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先週末から5連戦に突入しているＪ2は、各クラブが10月19日に試合を消化したが、鳥取と札幌は、いずれも敗れた。今回は中2日で、難しいコンディショニングが求められる中で立て直しを図り、勝利を目指すことになる。
鳥取は19日、アウェイでの岡山との『陰陽ダービー』に1‐2で敗れた。天皇杯2回戦も含め、公式戦3試合連続無失点だった守備が序盤に崩れ、17分までに2失点。攻撃も、前半はほとんどチャンスを作れなかった。松田岳夫監督は、攻撃のベースとしているボールポゼッションのレベルアップに手ごたえをつかんでいたが、この日は無理にパスをつなごうとして奪われ、攻め込まれる場面が続出。岡山のプレッシャーが早く、的確だったことも大きな要因だが、そうした相手に対して「きれいなサッカーをしすぎた。足元のプレーに終始してしまった」（松田監督）ことで、後半にＰＫで1点を返すにとどまった。
札幌は、京都とアウェイで対戦した19日は、鳥取とは対照的に、序盤の出来は素晴らしかった。しかし、サイドを崩すなどして何度もチャンスを迎えながらも、決めることができず、逆に38分、最初の大きなピンチで失点し、前半終了間際にも失点。後半も立ち上がりは攻勢だったが、65分に3点目を奪われて勝機はついえ、終わってみれば0‐4の大敗だった。河合竜二とジオゴ、攻守の要がそろって出場停止で、特に河合の不在は試合後、石崎信弘監督も大きな影響があったと語っている。
今回の対戦は両チームとも、19日と同じ轍を踏まないことが、勝敗を分けるポイントになりそうだ。鳥取は、守備の安定を取り戻すことは当然として、攻撃面では、状況に応じた選択ができるかどうか。岡山戦の前半はボールポゼッションに固執するあまり、プレッシャーの厳しいエリアに自ら突っ込んでいくようなプレーに終始した。相手ディフェンスラインの裏にロングボールを送って前線を走らせ、いったん全体を押し上げてから立て直すなどの対応ができていれば、状況は変わっていたかもしれない。目指すスタイルを突き詰めていく一方で、相手や状況に応じたプレーも重要な要素、ということは、松田監督も常々語っていること。「手堅いサッカーをしてくると思う」（戸川健太）札幌の出方に応じて、どこまで攻撃の工夫ができるかが問われる。
札幌は、早い段階でチャンスを得点に結びつけられるかどうか。どの試合でも求められる要素とはいえ、前述の京都戦のような展開の後だけに、通常よりも大きな要素となり得る。京都戦の前には鳥栖にも敗れており、今季開幕戦と東日本大震災による中断明けの試合以来となる連敗中だが、河合とジオゴの出場停止が明けるのは好材料。アウェイ3連戦の第2戦で、翌節には徳島との大一番を控えており、まずは連敗を止めておきたいところだろう。
鳥取は開幕前に掲げた『9位以内』という目標があり、リーグ戦では6月19日以来、すでに4カ月以上も遠ざかっているリーグ戦のホームゲームでの勝利も、そろそろ欲しいところだが、Ｊ1昇格を争う札幌の方が、当然プレッシャーは大きいはずだ。それでも、石崎監督の表情は明るい。柏を率いていた時代のＪ1昇格争いの経験から、シーズン終盤の戦いに求められる要素として「一つひとつの試合に集中すること」「気持ちの切り替え」「最後まであきらめないでやること」を挙げた後、「あとは運。運はあるよ、ウチは。他も負けてくれているんだから」と続けた。この2試合で徳島や千葉もそろって失速し、昇格圏内の3位を維持できたことで、連敗のダメージが最小限で済んでいるのは大きい。
河合は「（Ｊ1に）上がるという強い気持ちを持った者が上がる。強い気持ちでやっていきたい」と言葉に力を込めた。連敗を止めてラストスパートにつなげられるのか、苦しい状況が続くのか。札幌にとっては、今後の昇格争いを占う一戦と言っていいだろう。
以上
2011.10.21 Reported by 石倉利英
