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【J2:第6節 東京V vs 徳島】レポート:「内容より結果」を競い合った東京Vと徳島。東京Vが守備主導の“忍耐サッカー”で昇格に望みつなぐ。徳島は好内容も痛恨敗戦。(11.10.20)

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10月19日(水) 2011 J2リーグ戦 第6節
東京V 1 - 0 徳島 (19:03/国立/3,305人)
得点者:4' 菊岡拓朗(東京V)
スカパー!再放送 Ch184 10/20(木)深02:30〜
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絶対に勝ちたい。両チームの思いの強さが、ピッチのあちこちから伝わってくるゲームだったのではないだろうか。
試合前の時点で、J1昇格圏内3位・札幌を勝点差11で追っていた8位の東京Vにとっては「可能性を消さないため」、同じく差1の4位・徳島にとっては、他会場の結果次第では2位まで順位を上げられる可能性もあっただけに「夢を一歩でも現実に近づけるため」、この試合は、どちらにとっても必ず結果を出さなければいけない重要な意味を持った一戦と言えた。

大一番、幸先良く先制したのは東京Vだった。前半4分、水戸在籍時から徳島戦にはとことん相性が良いという菊岡拓朗が、この試合でも勝負強さを見せた。ボールが行き来し、まだどっちつかず状態の立ち上がり、相手から弾き返された中盤でのルーズボールを佐伯直哉が大きく頭で左に上がっていた阿部拓馬へ送る。しっかりとおさめた阿部の左足から出たボールに、絶好のタイミングで受けに走り込んだのが背番号10だった。「ファーストタッチが良かったので、振り抜くだけでした」。右足で絶好の位置に落とすと、すぐさま左足で一閃。「思い切りGKの足元を狙おうと思っていました」思い通りのボールがゴールネットを揺らした。そしてこれが、貴重な決勝ゴールとなった。

必勝を期した前節の水戸戦で、先制したものの追いつかれ痛恨のドローに終わった反省もあり、「この試合は『耐える』をテーマに掲げていた」(菊岡)のだというが、実際に多くの時間帯でその教訓を問われる展開となる。

今季の東京Vの特徴として、先制すると自分たちのペースで試合を運べるという傾向が強かったが、やはりJ1昇格圏内を上下している強豪・徳島が相手では、簡単には思い通りにいかなかった。早い時間に点が入り、気分良くスタートしたが、徳島も失点したことで早くも前に出てきた。東京Vは「相手のDFラインがまあまあ高い設定になったので、ウチは逆にカウンターを狙おう」(川勝良一監督)としたが、互いにプレッシャーが激しいため攻守の切り替わりも素早く、ボールを奪うとすぐにロングボールを前に送るという展開となっていく。

本来のスタイルとは違う中でも、何とかマラニョンのスピード、阿部のキープなど前線のストロングポイントを生かして追加点を目指したいところだが、ボールを持てば徳島の選手2、3人に囲んで潰され、カウンターを喰らうという場面も少なくなかった。特に後半は、徳島ペースで試合は流れ続けた。柿谷曜一朗のポテンシャル高い攻撃力を中心に、衛藤裕、島村毅らがゴールを積極的に狙い、決定的場面を作る。これまで「いつもウチがシュートの本数もポゼッションも上回って、でも結局は勝ちを落としている」(川勝監督)試合を何度も味わってきたが、この試合は真逆とも言えたのではないだろうか。ただ、だからこそ、「耐える試合っていうのが、今シーズンはできないので、次に向けて非常に良い経験になったゲームだと思います」と、川勝監督はDF主導の勝利を高く評価した。

粘り強く耐え凌ぎながら、前半4分で挙げた1点を決勝点に導く難しい試合で、やはり際立ったのが、東京Vのセンターバック2人の『個の強さ』ではなかっただろうか。頭を越すロングボール1本で競り合いを仕掛けられたり、ペナルティエリアに何度も侵入されても、決して1対1では負けず喰い止めた。
また、富澤清太郎が「今日の好材料」と評したように、ボランチとして先発した高橋祥平も、これまでセンターバックとして培ってきた守備力が、特にこの“耐える”試合では生きた。さらにサイドバック和田拓也のスピードある縦へ引っ張る力もまた、下げざるを得なかったDFラインからの攻撃には貴重な役割を担っていたように思う。

そして、特筆すべきは守護神・柴崎貴広だろう。何度も迎えた決定的ピンチを好セーブの連発で東京Vゴールを死守した。試合後、「仕事ですから」とクールにコメントしたが、実は、この徳島戦には誰よりも強い「勝ちたい」という気持ちを秘めていた。7月16日の前回対戦、後半43分まで0−2でリードしていながらも、その後2失点を喫し引き分けに持ち込まれた、あの日の悔しさを決して忘れてはいなかったのだ。試合前、「どっちが本当に強いのか、今度こそ決着をつけたい」と、温厚な大男が珍しく闘志を表に出し語っていた。また、「今の成績のままだと、『土肥さんがいないから』って言われてしまう」と、危機感も口にしている。そうした、誰よりも強い「絶対に勝ちたい」の思いが、今節の高パフォーマンスに現れたのではないだろうか。

思い、という意味では、敗れたとはいえ徳島の美濃部直彦監督はじめ選手たち誰もが「今は内容よりも結果」と、ハッキリと意思統一されていたのが印象的だった。敗戦が決まると、誰よりも足早にロッカールームへと姿を消した柿谷はきっぱり語った。「最初は“自分、自分”でプレーしてたけど、今は最優先するのはチームの勝利で、自分一人の思いで動くことはない。僕ももう徳島に来て3年目。J1に上がれる、本当に勝負の年だと思っている。徳島に呼んでくれた監督やクラブの人に恩返しをするためにも、内容ではなく結果が欲しい。徳島のために最後まで戦い続けます」。
J1を目前としたチームが醸し出す、良い意味でのピリピリムードが漂っていた。

この試合を勝ち切ったことで、サポーターを含めた東京V側も今まで以上に「内容より結果」の、本当の意味が確認できたのではないだろうか。両チームともそれぞれ一丸となり、90分間“勝点3をとるためのハードワークと集中力”が途切れることのなかった、まさに好ゲームだったように思う。「わずかな可能性がある限り、絶対に諦めないで全部勝ち行く」(土屋)東京Vにとっては、大きな、大きな1勝となった。

以上

2011.10.20 Reported by 上岡真里江
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