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【J1:第29節 柏 vs 山形】レポート:優勝争いの覚悟を持ち、頑なに結果を追い求めた柏が約2カ月ぶりの首位浮上。柏の術中にハマった山形は痛恨の敗戦。(11.10.17)

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10月16日(日) 2011 J1リーグ戦 第29節
柏 1 - 0 山形 (14:04//10,361人)
得点者:33' ジョルジワグネル(柏)
スカパー!再放送 Ch181 10/18(火)深00:00〜
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前日に首位のG大阪が名古屋に敗れたことで、柏は勝てば首位へ浮上する絶好のチャンスを得た。奇しくも約1カ月前に痛恨の敗戦を喫し、首位奪還をみすみす逃した大宮戦とほぼ同じシチュエーションで山形戦を迎えたのである。「ここで(大宮戦と)同じようなミスするようだったら優勝する資格はない」(北嶋秀朗)という覚悟を抱き、柏は重要な一戦に臨んだ。

対する山形にとっては、首位浮上を意識した柏が試合開始直後からフルスロットルで攻撃へ転じてくれた方が、彼らのゲームプランを遂行しやすい状況になっていただろう。ところが思いのほか柏が出てこない。しかも山形も残留争いの渦中にあり、柏とは立場は違えども勝利が義務付けられた試合である。となれば山形の方が前へ出て行かねばならない。2分の太田徹郎のミドルシュートを皮切りに、10分は船山祐二のフィードと伊東俊の裏への飛び出し、そして20分にはカウンターから山田拓巳のアーリークロスを伊東がバックヘッド気味に狙う。柏の守備組織が整っていたため、いずれも決定機とまではいかなかったが「入りは良かった」と評する小林伸二監督の言葉通り、立ち上がりから山形の勝利への意識の高さを窺わせた。

ただ、それは裏を返せば、90分トータルで試合を見据え、ワンチャンスをモノにして勝ち切ればいいという柏のゲームコントロールの妙だとも取れる。山形がボールを獲りにこなければ最終ラインとボランチでボールを回す。獲りに出てきたらバイタルエリアに空くスペースにくさびのパスを放つか、DFラインの背後を狙う。

こうした淡々としたリズムが続く中、試合が動く。30分、コーナーキック時のゴール前の争いにて増嶋竜也が石井秀典に倒されるのだが、実はこの試合で柏が得た最初のコーナーキックにおいて、増嶋は自分をマークする山形DFの石井が「ついてこれていない」と感じていたという。そこで3分後に訪れた2度目のコーナーキックでは、「一度ファーに行くと見せかけてニアに入った」(増嶋)動きに石井の対応が遅れ、それが結果としてファウルを招いたのである。33分、一度蹴り直しになったPKも、ジョルジ ワグネルは動揺することなく落ち着いてゴール左下に蹴り込み、柏が先制点を挙げた。

「我慢強く忍耐を持ったプレーと頭を使った試合運びが必要だ」とネルシーニョ監督は選手たちに説いてきたというが、1−0となり、それまで以上にリスクを冒す必要がなくなった柏に対し、ボールを奪った瞬間の切り替えを早くして手数をかけないカウンターが狙い目だった山形のゲームプランには狂いが生じる。「下がった相手をどう破っていくか。ある程度アタッキングエリアまでは持っていけるが、そこからの精度を欠いた」とは小林監督の言葉である。北嶋、工藤壮人、澤昌克、ジョルジ ワグネルら、柏の前線4選手が前から献身的に守備を行ったことで、山形は速攻に転じた場面でもほとんどがスローダウンさせられてしまい、その間に柏のボランチと最終ラインが守備陣形を整える。そして結局は攻めあぐねるといった悪循環へと陥ってしまった。

この試合は両チーム合わせて11本のシュートが生まれている。が、そのうち10本は前半によるもので、後半は61分に太田が放ったフリーキックの1本のみ。柏にいたっては後半のシュートは0である。この数字からも見て取れるように、柏はパスを回して時間を使いながら、相手ボールの時には守備組織を整えて完全に山形の攻撃を遮断。そしてその術中にハマり攻撃の形を見出せない山形。後半45分間は、特にそのリズムが続き、抑揚の少ない試合は1−0のまま幕を閉じた。

アウェイ側のゴール裏に陣取った山形の青きサポーターたちは一時も歌を切らすことがなかった。試合後、宮沢克行は「諦めるな」とサポーターから言葉を投げ掛けられたことを明かし、彼もまた「自分たちは今日の結果で全てが終わったと思ってない」と言葉に力を込めた。次節は『山形県民応援デー』と銘打ち、NDソフトスタジアムの満員計画が予定されている。苦しい状況は変わりないが、サポーターの後押しを受けて巻き返しを図る絶好のチャンスだ。

ゴール前のスリリングな場面の少ない淡白な試合も、試合終了後には「勝ちに行って、勝ち切ってしまう風格が出てきた」、あるいは「優勝するチームは悪いなりにも勝ってしまう」、そんな声が記者たちからも発せられていた通り、柏は大宮戦の教訓をフルに生かし、頑なに結果だけを求め、したたかに勝点3を手にした。チームを率いる指揮官もこの1勝の大きさを評価し、さらには「我々にプレッシャーはない」、「メンタル面の不安を持つということは我々には当てはまらない」と自信に満ち溢れた表情を見せた。

首位浮上も、まだ残り5試合ある。「優勝に近づいた」と表現するのは時期尚早かもしれないが、少なくとも「優勝する資格を得た」と断言してもいいのではないか。

以上

2011.10.17 Reported by 鈴木潤
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