11月12日(土) 2011 J2リーグ戦 第35節
F東京 2 - 0 水戸 (16:04/味スタ/22,896人)
得点者:49' 高橋秀人(F東京)、79' ロベルトセザー(F東京)
スカパー!再放送 Ch185 11/13(日)後06:30〜
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F東京が、J1昇格の当確ランプをともした。ホーム味の素スタジアムで水戸と対戦し、2−0で勝利を収めた。残り3試合で4位札幌との勝点差は9。次節・鳥取戦(19日)に勝利すれば、試合結果によっては優勝が決まる可能性も出てきた。
ゲームの流れは、後半開始から4分後の右CKで一気に東京へと傾いた。キッカーの石川直宏がニアサイドにボールを上げると、そこに背番号4が走り込む。DF高橋秀人は、額でボールを捉えて流し込む。転がるボールがゴールラインを越えるのを見届けると、ホームのゴール裏へと駆け出した。
「次は、ヘディングで決めたい」
今季4点目は、宣言どおりのヘディングシュートでゴールネットを揺すった。サポーターの目の前で高橋が雄叫びを挙げると、それをかき消す声の渦がスタジアムに広がっていった。
DF徳永悠平は「セットプレーでの先制点がやはり大きかった」と、振り返った。この日、水戸は、30分間の限定出場だったFW鈴木隆行を投入して勝負を懸ける手はずだった。しかし、後半開始早々にゴールを割られて、ゲームプランが崩れてしまった。両チームにとって、それほど大きな1点だったといえるだろう。
ヤキモキする前半から開放されたF東京は、サポーターも巻き込んで攻勢を強めた。ゴール前へとボールを運び、決定機を作り出す。追加点を目指して大熊清監督は68分、MF羽生直剛に代えてFWロベルト・セザーをピッチへと送り込んだ。試合結果を左右する2点目をセザーに委ねた。
79分、FWルーカスがルックアップした瞬間、石川がスペースを見つけて走り出す。ルーカスは、そこに浮き球で落とした。しかし、ギアをチェンジして同じ場所に走り込む選手がいた。石川が振り返ると、ロベルト・セザーが足の回転数を上げてグングンと近づいてきた。「普通は、まっすぐ走っても追いつかないんだけど、セザーは速すぎましたね」と、道を譲った。セザーは、勢いそのままに右足を振り抜いてボールをゴールへと叩き込んだ。ゴールとなった場面だけでなく、セザーは何度も水戸の組織立った守備を自慢のスピードで切り裂いた。F東京は、水戸を跳ね除けて昇格、優勝の目の前に到達した。後は、次節・鳥取戦でつかみ取るだけだ。
羽生は淡々と「ここ数試合、マイボールになった時の距離感はよくなかった。それなりのポゼッションをしつつ、無理なら前にフィードという逃げ方も仕方ないと思っていた。だから、これぐらいの試合なのかなと思う」と、試合の印象を語った。
完勝したわけではない。こだわれば、修正しなければいけない箇所も少なくない。ただ、この状況下で勝ち切れたことは大きい。
敵将の柱谷哲二監督は、「サッカーボールはピッチには1つしか存在しない。そこで相手にボールを持たれるか、我々が持つかによって流れは大きく変わる。球際のところで負けてしまっては意味がない」と、球際で敗れたことを敗因に挙げた。
大熊監督が口癖のように言う「サッカーの本質」を崩さなければ、ゲームは作れる。前節・湘南戦から引き続き、それを証明したゲームだった。山あり谷ありのリーグ戦における最終順位は、サポーターを含めたクラブの努力の跡がそのまま反映される。2011年度のJ2リーグ最終章の主役となったF東京。ハッピーエンドも約束された今、エンディングをどう彩るのか、昂った感情の行き先を見届けずにはいられない。「鳥取〜♪鳥取〜♪東京から車で10時間」。こんなに、楽しい旅支度は他にはない。
以上
2011.11.13 Reported by 馬場康平
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