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【J2:第35節 北九州 vs 熊本】熊本側レポート:ラスト15分の2失点で痛恨の3連敗。昇格の夢が消えた熊本は、残り3戦で何を見せられるか(11.11.13)

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11月12日(土) 2011 J2リーグ戦 第35節
北九州 2 - 0 熊本 (14:04/本城/5,307人)
得点者:76' 林祐征(北九州)、90' 林祐征(北九州)
スカパー!再放送 Ch184 11/13(日)後11:00〜
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56分、北九州のFW大島康明が蹴ったPKを、熊本のGK南雄太は左に飛んでがっちりストップした。本城陸上競技場の記者席はメインスタンドホーム側にあって、北九州のサポーターに囲まれる形で設けられている。そのため、この瞬間のスタンドの落胆ぶりは直に伝わってきた。しかしチームを後押しする思いの強さは、キックオフ前からもひしひしと感じられた。この日5000人を超えた観客の中には熊本サポーターも当然含まれているが、南のPK阻止でも流れを引き寄せることができなかったのは、そうしたスタンドの空気も含めたアウェイのシチュエーションに気圧されていたことも理由の1つだろう。ピッチの上でも、「威圧感という部分で、受けてしまったことが最終的にこういう状況になってしまった」と、高木琢也監督は振り返っている。

それでも立ち上がりは悪くはなかった。前節の京都戦同様、熊本は高い位置からプレッシャーをかけてボールを奪い、序盤は北九州陣内でボールを動かした。しかし「はじめに前へ勢いを持って行こうとロングボールを蹴っていたので、前の3人が張りぎみになってしまった」(武富孝介)ことで、徐々に前後の距離が開いていく。一方の北九州は、宮本亨を中心とした最終ラインが我慢してラインを高く保ち続け、ボールホルダーに対しては激しく寄せる姿勢を見せる。熊本も、北九州の高いラインの裏を狙い23分に菅沼駿哉の縦パスに大迫希が飛び出す場面を作ったが、アタッキングゾーンまで運んだ後の攻撃では北九州の守備を崩す工夫やアイデアは見られず、「くさびを入れられるのに下げたりしてしまった場面もあった」(西森正明)。前半終了間際にはファビオが金鐘必の股を抜くドリブルで持ち込んだが、右足で放ったシュートはGK佐藤優也の正面に飛び、得点を奪えないまま折り返す。思えば前半から、メンタル勝負になりそうな気配は漂っていた。

迎えた後半、冒頭のPKの場面でピンチを凌いだ熊本だが、攻撃に関してはやはり最後の部分での工夫が足りず、67分に高木監督は西森を下げて仲間隼斗を投入。合わせて大迫を2列目に下げて武富を右へ回し、根占真伍を左へ動かして中盤を組み替える。これでやや前線に流動性が生まれ、仲間や武富の仕掛けなどから69分、74分とセットプレーのチャンスを迎えるが、いずれも得点を奪うには至らない。逆に69分、北九州の三浦泰年監督がFW2枚を同時に代えるという勝負に出ると、結果的にはこれがぴたりとハマった。

まずは76分、中盤でのボールの奪い合いから自陣にこぼれてきたボールを無理な体勢ながら宮本が右へ開くと、ボールを受けた関光博は少し前方へ運び、早いタイミングで中央へ鋭いクロス。これを林佑征が頭で合わせて1点。さらに90分、今度は木村祐志のFKに再び林がヘディングで飛び込んで追加点。熊本も先制された後にソン イニョン、さらにチョ ソンジンと高さのある選手を入れたが、先制を許して以降は勢いづいた北九州に対して押し込まれる展開となり、点を奪えないまま終了の笛を聞いた。この結果、3位徳島との勝点差は15となり、熊本にとってはJ1昇格という今シーズンの目標は断たれることになった。

失点場面を振り返れば、最後の局面でのマークの甘さがあったことも確か。だが例えば1点目につながった場面では、南が話している通り「その前の部分でなんとかできたんじゃないか」という思いも拭いきれない。一方の攻撃でも、アタッキングサードに入ってからノッキングする場面は少なくなく、相手にとって怖さを与えることもできなかった。試合後に話を聞いた廣井友信は、「どうしなきゃいけないのか考えているけど、もっと練習しないといけないなということしか、答えは出てない」と話した。そうしたピッチでのパフォーマンスが結果に影響していることは言うまでもなく、これが今の力なのだということは受け入れるしかない。ただ、勝った北九州にあって敗れた熊本に足りなかったのは、ピッチでのパフォーマンスに表れたフィジカルやスキルの部分だけでは決してない。
「選手1人1人がしっかり自立する部分に直面している」と高木監督は述べている。昇格がなくなったことでモチベーションを維持する難しさもあるだろう。それぞれの契約なども絡んでくる時期に入り、大きな目標に向かって1つになろうとしていたシーズン当初の結束を取り戻すことも、容易ではないかもしれない。ホーム2試合、そして鳥栖でのアウェイと続くラスト3戦。熊本はこのままで終わるのだろうか。それとも来季あるいは、これから歴史をつむいでいくクラブの将来に希望を見い出すことができる、そんな戦いを見せられるか。残された時間でできることは限られている。

以上


2011.11.13 Reported by 井芹貴志
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