた状態から、5分間で2失点を許してしまった。一方の草津は、その正反対の結果が出た。昇格を争う札幌を相手に、アディショナルタイムのわずか2分間あまりで2得点。大逆転で札幌にとっての「敷島の悲劇」を演出し、8戦負けなしという勢いとともにニンスタに乗り込んできた。
その結果、草津がシーズンを通じての勝ち越しとクラブ最高の9位という順位を射程圏内にとらえた一方で、愛媛は既にシーズンの負け越しが決定。リーグ後半戦だけで11の引き分けという成績に、齋藤学は「いい時の内容が結果につながれば、もっと面白いシーズンにできた」と悔しさを噛みしめるが、愛媛にとって不完全燃焼のシーズンであったことは間違いないだろう。ただ、だからこそ「最終戦こそは」というプロとしてのプライドと、「申し訳ない」というサポーターへの気持ちは愛媛の選手全員に共通するものでもある。草津戦に向かう個々のモチベーションは自ずと高まっていると言えるだろう。
さらに、ここ数試合を振り返る限りでは「見ていて楽しいサッカーができているのではないか」と池田昇平が語るように、愛媛の選手たちはゲームの内容に関しては手ごたえを深めている。そこで今節は気持ちの部分よりも、むしろ個々の高ぶりをチームとしてコントロールすることが重要になる。「富山戦で最後を締められなかった責任を感じている」と赤井秀一は反省しているが、チームとしてやるべきことが固まってきた今、一番考えなければならいのはゲーム運びの部分。「前節は途中出場だったけど、次は試合全体を通して上手くコントロールしたい。そこがチームとしての課題だし、自分に与えられた役割だと思う」と赤井は続けたが、もちろん彼だけに頼るのではなく、遠ざかった勝利を手繰り寄せるにはそれぞれの選手が試合の流れを考え、イメージを共有して時間を進めるしかない。相手の草津は勢いだけでなく、つなぐところはつなぎ、高さだけでなくサイドからも崩せる好チームに成長している。だからこそ、しっかりゲーム展開に応じて時には耐え、チャンスになれば今は最大の武器になっている前線のコンビネーションを生かしてゴールを奪いたい。
その草津にとってもホーム最終戦で北関東のライバル・栃木戦を残しているだけに、高みを目指すためには今節も落とせないゲーム。愛媛戦の勝利を手土産に、勝ち続けることで来シーズンへとつなげたい一戦だ。もちろん、愛媛にとっても来季をにらむ上では、勝ち切れない悪い流れに白星で区切りをつけたいホーム最終戦。最終節の「PRIDE OF 中四国」の鳥取戦、そして天皇杯4回戦の浦和戦に向けて弾みをつける意味でも、今節の草津戦は何としても勝点3をつかまなければならない一戦だ。
以上
2011.11.26 Reported by 近藤義博
