10月16日(日) 2011 J1リーグ戦 第29節
川崎F 1 - 2 新潟 (15:04/等々力/16,903人)
得点者:59' ブルーノロペス(新潟)、70' ブルーノロペス(新潟)、89' ジュニーニョ(川崎F)
スカパー!再放送 Ch183 10/18(火)前05:00〜
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途中交代出場の楠神順平が左サイドでボールを受けた時、新潟の選手は思うように距離を詰めることができていなかった。楠神がトップスピードでもコントロールを失わないドリブルを持っている事は当然のことながら知られていたのだろう。
スペースを与えられた楠神はルックアップしてゴール前を確認し、かなり正確にその状況を把握していたという。小林悠がスペースメイクの動きを開始する一方、矢島卓郎のポジションを確認。その矢島の胸に合わせれば何かが起きる事を予測してゴール前へとクロスを入れたという。
アシストする事になった矢島は「イメージはできていました。ジュニーニョは落とす瞬間に感じてくれていました」と話す。この日の川崎Fは、思うようにシュートを枠内に飛ばすことができていなかった。ただ、枠内に蹴り込みさえすれば点になるのだという事をジュニーニョのゴールは示していた。試合終了間際の89分に、川崎Fはようやく1点を手にした。
キックオフ時、トスに勝った新潟がエンドを入れ替えていた。試合時間が進むに従い西日がきつくなる事を想定していたのだろう。川崎Fは、ドラマを産んできた後半の土壇場の時間帯を、声援を送り続けてきたサポーターとは逆サイドに向かって攻めるしかなかった。
もちろん、サポーターの声援の効果を否定する人には眉唾な話に聞こえるかもしれない。ただ、そうした合理的ではない力がこのチームに作用してきた過去を考えると、それが試合結果とは全く無関係だったとも言い切れないような気がしてならない。
川崎Fには勝利に向けた高いモチベーションがあり、それが端的に出る場面があった。1点差に追いついた後半アディショナルタイムに、小宮山尊信がボールを保持する相手選手へとチャレンジ。後方からのタックルだった事もあり、西村雄一主審はファールの判定を下す。ボールに触っていた小宮山は、この判定に我を忘れ即座に異を唱える。そして、すぐに自制心を取り戻し謝罪して悔しさをにじませながら天を仰いだ。
川崎Fがこの試合に勝ちたい理由はもちろんたくさんある。ただ、その中で最も大きなものとして陸前高田市からはるばるやってきた子供たちの存在があったのは確実だった。生まれ育ったふるさとを津波に流され、場合によっては肉親や知己をも失った子供たちが等々力を訪れていた。被災地を訪れ、直接その惨状を目にしていた選手たちは、そんな子供たちに等々力の勝利の瞬間を楽しんでもらおうと奮闘していたのである。そしてそれはプロサッカー選手として被災者にできる最も根源的な行いだった。
しかし、勝負の世界は非情である。川崎Fは前半から手にしていたチャンスを外し続けており、それが致命傷となった。前半終了間際に見せた杉山力裕によるPKの阻止を含め、勝てる要素は十分にあっただけに悔やまれる試合展開を見せてしまった。
新潟の2得点はいずれも川崎Fの攻撃をしのいでからのカウンターによるもの。ミシェウとのホットラインで2点を決めたブルーノ・ロペスは「チームが90分戦い続けたことがあのゴールにつながりました。チームがここでやる(この場面で)という気持ちが出たと思う」と淡々と述べていた。この試合を前に川崎Fの選手たちは新潟の警戒すべき選手として彼ら外国籍選手の名前を上げていた。川崎Fは、わかりきっていた相手にやられてはならない形で2点を失ってしまった事になる。
タイトルを狙いながらもシーズン中盤に失速し、星を取りこぼし続けてきた今季の川崎Fの勝負弱さがはっきりと出てしまった試合だった。負けてはならないはっきりとした理由が存在し、それが選手たちにモチベーションを与えていただけに、勝てなかったことが残念でならない。
等々力での連敗記録を7で止めた新潟は80分に菊地直哉を退場で失い、数的不利な状況での戦いを強いられていた。それでも川崎Fの反撃を1点に抑え、逃げ切りに成功する。不恰好でもなんでも、とにかく勝点を持ち帰るのだというその気持の強さは立派だった。点を取ってきた外国籍選手のハードワークも脱帽させられるレベルにあった。試合に勝つというのは、ああいう泥臭いプレーが必要なのだと、改めて感じさせられる試合だった。
以上
2011.10.17 Reported by 江藤高志
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