10月19日（水） 2011 J2リーグ戦 第6節
岡山 2 - 1 鳥取　（19:34／カンスタ／5,170人）
得点者：12' ストヤノフ（岡山）、17' 小林優希（岡山）、67' 実信憲明（鳥取）
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「勝ちたい気持ちが、彼らを走らせたんだと思います」。試合後、こう影山雅永監督は語った。そして「ただ、３点目を決めていれば終わっていたのに、そこまでの精度はなかった。逆にPKを取られ、勢いづく相手をいなすことは出来なかった。追ってくる相手をどんな形でも引き離すところまではいけなかった」と反省点を口にした。

岡山は前半、1トップ2シャドーとボランチ、ワイド、さらに最終ラインからの意図が絡んだ攻撃の形をピッチ上で表現した。理想的な距離感を保ってシュートまで持ち込んだ。ボランチ・仙石廉は、本来の攻撃性をあますことなく発揮して、潰し、そして前に出た。もう1人のボランチ・千明聖典は、地道にその土台を作り続けた。シャドーの妹尾隆佑は、狭いスペースでつなぎ、シュートのお膳立てをした。

この日、岡山に最初に生まれるゴールは、J2加入後100ゴール目であり、同時にカンスタでの50ゴール目というダブルメモリアルに宿命づけられていた。誰がゴールを決めるのか、どんな形で決まるのか、とサポーターは想像を膨らませていたに違いない。が、それは12分、PKという形で生まれた。澤口雅彦のクロスに鳥取・美尾敦のハンドが判定され、ストヤノフが落ち着いてPKを決めた。選手全員が順番にヒーローになっていく現在の岡山。これは岡山らしいメモリアルだったと言えるだろう。

岡山は3日前のF東京戦に臨んだと同じ戦う気持ちで挑んだ。それは先制点から5分後に追加点が生まれたことからわかる。中央の金民均が仙石につなぎ、妹尾からのマイナスのクロスを走り込んでいた小林優希が右足で決めて、岡山の2点目。「同じ形の2本目だったので、とにかくさわってやろうとだけ。右足だったし」と小林。前半、岡山のシュート9本に対し、鳥取は2本。妹尾は、「金民均も僕もボールを受けたいタイプで、久木田を裏に走らせることを近い位置でやろうと話していた。どんどんボランチも前に出てきて、前半の攻撃は厚みがあった」と話す。守備でも危険な場面を作らせることはなかった。

しかし後半は、岡山がまだまだ未熟であることを感じさせてくれた。後半12分にPKを与え、実信憲明に決められると、そのまま主導権を鳥取に渡してしまった。その理由は運動量が落ちたせいではなく、気持ちの問題だと選手は振り返る。この日の戦い方について、仙石は「もう少しクレバーなやり方もあったかな」と、しばし逡巡した後に、「試合をこなしながら、修正してやっていくしかない」と結論した。小林は「後半落ちても失点しないやり方に取り組むことが、これからの課題」とした。F東京戦後に「1人ひとりが自信を持ったら絶対出来る」と話した一柳夢吾の言葉もよみがえる。

「陰陽ダービー」の2戦目は、岡山が逃げきって、「喉から手が出るほどほしい」勝点３を手にした。F東京戦のチャレンジと今回の「勝ち」は、4日後の愛媛戦の内容によって輝かしいものになり得る。最後に。キックオフの数分前、ファジアーノサポーターから、ガイナーレコールが起こった。数秒の間を置いて、ガイナーレサポーターがファジアーノコールで返礼。このやりとりをカンスタで目にした人たちは幸せ者だ。こうして、今年から初々しく迎えたダービー戦の歴史が刻まれていく。

以上

2011.10.20 Reported by 尾原千明