11月12日（土） 2011 J2リーグ戦 第35節
千葉 1 - 0 鳥取　（16:03／フクアリ／8,038人）
得点者：56' 米倉恒貴（千葉）
スカパー！再放送 Ch184 11/13（日）深01:30〜
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まさに辛勝だった。千葉対鳥取の試合が始まる前に、前節終了時に勝点59で３位の徳島、同じく勝点59で４位の札幌は試合を終え、勝点を62に伸ばしていた。前節終了時の勝点が52の千葉は、今節で敗れた時点でＪ１昇格圏の３位以内に入れないことが決定する。千葉がＪ１昇格の望みをつなぐには今節の勝利が最低条件。さらに、大量得点で得失点差でも他のクラブとの差を詰めたいところだったが、21本のシュートを打ちながらＰＫによる『１点』での勝利となった。

千葉の辛勝の要因の一つは鳥取の守備の良さだ。今節の鳥取はＤＦ水本勝成がスタメンに復帰したが、ＭＦ実信憲明とＤＦ尾崎瑛一郎が出場停止のうえ、前節の負傷の影響でＧＫ小針清允とＭＦ奥山泰裕が欠場。だが、そんな中でも持ち前の細かいパスワークに加え、立ち上がりから松田岳夫監督が常に口にして意識付けしているという『ディフェンスラインの背後を狙う』ため、ロングパスの攻撃も見せた。「今日はノブ（鈴木信貴）やトミ（冨山達行）などしっかりボールを蹴れる選手がいるので、裏にというふうに見えたのかな」とはＧＫ井上敦史の弁だが、直近２試合の大量失点を意識するあまりに守備偏重になるのではなく、攻めることで前からの守備にもつなげようとする意識がうかがえた。

オープニングシュートはキックオフ後30秒足らずのＭＦ小井手翔太のミドルだったように鳥取は積極的だった。だが、攻撃を組み立てようとする際のパスにミスが出て、なかなか得点機を作れない。攻撃でうまく押し込めないため、逆に千葉に押し込まれた。
千葉は、鳥取の攻撃が単発で、しかもフィニッシュまでいかずにボールロストするため、ボールを保持する時間が長くなった。前半は特に左サイドから攻め、ＣＫからも得点機を作ったが、31分のＤＦ渡邊圭二の２度のミドルシュート、36分のＦＷオーロイのヘディングシュートは鳥取のＧＫ井上が連続でファインセーブ。シュートを10本打った前半にゴールを奪えず、前回対戦と同じように攻め込みながらも、もどかしい試合展開となった。

すると、千葉は後半開始時からオーロイに代えてＦＷ大島秀夫、ＭＦファン　ゲッセルに代えてＭＦ村井慎二を投入。運動量のある大島、ボールキープでタメが作れる村井の効果もあって、千葉は後半の立ち上がりから決定機を作るが、またもやＧＫ井上の好守やゴールポスト横にシュートが外れる決定力不足で得点にならない。だが、54分にＭＦ佐藤勇人が左サイドを深くえぐってクロスを入れると、ペナルティーエリアで鳥取の鈴木がハンドのファウル。56分、ＰＫをＭＦ米倉恒貴が思い切りよく左上に決めて、待望の先制点を奪った。こうなると早く追加点を奪い、さらに有利な展開に持ち込みたいところだが、ＧＫ井上をはじめとする鳥取の粘り強く体を張った守備に加え、相変わらずのシュートの精度不足で『２点目』が遠い。78分を最後に千葉が鳥取側のペナルティーエリアに攻め込むことはなく、２度のカウンター攻撃のチャンスもミスでシュートまで持ちこめなかった。

「今まではサボっている選手がいることで守備にズレが出て失点につながったけど、今日は全員で守れていたから競った試合になった」と鳥取のＤＦ戸川健太は敗戦の中に収穫を見出し、「攻撃のミスを減らせば、いい守備ができる」とも話した。だが、接戦を演出した一人である井上は、それでも「連敗中に出た試合なので、勝つことにこだわりたかったし、千葉との前回対戦でも自分が出場していて最後にやられたので」と悔やんだ。後半の残り15分になってから猛攻を仕掛けたが、ミスもあって決定機を作れなかったのが痛かった。
何とか最低限のノルマ達成の千葉だが、「２点目を取りたかった」と多くの選手が口にしながら取れず、終盤には失点を招きかねないような防戦一方になった戦い方は大きな問題だ。Ｊ１昇格に必要なのはボール保持の時間の長さではなく、勝利と多くの得点なのだから。

以上


2011.11.13 Reported by 赤沼圭子